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2章 ゴブリンの砦
STORY26 チェンジリング
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カトムルに案内されてたどり着いた村長の家は、ラグト村の奥に広がる森の手前に建てられていた。
「いやぁ、遠いところ足を運んでもらって申し訳ないだ」
村長は一行に茶を出して席につく。
暁の渡り鳥の面々は先ほどと同じように名乗る。
「おらがラグト村の村長を務めておりますグラージといいますだ。この度は依頼を引き受けてくださるそうで……」
深々と頭を下げるグラージ村長。
「しかし、わたしたちでお力になれるかどうかは…」
「わかっとります。そんでは、とりあえず実際に見てもらったほうがいいだな。この奥の部屋に孫娘がおりますだ。どうか、見てやってくだせぇ」
村長の言葉に頷き、暁の渡り鳥たちは奥の部屋へと入る。
◎
「だれよ、あんたたち! さっさとこの村から出ていきなさいよ!!」
部屋に入ると、いきなり食器や枕など様々な物が飛んできた。すかさずプレートメイルに身を包んだグランザが立ち塞がる。
「う…」
頑丈な鎧を着たサイクロプスには何を投げても意味がないと思い、少女は動きを止めた。
「今すぐこんな村なんか出ていきましょうよ! 私たちはこんな所で暮らしたくなんかないの!!」
暁の渡り鳥を追い出すことを早々に諦め、グラージに村を出るように訴える少女。
「待って。少しだけでもお話ししましょう?」
リアーナはグランザの脇から出て、少女に歩み寄る。
「いやよ! おばさんなんか引っ込んでなさいよ!!」
少女は聞く耳を持たず、手当たり次第に物を投げつけてくる。
「やれやれ、とりつく島もないな……。しかたない。一度戻ったほうがいいんじゃないか?」
ウラボスの提案により、一同は居間へと戻る。
◎
少女がいる部屋の扉を閉める。
「ねぇ、ウラボス……」
リャッカやグランザに続こうとしているウラボスにリアーナが小声で囁く。
「どうした?」
「あの、ね…。17歳って、おばさんじゃないよね?」
真剣な顔をして見つめてくるリアーナに、ウラボスは吹き出してしまった。
「もう!」
不機嫌そうに頬を膨らませる少女の頭を撫でる。
「悪い悪い。しかし、あんなのを気にしてたのか? 大丈夫だって。そんなわけないだろ」
「そう…だよね。うん、やっぱりそうだよね!」
安心したように笑顔になるリアーナ。
「何してるニャ?」
先を歩くリャッカが振り返る。
「ううん、なんでもないよ」
リアーナは答えるとウラボスを見る。
「ありがと、ウラボス。それじゃ、行こ!」
ニコリと笑いかけてウラボスの手をとり、リャッカたちの後に続く。
◎
「どうだべか? 孫娘の様子に心当たりはおありだべか?」
暁の渡り鳥にグラージが期待を込めて訊く。リアーナとグランザは首を横に振る。
「ウラボスは心当たりはあるかニャ?」
リャッカがウラボスに訊く。
「違和感は感じるんだけどなぁ…。それが何なのかが今一つわからないんだよな…」
ウラボスも難しい表情をする。
「ニャフフフフフ」
リャッカが得意気に笑む。
「どうかしたの?」
リアーナがリャッカに訊く。
「あたしには解ったニャ! ズバリ、あの女の子は人間じゃないニャ!!」
リャッカの衝撃的な回答に一同は絶句する。
「あの、リャッカ。詳しく話してくれないかい?」
グランザが掘り下げる。
「いいニャ。あの娘は妖精が作り出した分身体ニャ」
「しかし、間違いなくおらの孫娘だべよ?」
グラージが異を唱える。
「見た目はそうかもしれないけど、すり代えられてるニャ。チェンジリングって知ってるかニャ?」
「…フェアリーか!!」
リャッカの言葉にウラボスが反応し、リャッカは首肯した。
「どういうこと?」
リアーナが訊く。グランザとグラージもまだわからない様子である。
「いいかニャ。チェンジリングっていうのは、フェアリーが人間の子を拐ったとき、身代わりとして分身体とすり代えていくことをいうのニャ」
「ということは、おらの孫娘や村のほかの子供たちは!?」
「フェアリーたちに拐われてるとみて間違いないニャ」
「そ、そんな!?」
グラージはショックを受け、頭を抱え込んでしまう。
「それじゃ、拐われた子供たちはどうなるの?」
「うーん。はっきりとは言えないけど、たぶん無事だと思うニャ。フェアリーも人間に対して比較的友好なのが多いニャ」
「そういえば、子供たちはこの家の近くの森でよく遊んでるだよ。あそこは昔から妖精が住んでるっていわれてるだ」
グラージが思い出したように情報を提供する。
「だったら、森に行ってみるニャ!」
「そうね。早く村の子供たちを助けてあげなきゃ!」
リアーナとリャッカはほぼ同時に席を立つ。それに続くようにウラボスとグランザも立ち上がった。
「そんでは、みなさん。どうか、よろしくお願いしますだ!」
グラージは今一度深々と頭を下げ、暁の渡り鳥を見送った。
「いやぁ、遠いところ足を運んでもらって申し訳ないだ」
村長は一行に茶を出して席につく。
暁の渡り鳥の面々は先ほどと同じように名乗る。
「おらがラグト村の村長を務めておりますグラージといいますだ。この度は依頼を引き受けてくださるそうで……」
深々と頭を下げるグラージ村長。
「しかし、わたしたちでお力になれるかどうかは…」
「わかっとります。そんでは、とりあえず実際に見てもらったほうがいいだな。この奥の部屋に孫娘がおりますだ。どうか、見てやってくだせぇ」
村長の言葉に頷き、暁の渡り鳥たちは奥の部屋へと入る。
◎
「だれよ、あんたたち! さっさとこの村から出ていきなさいよ!!」
部屋に入ると、いきなり食器や枕など様々な物が飛んできた。すかさずプレートメイルに身を包んだグランザが立ち塞がる。
「う…」
頑丈な鎧を着たサイクロプスには何を投げても意味がないと思い、少女は動きを止めた。
「今すぐこんな村なんか出ていきましょうよ! 私たちはこんな所で暮らしたくなんかないの!!」
暁の渡り鳥を追い出すことを早々に諦め、グラージに村を出るように訴える少女。
「待って。少しだけでもお話ししましょう?」
リアーナはグランザの脇から出て、少女に歩み寄る。
「いやよ! おばさんなんか引っ込んでなさいよ!!」
少女は聞く耳を持たず、手当たり次第に物を投げつけてくる。
「やれやれ、とりつく島もないな……。しかたない。一度戻ったほうがいいんじゃないか?」
ウラボスの提案により、一同は居間へと戻る。
◎
少女がいる部屋の扉を閉める。
「ねぇ、ウラボス……」
リャッカやグランザに続こうとしているウラボスにリアーナが小声で囁く。
「どうした?」
「あの、ね…。17歳って、おばさんじゃないよね?」
真剣な顔をして見つめてくるリアーナに、ウラボスは吹き出してしまった。
「もう!」
不機嫌そうに頬を膨らませる少女の頭を撫でる。
「悪い悪い。しかし、あんなのを気にしてたのか? 大丈夫だって。そんなわけないだろ」
「そう…だよね。うん、やっぱりそうだよね!」
安心したように笑顔になるリアーナ。
「何してるニャ?」
先を歩くリャッカが振り返る。
「ううん、なんでもないよ」
リアーナは答えるとウラボスを見る。
「ありがと、ウラボス。それじゃ、行こ!」
ニコリと笑いかけてウラボスの手をとり、リャッカたちの後に続く。
◎
「どうだべか? 孫娘の様子に心当たりはおありだべか?」
暁の渡り鳥にグラージが期待を込めて訊く。リアーナとグランザは首を横に振る。
「ウラボスは心当たりはあるかニャ?」
リャッカがウラボスに訊く。
「違和感は感じるんだけどなぁ…。それが何なのかが今一つわからないんだよな…」
ウラボスも難しい表情をする。
「ニャフフフフフ」
リャッカが得意気に笑む。
「どうかしたの?」
リアーナがリャッカに訊く。
「あたしには解ったニャ! ズバリ、あの女の子は人間じゃないニャ!!」
リャッカの衝撃的な回答に一同は絶句する。
「あの、リャッカ。詳しく話してくれないかい?」
グランザが掘り下げる。
「いいニャ。あの娘は妖精が作り出した分身体ニャ」
「しかし、間違いなくおらの孫娘だべよ?」
グラージが異を唱える。
「見た目はそうかもしれないけど、すり代えられてるニャ。チェンジリングって知ってるかニャ?」
「…フェアリーか!!」
リャッカの言葉にウラボスが反応し、リャッカは首肯した。
「どういうこと?」
リアーナが訊く。グランザとグラージもまだわからない様子である。
「いいかニャ。チェンジリングっていうのは、フェアリーが人間の子を拐ったとき、身代わりとして分身体とすり代えていくことをいうのニャ」
「ということは、おらの孫娘や村のほかの子供たちは!?」
「フェアリーたちに拐われてるとみて間違いないニャ」
「そ、そんな!?」
グラージはショックを受け、頭を抱え込んでしまう。
「それじゃ、拐われた子供たちはどうなるの?」
「うーん。はっきりとは言えないけど、たぶん無事だと思うニャ。フェアリーも人間に対して比較的友好なのが多いニャ」
「そういえば、子供たちはこの家の近くの森でよく遊んでるだよ。あそこは昔から妖精が住んでるっていわれてるだ」
グラージが思い出したように情報を提供する。
「だったら、森に行ってみるニャ!」
「そうね。早く村の子供たちを助けてあげなきゃ!」
リアーナとリャッカはほぼ同時に席を立つ。それに続くようにウラボスとグランザも立ち上がった。
「そんでは、みなさん。どうか、よろしくお願いしますだ!」
グラージは今一度深々と頭を下げ、暁の渡り鳥を見送った。
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