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領地について10日ほどたった俺は、ただ部屋から庭を眺めている・・・
ここは、俺の役目もない・・・俺の出来ることも、俺の居場所も・・・
王都では「アルヴェリック侯爵家の三男」として存在していたはずの俺は、ここではただの”何もできない出来損ない”だった。
領地についた翌朝、俺は執事に意気揚々と尋ねた。
「謹慎中の俺に出来ることはないか?」
「レオン様にお願いできることは何もございません。ここでは反省をしていただき、ご自身を顧みるようにと――ご主人様からも、そのように仰せつかっております」
執事は一呼吸置くと、表情を一切変えずにいった。
「・・・だから、俺は俺ができることを!」
思わず声が荒くなる。
「無いものは、無いのでございます。」
(ここでも、出来損ないの俺には、出来ることも役目もないのか?)
そう言って執事は俺の斜め後ろに控えて喋らなくなった。
俺は仕方なく初めて訪れた領地の屋敷を見て回ることにした。
生まれてから一度も足を踏み入れたことのない場所だ。
何か、得られるものがあるかもしれない――そんな淡い期待だけを抱いて。
庭師や使用人の何人かとすれ違って、困っていることが無いか聞こうとしたが、皆、俺と目が合うと困ったように会釈だけ。若い女性の使用人にいたっては90度にお辞儀したかと思うと「仕事に戻ります!」と慌てて俺の前から居なくなっていった。礼を失しているわけじゃない。ただ皆、俺が起こした事を知っているだけ。
(本当に?それだけか?「俺」だからなんじゃないのか?)
皆が近づいてこない理由が「出来事」なのか、「俺自身」なのかが分からなくなった。
次の日、父上の言う「反省」や「自分を顧みる」ための何かが見つかるかもしれないと、図書室に足を運んだ。
けれど並んでいるのは、領地経営の書や剣術書ばかり。
俺には関係がなく、必要とされてもいないものばかりだった・・・
剣も領地も、騎士団の事も兄さんたちが受け継いでいく。
そう改めて考えた瞬間、自分が生きている意味が分からなくなった。
3日目、俺は領地の騎士団の訓練場所に足を運ぶことにした。
領主の家族が顔を出せば、少しは励みになるかもしれない――そう思ったからだ。
訓練所のそばまで行くと、騎士たちの楽しそうな声が聞こえてきた。
「そう言えば、ご主人様の三男でいらっしゃるレオン様が数日前からこちらに滞在されているらしいぞ。」
一人の男が剣を片手に汗を拭きながら言ってた。それを聞いた別の騎士が口を開く
「あぁ、そのレオン様、ただ領地にいらしたわけではないらしい。女でやらかして謹慎目的らしいぞ。」
「そうなのか!?でもご主人様のご子息様なら、剣も火の魔法もすげーんだろうな!リュシアン様もアラン様も幼少のころから見事だった!」
ひと際体の大きい騎士が豪快に笑いながらそんなことを言ってて、俺の足は止まった。
「それがよ!レオン様は全然だめらしい!」
「なんだそれは!そんなことがあるのか!?アルヴェリックなのに⁉︎」
「だよなぁ。」
騎士たちの言葉が、胸に突き刺さる。
剣と火の魔法が使えることが前提で語られる家名。
(そんな場所に俺の居場所はやっぱりなかったんだ…)
この三日間、斜め後ろに控え、事あるごとに俺を見ていた執事はこの言葉も聞いていたはずなのに騎士に注意もしなかった。
(お前もやっぱりそう思っているんだな・・)
剣が振れない。火も使えない。アルヴェリックである意味が、俺にはひとつもない。
気が付けば走って自室に逃げ込んでいた。
こんな時に限って、《おかん》は何も言ってこないし、何も反応してくれなかった。。。
それから、俺は一歩も自室から出られなくなった。
眠れないままずっと、窓の外を眺めていた。
窓から月明かりが一筋入ってきて、部屋の一画を照らしていた。
その光の先をふと振り返ると、馬車の一件から出しっぱなしの弓が照らされていた・・・
なぜ、俺ができるのは弓なんだ?剣じゃないんだ!
弓なんか出来たって、意味がない!アルヴェリックじゃない!
右手の手のひらに集中して、魔力を込めてみる。
手のひらには小さな竜巻のような風の渦ができた。
なんで、火じゃないんだよ!!
俺だって、アルヴェリックなのに!!
頭に幼いころのリュシー兄とアラン兄が出てくる。俺の魔法が風魔法と知って泣いていた俺に兄たちは、笑いながら言ってくる。
『お前には火なんか似合わない。』
…なんか笑えてきた。
剣も火も使えないし、反省したくても何もできないし、前世を思い出したって何の役にもたたないし…
どんなに努力しても、本当のアルヴェリックになれない。
俺は、なにもできない、いらない人間なんだ・・・
「・・・つかれた・・・」
俺は弓を手に取った。そのまま魔法で竜巻を起こそうとしたが、手を止めた。
屋敷を壊したら迷惑をかけるな。。。
だから、明け方前。
誰も使わない騎士団の訓練所へ向かった。
部屋着のまま、弓を抱えて。
ココなら、誰にも迷惑をかけず、消せるな。。。
俺は左手に弓を持ち替えて、右手を自分の胸に当てる。すべての魔力を右手に集中して放とうとした瞬間
「レオン様」
懐かしい声に、はっとして振り返る。
そこに立っていたのは、
大柄で、体格がよく、
そして――変わらない優しい笑顔の男だった。
「ソロ・・・」
ここは、俺の役目もない・・・俺の出来ることも、俺の居場所も・・・
王都では「アルヴェリック侯爵家の三男」として存在していたはずの俺は、ここではただの”何もできない出来損ない”だった。
領地についた翌朝、俺は執事に意気揚々と尋ねた。
「謹慎中の俺に出来ることはないか?」
「レオン様にお願いできることは何もございません。ここでは反省をしていただき、ご自身を顧みるようにと――ご主人様からも、そのように仰せつかっております」
執事は一呼吸置くと、表情を一切変えずにいった。
「・・・だから、俺は俺ができることを!」
思わず声が荒くなる。
「無いものは、無いのでございます。」
(ここでも、出来損ないの俺には、出来ることも役目もないのか?)
そう言って執事は俺の斜め後ろに控えて喋らなくなった。
俺は仕方なく初めて訪れた領地の屋敷を見て回ることにした。
生まれてから一度も足を踏み入れたことのない場所だ。
何か、得られるものがあるかもしれない――そんな淡い期待だけを抱いて。
庭師や使用人の何人かとすれ違って、困っていることが無いか聞こうとしたが、皆、俺と目が合うと困ったように会釈だけ。若い女性の使用人にいたっては90度にお辞儀したかと思うと「仕事に戻ります!」と慌てて俺の前から居なくなっていった。礼を失しているわけじゃない。ただ皆、俺が起こした事を知っているだけ。
(本当に?それだけか?「俺」だからなんじゃないのか?)
皆が近づいてこない理由が「出来事」なのか、「俺自身」なのかが分からなくなった。
次の日、父上の言う「反省」や「自分を顧みる」ための何かが見つかるかもしれないと、図書室に足を運んだ。
けれど並んでいるのは、領地経営の書や剣術書ばかり。
俺には関係がなく、必要とされてもいないものばかりだった・・・
剣も領地も、騎士団の事も兄さんたちが受け継いでいく。
そう改めて考えた瞬間、自分が生きている意味が分からなくなった。
3日目、俺は領地の騎士団の訓練場所に足を運ぶことにした。
領主の家族が顔を出せば、少しは励みになるかもしれない――そう思ったからだ。
訓練所のそばまで行くと、騎士たちの楽しそうな声が聞こえてきた。
「そう言えば、ご主人様の三男でいらっしゃるレオン様が数日前からこちらに滞在されているらしいぞ。」
一人の男が剣を片手に汗を拭きながら言ってた。それを聞いた別の騎士が口を開く
「あぁ、そのレオン様、ただ領地にいらしたわけではないらしい。女でやらかして謹慎目的らしいぞ。」
「そうなのか!?でもご主人様のご子息様なら、剣も火の魔法もすげーんだろうな!リュシアン様もアラン様も幼少のころから見事だった!」
ひと際体の大きい騎士が豪快に笑いながらそんなことを言ってて、俺の足は止まった。
「それがよ!レオン様は全然だめらしい!」
「なんだそれは!そんなことがあるのか!?アルヴェリックなのに⁉︎」
「だよなぁ。」
騎士たちの言葉が、胸に突き刺さる。
剣と火の魔法が使えることが前提で語られる家名。
(そんな場所に俺の居場所はやっぱりなかったんだ…)
この三日間、斜め後ろに控え、事あるごとに俺を見ていた執事はこの言葉も聞いていたはずなのに騎士に注意もしなかった。
(お前もやっぱりそう思っているんだな・・)
剣が振れない。火も使えない。アルヴェリックである意味が、俺にはひとつもない。
気が付けば走って自室に逃げ込んでいた。
こんな時に限って、《おかん》は何も言ってこないし、何も反応してくれなかった。。。
それから、俺は一歩も自室から出られなくなった。
眠れないままずっと、窓の外を眺めていた。
窓から月明かりが一筋入ってきて、部屋の一画を照らしていた。
その光の先をふと振り返ると、馬車の一件から出しっぱなしの弓が照らされていた・・・
なぜ、俺ができるのは弓なんだ?剣じゃないんだ!
弓なんか出来たって、意味がない!アルヴェリックじゃない!
右手の手のひらに集中して、魔力を込めてみる。
手のひらには小さな竜巻のような風の渦ができた。
なんで、火じゃないんだよ!!
俺だって、アルヴェリックなのに!!
頭に幼いころのリュシー兄とアラン兄が出てくる。俺の魔法が風魔法と知って泣いていた俺に兄たちは、笑いながら言ってくる。
『お前には火なんか似合わない。』
…なんか笑えてきた。
剣も火も使えないし、反省したくても何もできないし、前世を思い出したって何の役にもたたないし…
どんなに努力しても、本当のアルヴェリックになれない。
俺は、なにもできない、いらない人間なんだ・・・
「・・・つかれた・・・」
俺は弓を手に取った。そのまま魔法で竜巻を起こそうとしたが、手を止めた。
屋敷を壊したら迷惑をかけるな。。。
だから、明け方前。
誰も使わない騎士団の訓練所へ向かった。
部屋着のまま、弓を抱えて。
ココなら、誰にも迷惑をかけず、消せるな。。。
俺は左手に弓を持ち替えて、右手を自分の胸に当てる。すべての魔力を右手に集中して放とうとした瞬間
「レオン様」
懐かしい声に、はっとして振り返る。
そこに立っていたのは、
大柄で、体格がよく、
そして――変わらない優しい笑顔の男だった。
「ソロ・・・」
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