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秀典

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善意天逆 果て無く黒

魔王様を連れ帰れるのか?

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★前回のあらすじ。
 魔王の封印中に現れたフェイさんは、何時も通り町を襲撃しにきていた。
 どうやら魔王を奪い返すのが目的らしいが、本人は自分が命令したんじゃないと否定している。
 しかし、ギルドの襲撃とか派手なことをすれば、当然冒険者やギルド職員も参戦するのだった。
 やはり簡単に追い返せるだろうと思っていたら、何時の間にか魔王は連れ去られて行く。
 撤退して行くフェイさんを追う事が出来ず、僕達は魔物の退治におわれてしまう。
 しかし魔王を連れ去られたのは幸運だったようで、追跡魔法でその居場所が判明する。
 それは東にあるJKの村で、僕はスラーさんにフェイさんの捕縛を命じられたのだった。


 クー・ライズ・ライト (僕)
 ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
 アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
 グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
 ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
 フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
 スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
 ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
 ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
 デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
 ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
 リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
 フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)


 当事者のファラさんと、ミアさんも同行するとして、もう少し戦力が欲しいところだ。
 あまり大人数で行くと目立つし、残り二名ぐらいだろう。
 だから僕は、この仕事仲間達から一人目を指さす。

「お願いします、デッドおあああああ!?」

 その時、僕の膝がガクっと折れた。
 先ほどの疲労が今頃出たのかもしれない。
 本当はデッドロックさんに指を向けようとしたのだけど、行ってはならぬ人物の前に指が止まってしまったのだ。

「アーッハッハッハ! 魔王との対戦にこの私を選ぶだなんて、目の付け所が違うわね! いいわよ、この私が全滅させてあげるわ! アーッハッハッハ!」

 僕は何故か全滅を愛するディザリアを選んでしまったのだ。

「今のは無しです! 間違えました! 絶対違いますからね!」

 僕は全力で否定するも。

「魔王との対戦は腕がなるわ。私はゼええええええったいに行くって決めたのよ! 連れて行かないことを諦めるのね!」

「えええええええええ!?」

 ディザリアさんは行くことを決めてしまったようで、どうやらもう無理みたいだ。
 しかも何故か魔王を倒すと勘違いしていらっしゃる。
 一応攻撃力だけはあるし、こうなれば諦めてもう一人を選ぶとしよう。
 防御力皆無のディザリアさんを護るためには、やはりここは。

「お姉さん、お願いしまあああああああああ!?」

 アーリアさんを指さしたはずの僕の指は、力ずくで曲げられてしまった。
 曲げたのは……。

「我が君、私を選ぶとはありがたい。さあ共に戦場に参ろう!」

 僕に忠誠を誓うとか寝ぼけたことを言っているグリアさんだった。
 この人も、何が何でもついて来る気だろう。

「ふぅ、面白い人達を選んだわね。誰を選んでもいいけど、村に着いたら私とミアは別行動するわ。クーはその二人と頑張りなさい」

 すでに巻き込まれることを予想したファラさんは、村では別行動をするらしい。

「安心しろ我が君、その身は私が護ってやろう!」

 やる気を見せるグリアさんと。

「アーッハッハッハ! 百体でも千体でもかかってきなさい。まとめて何もかも全滅させてやるわあああ! アーッハッハッハ!」

 超やる気を見せるディザリアさん。
 きっととんでもないことになるだろう。
 もう不安しかない。

 やっぱりもう少し人数を増やさなければと、そう思って振り向いた時、そこには誰も居なくなっていた。
 巻き込まれるのが分かって逃げたのだろう。
 どうやら僕は、この二人と運命を共にするしかないらしい。
 ……ああ、行きたくない。

 そんな僕の気持ちとは裏腹に、旅の準備は進められていく。
 僕も必要な物をリュックに詰め込み、顔を見られないようにローブを着こむ。
 ディザリアさんは嫌がるかと思ったけどすんなり着こみ、移動の準備は整った。
 馬車を使って北へ移動して、ジェイク・キングの村の北の入り口を目指しているのだが。

「不味い、ゴブリンが出ました! ファラさんグリアさん、ディザリアさんを押さえといてください! ミアさんは撃退を!」

 僕は馬車を操りながら、仲間の三人に声をかけた。
 敵はゴブリンの二体である。
 立ち塞がるというよりは、ただ通り過ぎて行くみたいなのだが。

「!? まかせなさい!」

「我が君、了解だ!」

 僕の声に合わせ、ファラさんとグリアさんは、ディザリアさんの口を手でふさいだ。
 ミアさんは。

「ニニニニニニニニ!」

 もう走り出してゴブリンに向かって行く。
 ゴブリン二体程度なら何も問題はないが。

「この私のまふぉうどぅえ! まふぉうどぅええええ!」

 二人に口を塞がれても、必死で魔法を使おうとしてくるディザリアさんの方が問題だ。
 しかもこのやり取りは、これで四回目である。
 もうすぐ町に着くというのに、心配は増える一方だ。

「テキたオシたー!」

 素早くゴブリンを倒して来たミアさんは、馬車に戻って来ている。
 ちなみに、もう指輪の効果は切れているようだ。
 一時間ほどで効果は切れるらしい。
 やれることは増えたけど、やれないこともまた増えてしまって、使いどころが面倒臭い。

「ミアさんよくやりました! 次もお願いしますね!」

 僕はミアさんの頭をポンと叩くと。

「ヨメ、ワカッたー!」

 ミアさんは元気に返事をしている。
 しかし、それが不服だというように動き出したのが。

「我が君、是非次は私が! 私の頭をなでなでしてくれ!」

 グリアさんだった。
 でももう村は目の前で、そんなことをしている意味は全くない。

「もう到着しますから、それは必要ないですね」

 あとはコッソリ村に進入してフェイさんを捕縛してしまえばいいだけだ。
 僕は村に向かおうと馬を動かすのだけど。

「我が君、それは駄目だ! 私は今がいいんだ!」

 そう言ってグリアさんは、僕から馬を操る手綱を奪い取ったのだった。

「ちょっとグリアさん、危ないからやめてください!」

 僕の制止も聞かず、無理やり方向転換をしようとするのだから、馬車は思いっきり横に倒れていく。

「ぎゃああああああ!」

 もう立て直すことも出来ず、僕は大慌てしている。

「我が君、私が助けてやろう!」

 グリアさんは、自分の体を使い、僕をガッチリ包み込む。
 自分のせいだということを忘れているんじゃないだろうか?
 ちなみに、このぐらいでファラさんやミアさんに怪我はないだろう。
 むしろ楽しんでいるんじゃないだろうか。

 ディザリアさんは……。
 まあ二人がついているからきっと平気だろう。
 しかし馬車は横転し、つながれた馬は大暴れしている。
 コッソリと侵入するはずが。

「おい、村の前で馬車が横転したぞ!」

「誰か人を呼んで来い、急げ!」

 っと村人達が集まって大騒ぎしている。
 もうただの旅人として進入するのは無理そうだ。

「君達、怪我しているじゃないか! 我が家で治療してあげよう。さあ運んであげなさい」

「いや大丈夫ですよ、僕達は全然平気ですから!」

 僕はそう言っているのだが。

「ううう、我が君、私はもう駄目だ。せめてその胸の中で……」

 グリアさんは一切怪我もしていないのに、地面に転がる僕を掴んで離してくれない。
 やっぱり頭がいかれたまま戻って来ていないようだ。
 引きはがそうとしても後衛の僕では全く動かない。

「可哀想に、うなされているようだ。よし、村の皆で運んでやろう」

 そんな僕とグリアさんは、村人達に助けられ、村長さんのところへ運ばれるようだ。
 ちなみに、他の三人は歩いて付いて来ている。
 ファラさんからは白い目で見られ、ディザリアさんは高笑いをあげたり。
 たまにミアさんが僕達の上に飛び掛かろうとしていた。


 連れて来られた村長の家の中。

「我が君、我が君いいいいいいい!」

「離れて、離れてえええええ!」

 相変わらず僕から離れてくれないグリアさんに、僕はちょっと困っていた。
 女の人に抱き付かれて悪い気はしないのだけど、あの馬車を横倒しにしてしまった行動もそうだが、アーリアさんとも違う駄目な香りが漂って来ているからだ。
 まあ戦力調査部に居る時点で、あまり関わり合いになるのは勘弁願いたい人物なのは違いない。

 どうしようかと悩んでいると、やっと助けが入ってくれた。

「あんたはもうそろそろ離れなさいよ。仕事が出来ないでしょうが」

 僕に抱き付いていたグリアさんは、ファラさんの手によって引きはがされた。

「クッ、仕事なら仕方がない。でもそれが終わった時には私は自由の身となる! 我が君、それまで我慢してくれ!」

 グリアさんの言い分では、何故か僕が我慢しているように聞こえる。

「嫌です、もうくっ付かないでください」

 だから僕はハッキリと断った。

「我が君いいいいいいいいい!?」

 グリアさんは何故か驚いている。
 僕が同意するとでも思っていたのだろうか?
 こんな漫才みたいなことをやっているが、ここは人の家の中である。
 僕達を助けた村長は、そのやり取りをみてポカンとしていた。

「さてと……」

 僕は場を閉めるようにパンと手を打つと、村長さんは気を取り戻したようだ。

「……あ、ああ皆さん、もうすっかりよろしいようですな。おっと申し遅れました。わたくしは、この村の村長を務める、ジェイカル・キングと申します。どうぞよろしくお願いいたします。さて皆さん、念の為に一泊していきますかな?」

 村長さんは随分優しい人のようで、僕達に住処をくれるようだ。

「是非食事もお願いします!」

 僕の口からは、そんな願いが漏れ出てしまった。

「あははは、まあご用意いたしましょう。その代わり、少し手を貸してもらえませんかな?」

 村長さんは、ただ助けたくて助けた訳ではないらしい。
 僕としては食事が出るだけでもやる気充分だ。

「やりま~す!」

 僕はピンと手を挙げてそう宣言した。
 しかしファラさんに肩をギリギリ締め付けられ、仕事のことを思い出す。
 でも食事のためだ、ここはファラさんに諦めてもらおう。

「ファラさん、助けられた上に食事までご馳走してくれるっていうんですよ? 更に何時までも泊って行ってもいいって言うんですよ? これは聞かない訳にはいかないでしょう!」

 僕は自分の思ったことを言ったまでだが、流石にファラさんでも断り辛いのだろう。
 何も言わずにスッと手を引いた。

「いえ、わたくしはそこまで言っていませんが……」

 逆に村長さんの方から文句が出てきてしまう。
 その辺はおいおい交渉するとして、まずはその頼みというのを聞いてみるとしようか。

「村長さん、その頼みというのはどんなものなのでしょうか? 変な殺人依頼とかされても困りますよ?」

 僕は、一応無難な釘打ちをしといた。
 本当にそんな依頼だったら困るし。

「いえいえ、じつは最近、この村に変な教団が立ち上がってしまってですね。それの調査をお願いしたいのですよ」

 村長さんは、その教団の調査をして欲しいようだ。

「確か魔王教とかいうおかしな集団でして、是非皆様には調査を」

 続けて言った村長の言葉で、僕は一秒で理解した。

「アウトオオオオオオオ!」

 僕は親指を立ててそう言った。
 その組織に絶対フェイさんが関わっているだろう。
 まああの魔王は装備やアイテムを作り出せるのだから、信仰する人も出て来るのも分からなくはない。
 普通に実益があるし、信仰したらお金が貰えるぞと言ってるようなものである。

 フデが作るのかどうかは別の話だが。

「どうやら私達の仕事とも合致したものみたいだわね。私も納得したわ。この家は私達の拠点として、思う存分使わせてもらうわ」

 ファラさんは頷き。

「メシ! メシ!」

 ミアさんは踊り出した。

「いえ、ですからそこまで泊めるとは言っていないんで、出来れば三日ぐらいでお願いします」

 村長さんの泣きの頼みで、結局三日に落ち着いて、僕達はその間に魔王教なるものを調査することになった。

「アーッハッハッハ、魔王教とは片腹痛いわ! この私が全滅させてあげるわよ! さあ、その在りかを教えなさい。私が三秒で全滅してあげるわ! アーッハッハッハ!」

 今まで大人しかったディザリアさんは、敵と聞いて高笑いをあげている。

「……なんでしょうか。わたくしの気のせいだと思いますが、不安しか感じないのですけれど? やっぱり帰って貰ってもいいんですよ?」

 村長さんは、僕達を信用できないらしい。
 この中に僕以外の真面な人は存在していないし、それも当然だろう。
 だからといって、食事のチャンスを諦めるわけにはいかないのだ。

「まあそんなことを言わずに、まずは食事でもしてお互いの親交を深めましょう。これから長い付き合いになるのですから!」

 僕はそう言ってダイニングにある椅子に座ると、ミアさんも隣にある椅子に座った。

「……はぁ」

 諦めた村長さんは、僕達に食事をご馳走してくれた。
 パンやシチューと、本来なら質素な食事ではあるが、僕にとっては草以外なら全てご馳走である。
 激しく腹に詰め込み、食事を食い漁ったのだった。
 そして腹を満たした僕達は、村長さんに聞いた場所へ向かって行く。

「……ここですね」

 僕が顔を上げると、『魔王教へようこそ』とか、デカデカと看板に書かれた物が掲げられている。
 まさかこんなに堂々とあるとは思わなかった。
 ここまで主張している所を見ると、絶対に間違ってはいないだろう。

「お父さん、この中に居るのかしら? とにかく入ってみましょうか。ついて来てミア」

「ファラ、ワカッた!」

 ファラさんはミアさんを連れて中に入ろうとしているが。

「アーッハッハッハ! そんなことをしなくても、敵の拠点ごとぶっ潰せばいいだけよ! オクタゴン……」

 ディザリアさんには一度やらかした前科があったんだった。
 またやらかそうとするディザリアさんに、僕は慌ててその口を塞ごうとするのだけど。

「我が君、手をつないでいこう!」

「ぬあああああ?」

 グリアさんが僕の手を掴んで引き戻された。
 この人周りのことが見えていないんじゃないのか?

「……オメガ・ストーン!」

 だからディザリアさんの魔法を止められず、結局魔王教の建物が崩壊した。


 魔王教の本部は爆散し、材木が高く空に散らばっている。
 近くにバインと跳ねて割れていくのだが、それよりも。

「ああああああああ、無関係な人が中に居たらどうするんですか! 僕達賞金首にされちゃいますよ!?」

 僕はディザリアさんに責任を押し付けようと詰め寄るが。

「アーッハッハッハ! こんな教団に入っている人が真面なわけがないじゃない。この私は理解しているわ!」

 ディザリアさんは反省すらしてくれないようだ。

「ちょっと待って、これ張りぼてみたいよ? 木材の量が少なすぎるし、人が吹き飛んだようにも見えなかったもの」

 ファラさんは散らばった建物を確認すると、木材を足で払いのけている。
 確かに木材も少ないし、人が大勢埋まっているようには見えない。
 それに何か穴のようなものが?

「おっこれは?」

 僕はその穴を確認すると、穴の中にはハシゴが伸びている。
 一人がギリギリの大きさだが。

「ここから地下におりれるみたいですよ。さっきので絶対バレていると思いますけど、行ってみます?」

 僕は穴があるのを全員に伝えた。

「アーッハッハッハ、じゃあ生き埋めにしてあげるわ! ペンタゴン……」

 今やらかしたばかりだというのに、またもやらかそうとするディザリアさん。

「やめなさい!」

 しかし、背後からファラさんのチョップにより。

「痛いわ……」

 ディザリアさんは手で頭を押さえて地面に蹲ってしまった。
 やっぱり体力はほとんどないのである。

「私達が下におりるから、あんたは村長の家にでも帰ってなさい。地下で大魔法を撃たれたら邪魔だしね」

 ファラさんはディザリアさんに、キッパリ真実を言い放った。

「くぅぅ、私が居なくて泣いてもしりませんからね!」

 ディザリアさんはそう吐き捨てたが。

「いや、ないから」

 簡単にファラさんに一蹴された。

「覚えていなさいファラ・ステラ・ラビス! 絶対助けてあげないからあああ!」

 ディザリアさんはファラさんに舌を出して、村長の家に歩いて帰って行った。

「さて、邪魔者は居なくなったわね。じゃあ進むとしましょうか。……あんた達も帰っていいのよ?」

 ファラさんは僕に向かって言ってきた。
 現在進行形でグリアさんに抱き付かれているからだろうか……?

「いえ、僕も行きますから! あの、ちょっと離れてくださいグリアさん!」

 僕はグリアさんを引き離そうと踏ん張るのだが、中々離れてはくれないようだ。

「大丈夫だ我が君、私が連れて下りてやるから。さあ行こうか!」

 グリアさんはやる気をみせて穴に近づいて行くが、その穴はどう考えても二人でおりられる大きさじゃない。

「いや、どう考えても入れないでしょうこれ!? 無理ですよ。無理ですからね!?」

 僕は否定するが。

「大丈夫だ我が君、その位なんとかなるさ」

 グリアさんは先のことを何も見てはくれない。

「ならないです、ならないですよ!」

 僕は必死に抵抗している。

「ふぅ、なんか忙しそうだし、私達は先に行きましょうか。気を付けて下りてねミア」

「ファラ、ワカッた!」

 僕達が暴れている間に、ファラさんとミアさんは下におりて行ってしまう。
 そして僕がどうなったかといえば、グリアさんに抱っこされ、一人用の昇降口におろされようとしている。
 どう考えても入りません。

「行くぞ!」

 というグリアさん。

「駄目です、行けませんよ!?」

 僕は止めたのだが、グリアさんは僕を抱っこしたまま穴の中へ飛び降りた。

「ふぐあああああ!」

 どうなったかといえば、グリアさんは下にそのまま落ちて行き、僕は穴の中に尻だけを入れられてしまった。
 今はこれで済んだけど、これ以上付き合っていたら僕の命が危ういだろう。
 今後の付き合い方には注意しなければ。

「うぬぬぬぬぬぬ……ふぐぅ!」

 僕は必死で穴から抜け出し、三人を追ってハシゴをおりて行った。
 梯子をおりながら景色を確認すると、通路には所々に松明が設置されて火がもやされている。
 ファラさん達も一応待ってくれているようだ。
 そしてグリアさんも、僕がおりて来るのを待ち構えている。
 だから僕は用意していた鉄棒を取り出した。

「よっと」

 僕が地面に着地すると同時に。

「我が君いいいいいいいい!」

 抱き付いて来るグリアさん。

「させません!」

 だけどもう二度とさせないと、用意しておいた鉄棒で牽制しつつ距離をとった。

「な、なぜ!?」

 グリアさんは自分が否定されていることに不思議がっている。

「えええ、分からないんですか!? 分からなくてもいいですから、もう引っ付かないでください」

 僕はキッパリ否定し。

「我が君いいいいいいいいいいいい!?」

 グリアさんが泣き叫んだ。

「あんた達、ここが敵も拠点だって忘れてるんじゃないの? そんなに叫んでたらバレるでしょうが」

「バレるー!」

 ファラさんは僕に注意をし、ミアさんはマネをして跳びはねる。
 しかし、地上であんな爆発があって気付かないんだから大丈夫だろう。

「静かにしてくださいねグリアさん。ここは敵の拠点なんですから」

 僕はファラさんが言った言葉を使い、グリアさんに注意をした。

「くぅぅぅぅ、我が君の頼みというなら我慢しよう。でもこれが終わった後ならいいだろう!?」

「いや、遠慮します」

 一応グリアさんは納得してくれたようで、一安心だ。
 でも僕は遠慮した。

「我が君いいいいいいいいいいいい!?」

 またも叫ぶグリアさんを。

「だから煩いって言ってるでしょうが!」

 ぶん殴ったファラさん。
 しかしこんな騒ぎを起こしているから。

「テキ、キター!」

 ミアさんが黒服の四人がやって来るのを発見した。
 目の部分だけが開いた目出し帽とでもいうのか?
 なんか三角のものをかぶっている。
 見る限り、危ない儀式でも始めそうだ。

 僕達は咄嗟に戦闘体勢を取るのだが。

「あっ、こんにちはー! ご入会の方ですか? ご案内しますよー」

 黒い人の一人からやたらと明るく挨拶されてしまった。
 なんか気が抜けて武器を下ろすが、流石にこんな相手を信用はできない。
 まあ一応は話てみるとしよう。

「あの、僕達はフェイさんを捜しているんですけど」

 僕は多少警戒しながら質問をすると。

「フェイ? ……ああ、大司教ファラちゃん大好きスキスキフェイさんですね? それなら……」

 その口からおかしな単語が流れ出ている。
 しかしその言葉が続けられる前に、ドガンと壁を殴りつける音が聞こえてきた。 振り向くと土壁を抉り、腕が埋まるぐらいに突き刺さったファラさんの姿が見える。

「その馬鹿がどこに居るのか早く教えなさいよ!」

 怒りのオーラが立ち昇っているファラさんに、黒い人達もたじろいだ。

「あ、あっちに……」

 黒い人達は素直に居場所を教えてくれたのだが。

「ありがとう。……じゃあ、眠っていなさい!」

「うひいいいいいいいいい!?」

 ファラさんは怒りのはけ口に、案外いい人なのかもしれない黒い人達に襲い掛かった。
 特に反撃されることも無く全員をブチ倒し、黒い人達は気絶して地面に転がっている。
 可哀想だが、こんな変なものに入会した自分達が悪いと諦めて欲しい。
 まあこのぐらいなら賞金首にはされないかな?
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