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2章 ゴブリンの砦
STORY18 新たな依頼
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「そこをなんとかお願いしますだよ!」
とある町の冒険者ギルドで、受付カウンターに身を乗り出して大声をだしている男に、応対している受付嬢は困ったような顔をしていた。
「そうおっしゃられましても……」
「そんじゃ、あんたはうちの村なんかどうなってもええっちゅうだか!?」
興奮し、鼻息も荒く、顔を近づけてくる男に受付嬢は体を引いて距離をとろうと懸命だ。
「いえ、そんなことは申しておりません…」
「けんど、だれも助けにきてくれんっちゅうことはそういうことだべ!?」
「それは、その……」
半泣きになっている男になんと言えばいいのか、言葉を選びあぐねる。
「…あのぅ……」
嘆いている男に少女が遠慮がちに声をかける。
「ん? なんだべ?」
男は顔を上げて少女をみる。
「あれま、かんわいい娘さんだべ! おらになんか用だべか?」
今まで嘆いていたはずの男はデレっとした締まりのない表情となる。
「用というか、その…何かお困りのようでしたから……」
「そうなんだべよぉ……。もう、おらの村はおしめぇだぁ!!」
デレっとしていた男は再び半泣きになって床にうずくまる。
「泣いたり、にやけたり、忙しい人間ニャ 情緒不安定なのかニャ?」
少女の隣へやってきた猫妖精が呆れたように言う。
「そういうこと言わないの!」
少女にたしなめられ、猫妖精は肩をすくめる。
「おっどろいたべ! この猫、人間の言葉を喋っただよ! もしかして化け猫だべか!?」
男は目を丸くして驚いている。
「雷撃でもくらわしてやるニャ!」
「待って待って、落ち着いて! ね?」
ミスリル・ロッドを取り出す猫妖精を慌てて制止する少女。猫妖精はフンッと鼻を鳴らす。
「あの、それで何かお困りだったんじゃないですか?」
少女は改めて訊く。
「それでは、この件は、暁の渡り鳥の皆さんにお任せするということで!」
受付嬢はここぞとばかりに男の依頼書のコピーを半ば強引に少女に握らせる。その様子に男はまたしても驚く。
「あんたら、冒険者なんだべか!?」
「そうなんですよ。こちらの暁の渡り鳥の皆さんは数日前にこの町にやってきた冒険パーティーなんです。既にいくつもの依頼を完了してる凄腕なので、安心してお任せできます」
少女と猫妖精に代わって受付嬢が肯定し、猛プッシュする。さらには、勝手に承認の判子まで押してしまっている。よほど、この男から解放されたかったのだろう。
「ほ、ほんとだべか!?」
期待のこもった視線を投げつけられ、少女は苦笑しながらも首肯する。
「はじめまして。冒険パーティー暁の渡り鳥のリアーナといいます」
「あたしはリャッカっていうニャ。ちなみに、化け猫じゃなくて妖精ニャ! 次、間違ったら電撃をくらわすニャ!」
「もう、リャッカちゃんったら…。お話を聞かせてもらえますか?」
リアーナは男を安心させるため、優しくニコリと笑う。
とある町の冒険者ギルドで、受付カウンターに身を乗り出して大声をだしている男に、応対している受付嬢は困ったような顔をしていた。
「そうおっしゃられましても……」
「そんじゃ、あんたはうちの村なんかどうなってもええっちゅうだか!?」
興奮し、鼻息も荒く、顔を近づけてくる男に受付嬢は体を引いて距離をとろうと懸命だ。
「いえ、そんなことは申しておりません…」
「けんど、だれも助けにきてくれんっちゅうことはそういうことだべ!?」
「それは、その……」
半泣きになっている男になんと言えばいいのか、言葉を選びあぐねる。
「…あのぅ……」
嘆いている男に少女が遠慮がちに声をかける。
「ん? なんだべ?」
男は顔を上げて少女をみる。
「あれま、かんわいい娘さんだべ! おらになんか用だべか?」
今まで嘆いていたはずの男はデレっとした締まりのない表情となる。
「用というか、その…何かお困りのようでしたから……」
「そうなんだべよぉ……。もう、おらの村はおしめぇだぁ!!」
デレっとしていた男は再び半泣きになって床にうずくまる。
「泣いたり、にやけたり、忙しい人間ニャ 情緒不安定なのかニャ?」
少女の隣へやってきた猫妖精が呆れたように言う。
「そういうこと言わないの!」
少女にたしなめられ、猫妖精は肩をすくめる。
「おっどろいたべ! この猫、人間の言葉を喋っただよ! もしかして化け猫だべか!?」
男は目を丸くして驚いている。
「雷撃でもくらわしてやるニャ!」
「待って待って、落ち着いて! ね?」
ミスリル・ロッドを取り出す猫妖精を慌てて制止する少女。猫妖精はフンッと鼻を鳴らす。
「あの、それで何かお困りだったんじゃないですか?」
少女は改めて訊く。
「それでは、この件は、暁の渡り鳥の皆さんにお任せするということで!」
受付嬢はここぞとばかりに男の依頼書のコピーを半ば強引に少女に握らせる。その様子に男はまたしても驚く。
「あんたら、冒険者なんだべか!?」
「そうなんですよ。こちらの暁の渡り鳥の皆さんは数日前にこの町にやってきた冒険パーティーなんです。既にいくつもの依頼を完了してる凄腕なので、安心してお任せできます」
少女と猫妖精に代わって受付嬢が肯定し、猛プッシュする。さらには、勝手に承認の判子まで押してしまっている。よほど、この男から解放されたかったのだろう。
「ほ、ほんとだべか!?」
期待のこもった視線を投げつけられ、少女は苦笑しながらも首肯する。
「はじめまして。冒険パーティー暁の渡り鳥のリアーナといいます」
「あたしはリャッカっていうニャ。ちなみに、化け猫じゃなくて妖精ニャ! 次、間違ったら電撃をくらわすニャ!」
「もう、リャッカちゃんったら…。お話を聞かせてもらえますか?」
リアーナは男を安心させるため、優しくニコリと笑う。
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