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22.調査
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それからはサクラとも口を利かず、というよりお互いが口を開くことなく、黙々と歩き続けた。そしてやっと教会にたどりついた。相変わらず禍々しい空気を醸し出しているような気がする。
ダイコンを確認すると、十三時を過ぎている。昼飯の時間を過ぎているが、腹は減らなかった。
俺は扉をギイギイさせながら開けて、体を中に滑り込ませる。そして教会の扉のすぐ側にボストンバッグを置いた。肩は軽くなったはずなのに、体は重いままだ。
目の前には、横たわった仁美の遺体。ついでに視界の片隅に磯野の遺体。ついさっきお別れをしたのに、またこんなにすぐに彼女に再会することになるとは、思ってもみなかった。
「待っていろ、仁美。お前の敵、俺が討ってやる」
俺はそこで、チラッと磯野の方を見た。考えるのを後回しにしていたが、こいつの死を外部に漏らしたくない奴が存在するんだよな。なぜ漏らしたくないんだ。そいつは他の三人の死にも関係しているのか。
いやとりあえず、仁美の死の解明が先だ。俺は目線を彼女に戻した。俺は海水パンツ(黄)の右ポケットに手を当てた。そこには確かに、手の平サイズの鍵が収納されている感触があった。
昨日、磯野の遺体を運んできたとき、俺は確かに教会の扉に鍵をかけた。それは竹川だって見ているはずだ。あのとき、鍵のかけ方を間違っていて、実は鍵がかかっていなかったのか? いや俺は扉に手をかけて、鍵がかかっているのを確認した。それに再び教会の扉を開けるとき、鍵は問題なく回ったじゃないか。
あとは、誰かが俺のジーパンからこっそり鍵を拝借して、また元に戻した、とか。しかし、さすがに誰かが俺の尻をまさぐったら、俺自身が気付くだろう。そもそもそんな危険を犯そうとする奴がいるとは思えない。気付かれた瞬間、逆セクハラか男色家のレッテルを貼られる。
では、俺が海水パンツ(黄)を脱いでいる間、誰かが鍵を抜き取ったとか? 普通に考えれば、俺が海水パンツ(黄)を脱ぐのは、寝ているときか、風呂に入っているときだけ。俺は昨晩もその前も、部屋の鍵はかけて寝たと思う。今回の生徒たちは知り合いしかいないが、たまに客や生徒の中には変な奴がいて、俺の部屋に忍び込んで百円しか入っていない財布を盗もうとしたり、稲島さんの部屋に忍び込んで邪なことをしようとしたりする輩がいる。だからいくら網島が平和で家の鍵をかけない習慣があっても、このペンションの各部屋の鍵はかけるように習慣づけられていた。
あとは、俺が一階の風呂に入っているとき、脱衣所に忍び込んで俺の脱いだ服をあさって海水パンツ(黄)から鍵を盗んでいった奴がいるとか。俺は昨晩は二時間くらい入っていたから、教会に仁美を吊るしてから鍵を戻すのも可能と考えるだろう。俺が長風呂なのは、クマノミダイビングクラブの連中は知っているし、修学旅行を一緒に経験した、新田や磯野も知っているだろう。仁美やアーヤも彼らに聞いているなら知っているだろう。
いやでもさすがに、この方法も無理だろう。俺がクリスに鍵を返し忘れたなんて偶然だし、それに……。
そうなるとやはり、鍵を使わずに教会に侵入した、ということか。俺は改めて、教会の中の各窓を確認した。まず天井を見ると、天窓が一つ。これは仁美を吊っていたロープを通していた窓だ。大体、縦三十センチ、横三十センチくらいの大きさだ。次に地窓が六つ。扉が設置された壁を除く三つの壁に、それぞれ二つずつ、壁を三分割にする位置に設置されている。大きさは、縦二十センチ、横二十五センチくらい。天窓よりも小さい。そして高窓が六つ。これは扉の向かいの壁を除いた三つの壁に、それぞれ二つずつ、壁を三分割にする位置に設置されている。扉の逆側には、縦四十センチ、横二十センチ、くらいのステンドグラスが、三つ横に並んでいる。壁を四分割にする位置に設置されている。
教会の内部に不審な箇所がないか、あちこち確認してみた。ときにはスマホの望遠機能を使ってみたり。しかし特に何もおかしい箇所は見当たらなかった。どこかに抜け穴があることを期待したのにな。
「ねえ。高窓から漏れた光が、キレイだね」
サクラが隣でボソッと呟いた。確かにほのかに温かい色の光が、横たわった仁美の身体を照らす光景は、幻想的でキレイだった。そんな不謹慎なことを言っている場合ではないのだけれど。
この教会は元々、結婚式を挙げるために建てられた。でも結婚式で使われることなく、遺体の安置所になってしまっている。教会に意志があるとすれば、今は何を思っているだろうか。
「こんなときに言うのも何だけどさ。うちのお父さん、昔、ウェディングプランナーをやっていたことがあったんだよ。でも結婚式を挙げるカップルが年々、減っているってことで、廃業になっちゃったけどね」
それはチラッと聞いたことがある。廃業になったということで、あまりこちらから詳しくは聞けなかったが。
「今の若い人たちって、現実的なんだよね。結婚式って、お金も時間もかかるから、婚姻届を提出するだけで、結婚式をやらない夫婦も増えている。でもさ、やる夫婦にとっては、一生の思い出になるんだよ。他人のことなのに、こっちがワクワクしちゃうんだよ。だから私、子供のころから、そういうのをお手伝いする人になりたかったんだ」
サクラは、目を輝かせてそう言った。そうか。お父さんと同じく、ウェディングプランナーになりたかったのか。初めて知った。
「まあ結局は、網島でプラプラしているだけになっちゃったけどね」
「それは俺も、似たようなものだしな」
ダイビングのインストラクターの仕事はしているが、経済的な面では、いつまでも実家暮らしで甘えている訳だし。というかこのままいくと、クマノミダイビングクラブの網島支店は閉店となるだろう。これだけ死者を出してしまったわけだし。閉店とならなくても、俺はもうあいつらと一緒に仕事をする気になれない。
「なあ、その夢、一緒に叶えないか?」
「えっ?」
サクラは驚いたように俺を見た。俺は冗談っぽく言ったりはしていない。少なくとも、いつもサクラに告白していたときよりは、ずっと真剣に言っている。
「いいじゃないか。ウェディング事業を立ち上げるの。幸せなカップルを送り出すなんて、面白そうじゃないか」
網島には、ウェディング事業はなかったはず。正確には、姫島にできるはずだったのだが、途中で取りやめになってしまった。
今、網島で結婚する夫婦は、どこかのレストランで人前式をやるか、網島神社で神前式をやるか、網島以外で結婚式を挙げるか、大西みたいに結婚式をやらないか、のどれかだ。俺たちがウェディング事業を立ち上げてもいいじゃないか。
もちろん、流行るかどうか分からないというか、まず流行らないだろうが。でも儲けることが目的じゃない。幸せな夫婦を送り出すことが目的なんだから。
「そう、だね。カエデと結婚式を盛り上げるの、楽しそう」
サクラは嬉しそうに笑った。俺も二人で結婚式を盛り上げていくの、楽しそうだと考えた。そしてゆくゆくは、彼女と結婚式を……。
「二人とも。ずいぶんと、仲が良さそうね」
ふいに甲高い女の声が聞こえた。声がする方へ顔を向けると、たった数メートル先に、黄色い目の女の顔があり、俺は悲鳴を上げて後ずさりをした。ゴスロリファッションにバスケットを抱えたクリスが、いつの間にか教会の扉に姿を見せていた。これからどこへピクニックに行こうとしているのか。
「な、何だよ、お前。何しに来たんだよ」
俺は、お前らが俺に何を言ったのか、忘れたわけじゃないぞ。
「差し入れを持ってきた人に、ずいぶんな態度じゃない?」
クリスは俺にバスケットを押し付けてきた。中を見ると、ペットボトルの水が三本。そしてラップしてあるサンドイッチやおにぎりやお菓子が入っていた。彼女に対してまだ腹は立っていたが、これはありがたく受け取っておいた。
そしてよく考えてみた。クマノミダイビングクラブの連中は、俺を疑う発言をしていたが、クリスは別に何も言っていなかった。ずっと黙っていたんだ。つまり俺は彼女に対しては、何の恨みもないということになる。さっきの態度は申し訳なかった。
「とりあえず、これ、礼を言っておくわ」
俺はそう言うと、顔を見られないようクリスに背を向けて、教会の隅の方にバスケットを大事そうに置いた。彼女は姫島にいる連中の中では一番、付き合いが短い。それでも俺を放っておかない。今の俺には本当に嬉しい存在だった。
「というか、お前。よく俺がここにいるのが分かったな」
「彼らにあれこれ言われたあなたのことだもの。自分一人で、葉山さんを殺した犯人を突き止めるつもりだったんでしょう」
なるほど。そんな俺の性格、お見通しってことか。それともお得意の占いか?
「でもお前も、俺が仁美を殺した犯人だと思っているんじゃないのか?」
「思っていないわよ」
クリス、俺のことを信じてくれているのか。つまりひょっとして、俺のことを……。
「勘違いしないで。あなたに気があるとか、そんな理由じゃないの。ちゃんとした根拠があるのよ」
前半はともかく、後半はものすごく興味がある。
「あのとき、ここで、葉山さんの死体を確認したときだけど……」
ああ、いきなり仁美のバスローブをはだけさせた、あのときか。次からは周りに男がいないかどうかを確認してからやってほしいものだ。
「あのとき、葉山さんの身体は、まったく死後硬直が始まっていなかったわ。紫斑も見えなかった」
「……」
えっと。死後硬直って、死んだあと、遺体がだんだん固くなっていくってやつだよな。紫斑は、死んだあとに血液が身体の下に溜まって、血の色が見えるってやつだよな。それで死亡推定時刻が予想つくのだが。
「お前、ひょっとして、死亡推定時刻が判断できるのか?」
「知識があるだけよ」
もしかして、警察関係か、医療関係の仕事をしていたとか。それとも趣味でできるようになったとか。もし後半だったら、正直な感想を言うと、ものすごく怖いぞ。
「人は死んだら、二時間くらいで、死後硬直が始まったり、紫斑が見えてきたりするの。もちろん気温が高かったり低かったり、水の中に入れられていたりで、変わってくるけどね」
サスペンスドラマだと、死亡推定時刻を狂わせるために、エアコンをつけて部屋を冷やしたり、水の中に入れたりするんだよな。俺も前期の月九で、それくらいの知識はあるぜ。クリスには負けるがな。
「そして葉山さんの身体は、どちらも当てはまらなかった。つまり彼女が死んだのは、発見されてから二時間以内。そして二時間以内というと、あなたにはアリバイがある」
「あっ……」
仁美の死体を発見する前の一時間、俺は竹川と一緒に姫島を探索していた。そして姫島を探索開始する前の一時間、俺が起き出してきて、新田が死んでいるって、皆で騒いでいた。
「というか、それって……全員にアリバイがあるってことじゃないか。皆と別れてから、俺は竹川と一緒だったから、あいつのアリバイもあるってことになる。俺たちと別れてから、お前たち、誰か抜けた奴がいるのか?」
「いないわ。トイレに立ったり、煙草を吸いに行ったり、っていうのはあるけれど。でもどれも五分程度で戻ってきたし」
その煙草を吸いに行ったのは、大西しかいないじゃないか。
「というわけで、葉山さんを殺せる人が、誰もいないのよ」
何ということだ。これはもう、網姫の呪いと断言するしかないじゃないか。いや何かあるはずだ。生きている人間が、仁美を殺した方法が。
「というか今の話、さっきの時点で話してくれれば、俺は追い出されなくてすんだんじゃないか」
正確には、自分から出て行ったのだが。でもあんな状況じゃ、出て行かざるを得ないだろう。
「実は葉山さんの死亡推定時刻のこと、望月さんにしか話していないのよ」
「えっ? 何で?」
俺の疑問の声なんて聞いていないように、クリスは自分の巻き髪をいじりながらそう言った。
「だからそのうち、望月さんが死亡推定時刻を分かっていないと思っている真犯人が、ボロを出すかもしれないわ。それまで待ってみるのもいいんじゃないかしら」
犯人しか知り得ない情報をしゃべらせろ、ってことか。
「それにあなたも、葉山さんの身体を調べてみるといいわ。恥ずかしがっていないで」
クリスはそう言い残して、教会から立ち去っていった。俺はそんな彼女の背中を黙って見送った。
「良かったね、カエデ。クリスちゃんのおかげで、カエデが警察のお世話になることはなさそうだよ!」
サクラがパッと嬉しそうに言った。あいつには感謝しても、しつくしきれない。差し入れだってくれたし。
「私、教会の周りを調べてみるよ。カエデはクリスちゃんの言う通り、葉山さんの遺体を調べてみなよ!」
サクラはそう言って、教会の扉から外に出て行った。
「クリスの言う通り、俺も調べてみるか」
というわけで、俺も仁美の遺体を調べてみることにした。そういえば仁美のことはクリスたちに任せてしまって、俺はほとんど見ていないんだよな。もちろん変な箇所を触る気はないぞ。サクラだってすぐ近くにいるからな。
俺は仁美に心の中で「ごめん」と言いながら、彼女の身体を触ってみた。さすがに時間が経っているので、顎や首の辺りが硬くなっているのを感じる。ただしどこがどれくらい硬くなっていれば死後何時間が経っているとか、俺にそんな知識はない。クリス、戻ってきてくれないかな。
「ん、これは?」
仁美の身体には、クリスからの報告以上の発見はなかった。しかし、俺が疑問に思った点がある。彼女が着ているこのバスローブだ。内側、ちょうど胸部の右上に当たる位置に、針の先のように小さな赤茶色い点が、二つ、いや三つ、ついている。
「これ、ひょっとして、血?」
仁美のものか? いやでも仁美の胸部を確認したが(ここで彼女に心から謝罪を入れる)、ケガらしきケガはしていない。小さな点だし、すぐに治った小さな傷からだろうか。女性は生理があるから、ケガをしていなくても出血があったことは考えられる。でもこんな位置につくなんておかしいよな。
「それにしても、このバスローブ……よく見たら、すごい安物だな」
よく見たら腕の部分とか、縫い目がガタガタじゃないか。クリス、ゴスロリファッションにお金をかけすぎて、寝間着にお金をかける余裕はないのか。まあ俺も寝るとき、Tシャツとトランクスだけだが。むしろその辺りを着ないで、素っ裸で寝ることも。
「カエデー」
外から、サクラが俺を呼んでいるだろう声が聞こえてきた。しかし俺は教会の外に出てみたが、誰の姿も見つけられなかった、サクラはどこに行ったんだ?
「カエデ、ここだよ!」
上の方から声が聞こえてきた。教会の屋上を見上げると、おかっぱ頭がひょっこり顔を出した。
「カエデ、ちょっと気になることがあるの。こっちに来てもらえる? 扉から出て左側に、脚立があるから」
俺はサクラの声に従って、脚立を使って教会の屋上に上った。鶏より一回り大きい風見鶏が、俺に尾を向けているのが目に入った。
「あのね、ピーちゃんの喉元を見て欲しいの」
「ピーちゃん?」
「風見鶏のピーちゃんだよ」
紛らわしい名前をつけるな。とりあえず俺は、ピーちゃんの喉元を見た。
「ほら、ピーちゃんの首元に、ロープで絞められたような跡があるでしょう?」
「ああ」
ピーちゃんの首元には、ロープで首を絞めたような跡があった。つまり仁美を吊っていたロープの先端は、ここに引っかけられていたということだ。またはピーちゃんも、首を絞められて殺されたか。可哀想に。
「でもね、それだけじゃないの。ピーちゃんの首元に、他にも細かい傷が見えない?」
「確かに」
ピーちゃんの首元には、ロープ以外にも、細い紐で絞められたような跡がたくさんあった。正確な数は分からない。とにかく、数えきれないほどたくさんだ。
「それだけじゃないの。ほら、天窓の方を見て」
俺はサクラの言う通り、天窓を覗き込んだ。仁美を吊るしていたロープは、この天窓を通っていた。
「この天窓にも、ロープでこすったような跡があるでしょう?」
サクラの言う通りだ。天窓のサッシの部分には、ロープでこすったような跡がある。それに……。
「他にも、細かい傷がいくつもあるな」
「そうなんだよ。ピーちゃんの首元と同じなんだよね」
サッシの細かい傷も、正確な数は分からなかったが、とにかく数えきれないほどたくさんあった。
「これ、今回の事件に何か関係あるのか?」
いつできた傷なのかも分からないし、何とも言えない。ただ俺の勘が、何か意味を持っている、と言っているような気がする。
「うーん、分からん。とりあえずスマホに撮影して、下に降りよう」
俺はピーちゃんの首元、天窓のサッシ、とにかく気になる箇所を、何度もスマホで撮影した。
「そうだ。ついでに、仁美も撮影しておこう」
俺は脚立で下に降りて、仁美の遺体も撮影することにした。言っておくけど、変な箇所は撮影していないからな。
「とりあえずこのあと、どうする?」
サクラに次のプランを聞かれて、俺はスマホで時間を確認した。もう十五時か。
「新田はともかく、アーヤの死は、殺人事件で間違いない。だからアーヤの事件を調査しようかな」
仁美とアーヤを殺した犯人は、同一人物の可能性もある。ならアーヤの事件を調べることで、そこから何か見えてくる可能性がある。
「あのさ、瀬戸さんのことを調べるのはいいけど。でもあのバラバラ死体を確認するってこと?」
「うっ……」
バラバラな上、魚に食われて大変なことになっているあの死体を調べるのか。気が進まない。
「それでも調べないと、真相は分からないかもしれない。砂浜に行くよ」
俺はサクラと共に、教会をあとにした。
ダイコンを確認すると、十三時を過ぎている。昼飯の時間を過ぎているが、腹は減らなかった。
俺は扉をギイギイさせながら開けて、体を中に滑り込ませる。そして教会の扉のすぐ側にボストンバッグを置いた。肩は軽くなったはずなのに、体は重いままだ。
目の前には、横たわった仁美の遺体。ついでに視界の片隅に磯野の遺体。ついさっきお別れをしたのに、またこんなにすぐに彼女に再会することになるとは、思ってもみなかった。
「待っていろ、仁美。お前の敵、俺が討ってやる」
俺はそこで、チラッと磯野の方を見た。考えるのを後回しにしていたが、こいつの死を外部に漏らしたくない奴が存在するんだよな。なぜ漏らしたくないんだ。そいつは他の三人の死にも関係しているのか。
いやとりあえず、仁美の死の解明が先だ。俺は目線を彼女に戻した。俺は海水パンツ(黄)の右ポケットに手を当てた。そこには確かに、手の平サイズの鍵が収納されている感触があった。
昨日、磯野の遺体を運んできたとき、俺は確かに教会の扉に鍵をかけた。それは竹川だって見ているはずだ。あのとき、鍵のかけ方を間違っていて、実は鍵がかかっていなかったのか? いや俺は扉に手をかけて、鍵がかかっているのを確認した。それに再び教会の扉を開けるとき、鍵は問題なく回ったじゃないか。
あとは、誰かが俺のジーパンからこっそり鍵を拝借して、また元に戻した、とか。しかし、さすがに誰かが俺の尻をまさぐったら、俺自身が気付くだろう。そもそもそんな危険を犯そうとする奴がいるとは思えない。気付かれた瞬間、逆セクハラか男色家のレッテルを貼られる。
では、俺が海水パンツ(黄)を脱いでいる間、誰かが鍵を抜き取ったとか? 普通に考えれば、俺が海水パンツ(黄)を脱ぐのは、寝ているときか、風呂に入っているときだけ。俺は昨晩もその前も、部屋の鍵はかけて寝たと思う。今回の生徒たちは知り合いしかいないが、たまに客や生徒の中には変な奴がいて、俺の部屋に忍び込んで百円しか入っていない財布を盗もうとしたり、稲島さんの部屋に忍び込んで邪なことをしようとしたりする輩がいる。だからいくら網島が平和で家の鍵をかけない習慣があっても、このペンションの各部屋の鍵はかけるように習慣づけられていた。
あとは、俺が一階の風呂に入っているとき、脱衣所に忍び込んで俺の脱いだ服をあさって海水パンツ(黄)から鍵を盗んでいった奴がいるとか。俺は昨晩は二時間くらい入っていたから、教会に仁美を吊るしてから鍵を戻すのも可能と考えるだろう。俺が長風呂なのは、クマノミダイビングクラブの連中は知っているし、修学旅行を一緒に経験した、新田や磯野も知っているだろう。仁美やアーヤも彼らに聞いているなら知っているだろう。
いやでもさすがに、この方法も無理だろう。俺がクリスに鍵を返し忘れたなんて偶然だし、それに……。
そうなるとやはり、鍵を使わずに教会に侵入した、ということか。俺は改めて、教会の中の各窓を確認した。まず天井を見ると、天窓が一つ。これは仁美を吊っていたロープを通していた窓だ。大体、縦三十センチ、横三十センチくらいの大きさだ。次に地窓が六つ。扉が設置された壁を除く三つの壁に、それぞれ二つずつ、壁を三分割にする位置に設置されている。大きさは、縦二十センチ、横二十五センチくらい。天窓よりも小さい。そして高窓が六つ。これは扉の向かいの壁を除いた三つの壁に、それぞれ二つずつ、壁を三分割にする位置に設置されている。扉の逆側には、縦四十センチ、横二十センチ、くらいのステンドグラスが、三つ横に並んでいる。壁を四分割にする位置に設置されている。
教会の内部に不審な箇所がないか、あちこち確認してみた。ときにはスマホの望遠機能を使ってみたり。しかし特に何もおかしい箇所は見当たらなかった。どこかに抜け穴があることを期待したのにな。
「ねえ。高窓から漏れた光が、キレイだね」
サクラが隣でボソッと呟いた。確かにほのかに温かい色の光が、横たわった仁美の身体を照らす光景は、幻想的でキレイだった。そんな不謹慎なことを言っている場合ではないのだけれど。
この教会は元々、結婚式を挙げるために建てられた。でも結婚式で使われることなく、遺体の安置所になってしまっている。教会に意志があるとすれば、今は何を思っているだろうか。
「こんなときに言うのも何だけどさ。うちのお父さん、昔、ウェディングプランナーをやっていたことがあったんだよ。でも結婚式を挙げるカップルが年々、減っているってことで、廃業になっちゃったけどね」
それはチラッと聞いたことがある。廃業になったということで、あまりこちらから詳しくは聞けなかったが。
「今の若い人たちって、現実的なんだよね。結婚式って、お金も時間もかかるから、婚姻届を提出するだけで、結婚式をやらない夫婦も増えている。でもさ、やる夫婦にとっては、一生の思い出になるんだよ。他人のことなのに、こっちがワクワクしちゃうんだよ。だから私、子供のころから、そういうのをお手伝いする人になりたかったんだ」
サクラは、目を輝かせてそう言った。そうか。お父さんと同じく、ウェディングプランナーになりたかったのか。初めて知った。
「まあ結局は、網島でプラプラしているだけになっちゃったけどね」
「それは俺も、似たようなものだしな」
ダイビングのインストラクターの仕事はしているが、経済的な面では、いつまでも実家暮らしで甘えている訳だし。というかこのままいくと、クマノミダイビングクラブの網島支店は閉店となるだろう。これだけ死者を出してしまったわけだし。閉店とならなくても、俺はもうあいつらと一緒に仕事をする気になれない。
「なあ、その夢、一緒に叶えないか?」
「えっ?」
サクラは驚いたように俺を見た。俺は冗談っぽく言ったりはしていない。少なくとも、いつもサクラに告白していたときよりは、ずっと真剣に言っている。
「いいじゃないか。ウェディング事業を立ち上げるの。幸せなカップルを送り出すなんて、面白そうじゃないか」
網島には、ウェディング事業はなかったはず。正確には、姫島にできるはずだったのだが、途中で取りやめになってしまった。
今、網島で結婚する夫婦は、どこかのレストランで人前式をやるか、網島神社で神前式をやるか、網島以外で結婚式を挙げるか、大西みたいに結婚式をやらないか、のどれかだ。俺たちがウェディング事業を立ち上げてもいいじゃないか。
もちろん、流行るかどうか分からないというか、まず流行らないだろうが。でも儲けることが目的じゃない。幸せな夫婦を送り出すことが目的なんだから。
「そう、だね。カエデと結婚式を盛り上げるの、楽しそう」
サクラは嬉しそうに笑った。俺も二人で結婚式を盛り上げていくの、楽しそうだと考えた。そしてゆくゆくは、彼女と結婚式を……。
「二人とも。ずいぶんと、仲が良さそうね」
ふいに甲高い女の声が聞こえた。声がする方へ顔を向けると、たった数メートル先に、黄色い目の女の顔があり、俺は悲鳴を上げて後ずさりをした。ゴスロリファッションにバスケットを抱えたクリスが、いつの間にか教会の扉に姿を見せていた。これからどこへピクニックに行こうとしているのか。
「な、何だよ、お前。何しに来たんだよ」
俺は、お前らが俺に何を言ったのか、忘れたわけじゃないぞ。
「差し入れを持ってきた人に、ずいぶんな態度じゃない?」
クリスは俺にバスケットを押し付けてきた。中を見ると、ペットボトルの水が三本。そしてラップしてあるサンドイッチやおにぎりやお菓子が入っていた。彼女に対してまだ腹は立っていたが、これはありがたく受け取っておいた。
そしてよく考えてみた。クマノミダイビングクラブの連中は、俺を疑う発言をしていたが、クリスは別に何も言っていなかった。ずっと黙っていたんだ。つまり俺は彼女に対しては、何の恨みもないということになる。さっきの態度は申し訳なかった。
「とりあえず、これ、礼を言っておくわ」
俺はそう言うと、顔を見られないようクリスに背を向けて、教会の隅の方にバスケットを大事そうに置いた。彼女は姫島にいる連中の中では一番、付き合いが短い。それでも俺を放っておかない。今の俺には本当に嬉しい存在だった。
「というか、お前。よく俺がここにいるのが分かったな」
「彼らにあれこれ言われたあなたのことだもの。自分一人で、葉山さんを殺した犯人を突き止めるつもりだったんでしょう」
なるほど。そんな俺の性格、お見通しってことか。それともお得意の占いか?
「でもお前も、俺が仁美を殺した犯人だと思っているんじゃないのか?」
「思っていないわよ」
クリス、俺のことを信じてくれているのか。つまりひょっとして、俺のことを……。
「勘違いしないで。あなたに気があるとか、そんな理由じゃないの。ちゃんとした根拠があるのよ」
前半はともかく、後半はものすごく興味がある。
「あのとき、ここで、葉山さんの死体を確認したときだけど……」
ああ、いきなり仁美のバスローブをはだけさせた、あのときか。次からは周りに男がいないかどうかを確認してからやってほしいものだ。
「あのとき、葉山さんの身体は、まったく死後硬直が始まっていなかったわ。紫斑も見えなかった」
「……」
えっと。死後硬直って、死んだあと、遺体がだんだん固くなっていくってやつだよな。紫斑は、死んだあとに血液が身体の下に溜まって、血の色が見えるってやつだよな。それで死亡推定時刻が予想つくのだが。
「お前、ひょっとして、死亡推定時刻が判断できるのか?」
「知識があるだけよ」
もしかして、警察関係か、医療関係の仕事をしていたとか。それとも趣味でできるようになったとか。もし後半だったら、正直な感想を言うと、ものすごく怖いぞ。
「人は死んだら、二時間くらいで、死後硬直が始まったり、紫斑が見えてきたりするの。もちろん気温が高かったり低かったり、水の中に入れられていたりで、変わってくるけどね」
サスペンスドラマだと、死亡推定時刻を狂わせるために、エアコンをつけて部屋を冷やしたり、水の中に入れたりするんだよな。俺も前期の月九で、それくらいの知識はあるぜ。クリスには負けるがな。
「そして葉山さんの身体は、どちらも当てはまらなかった。つまり彼女が死んだのは、発見されてから二時間以内。そして二時間以内というと、あなたにはアリバイがある」
「あっ……」
仁美の死体を発見する前の一時間、俺は竹川と一緒に姫島を探索していた。そして姫島を探索開始する前の一時間、俺が起き出してきて、新田が死んでいるって、皆で騒いでいた。
「というか、それって……全員にアリバイがあるってことじゃないか。皆と別れてから、俺は竹川と一緒だったから、あいつのアリバイもあるってことになる。俺たちと別れてから、お前たち、誰か抜けた奴がいるのか?」
「いないわ。トイレに立ったり、煙草を吸いに行ったり、っていうのはあるけれど。でもどれも五分程度で戻ってきたし」
その煙草を吸いに行ったのは、大西しかいないじゃないか。
「というわけで、葉山さんを殺せる人が、誰もいないのよ」
何ということだ。これはもう、網姫の呪いと断言するしかないじゃないか。いや何かあるはずだ。生きている人間が、仁美を殺した方法が。
「というか今の話、さっきの時点で話してくれれば、俺は追い出されなくてすんだんじゃないか」
正確には、自分から出て行ったのだが。でもあんな状況じゃ、出て行かざるを得ないだろう。
「実は葉山さんの死亡推定時刻のこと、望月さんにしか話していないのよ」
「えっ? 何で?」
俺の疑問の声なんて聞いていないように、クリスは自分の巻き髪をいじりながらそう言った。
「だからそのうち、望月さんが死亡推定時刻を分かっていないと思っている真犯人が、ボロを出すかもしれないわ。それまで待ってみるのもいいんじゃないかしら」
犯人しか知り得ない情報をしゃべらせろ、ってことか。
「それにあなたも、葉山さんの身体を調べてみるといいわ。恥ずかしがっていないで」
クリスはそう言い残して、教会から立ち去っていった。俺はそんな彼女の背中を黙って見送った。
「良かったね、カエデ。クリスちゃんのおかげで、カエデが警察のお世話になることはなさそうだよ!」
サクラがパッと嬉しそうに言った。あいつには感謝しても、しつくしきれない。差し入れだってくれたし。
「私、教会の周りを調べてみるよ。カエデはクリスちゃんの言う通り、葉山さんの遺体を調べてみなよ!」
サクラはそう言って、教会の扉から外に出て行った。
「クリスの言う通り、俺も調べてみるか」
というわけで、俺も仁美の遺体を調べてみることにした。そういえば仁美のことはクリスたちに任せてしまって、俺はほとんど見ていないんだよな。もちろん変な箇所を触る気はないぞ。サクラだってすぐ近くにいるからな。
俺は仁美に心の中で「ごめん」と言いながら、彼女の身体を触ってみた。さすがに時間が経っているので、顎や首の辺りが硬くなっているのを感じる。ただしどこがどれくらい硬くなっていれば死後何時間が経っているとか、俺にそんな知識はない。クリス、戻ってきてくれないかな。
「ん、これは?」
仁美の身体には、クリスからの報告以上の発見はなかった。しかし、俺が疑問に思った点がある。彼女が着ているこのバスローブだ。内側、ちょうど胸部の右上に当たる位置に、針の先のように小さな赤茶色い点が、二つ、いや三つ、ついている。
「これ、ひょっとして、血?」
仁美のものか? いやでも仁美の胸部を確認したが(ここで彼女に心から謝罪を入れる)、ケガらしきケガはしていない。小さな点だし、すぐに治った小さな傷からだろうか。女性は生理があるから、ケガをしていなくても出血があったことは考えられる。でもこんな位置につくなんておかしいよな。
「それにしても、このバスローブ……よく見たら、すごい安物だな」
よく見たら腕の部分とか、縫い目がガタガタじゃないか。クリス、ゴスロリファッションにお金をかけすぎて、寝間着にお金をかける余裕はないのか。まあ俺も寝るとき、Tシャツとトランクスだけだが。むしろその辺りを着ないで、素っ裸で寝ることも。
「カエデー」
外から、サクラが俺を呼んでいるだろう声が聞こえてきた。しかし俺は教会の外に出てみたが、誰の姿も見つけられなかった、サクラはどこに行ったんだ?
「カエデ、ここだよ!」
上の方から声が聞こえてきた。教会の屋上を見上げると、おかっぱ頭がひょっこり顔を出した。
「カエデ、ちょっと気になることがあるの。こっちに来てもらえる? 扉から出て左側に、脚立があるから」
俺はサクラの声に従って、脚立を使って教会の屋上に上った。鶏より一回り大きい風見鶏が、俺に尾を向けているのが目に入った。
「あのね、ピーちゃんの喉元を見て欲しいの」
「ピーちゃん?」
「風見鶏のピーちゃんだよ」
紛らわしい名前をつけるな。とりあえず俺は、ピーちゃんの喉元を見た。
「ほら、ピーちゃんの首元に、ロープで絞められたような跡があるでしょう?」
「ああ」
ピーちゃんの首元には、ロープで首を絞めたような跡があった。つまり仁美を吊っていたロープの先端は、ここに引っかけられていたということだ。またはピーちゃんも、首を絞められて殺されたか。可哀想に。
「でもね、それだけじゃないの。ピーちゃんの首元に、他にも細かい傷が見えない?」
「確かに」
ピーちゃんの首元には、ロープ以外にも、細い紐で絞められたような跡がたくさんあった。正確な数は分からない。とにかく、数えきれないほどたくさんだ。
「それだけじゃないの。ほら、天窓の方を見て」
俺はサクラの言う通り、天窓を覗き込んだ。仁美を吊るしていたロープは、この天窓を通っていた。
「この天窓にも、ロープでこすったような跡があるでしょう?」
サクラの言う通りだ。天窓のサッシの部分には、ロープでこすったような跡がある。それに……。
「他にも、細かい傷がいくつもあるな」
「そうなんだよ。ピーちゃんの首元と同じなんだよね」
サッシの細かい傷も、正確な数は分からなかったが、とにかく数えきれないほどたくさんあった。
「これ、今回の事件に何か関係あるのか?」
いつできた傷なのかも分からないし、何とも言えない。ただ俺の勘が、何か意味を持っている、と言っているような気がする。
「うーん、分からん。とりあえずスマホに撮影して、下に降りよう」
俺はピーちゃんの首元、天窓のサッシ、とにかく気になる箇所を、何度もスマホで撮影した。
「そうだ。ついでに、仁美も撮影しておこう」
俺は脚立で下に降りて、仁美の遺体も撮影することにした。言っておくけど、変な箇所は撮影していないからな。
「とりあえずこのあと、どうする?」
サクラに次のプランを聞かれて、俺はスマホで時間を確認した。もう十五時か。
「新田はともかく、アーヤの死は、殺人事件で間違いない。だからアーヤの事件を調査しようかな」
仁美とアーヤを殺した犯人は、同一人物の可能性もある。ならアーヤの事件を調べることで、そこから何か見えてくる可能性がある。
「あのさ、瀬戸さんのことを調べるのはいいけど。でもあのバラバラ死体を確認するってこと?」
「うっ……」
バラバラな上、魚に食われて大変なことになっているあの死体を調べるのか。気が進まない。
「それでも調べないと、真相は分からないかもしれない。砂浜に行くよ」
俺はサクラと共に、教会をあとにした。
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