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3章 淫魔に憑かれた村

STORY58 リャッカの交渉戦

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 「こちらの品物の買い取り金額は、ずばり5000万コルドでいかがでしょう!?」 

 店主はリャッカの見立てよりもかなり安価な値を提示する。

 「ニャハハハハハハ! 店主は冗談がうまいニャ。でも、ドラゴンの牙が5000万コルドっていうのは安すぎニャ。2億コルドが妥当ニャ!」

 リャッカは予想金額よりも多く吹っ掛ける。

 (えっ? 1億コルドは下らないって言ってたけど2億!?)

 後方で観戦しているリアーナは驚きを隠せない。

 「お客様こそ、ご冗談がお上手でいらっしゃる。2億コルドはさすがにお支払いいたしかねます。……そうですなぁ…8000万コルドではいかがですかな?」

 「いやいや、伝説級の素材アイテムがたったの8000万コルドはないニャ! 1億8000万コルドでいいニャ」

 「1億8000万コルドですか……。それは困りましたね。では1億コルドで手を打ちましょう!」

 「1億コルド……。これを手に入れるのに苦労したからニャア……。その金額じゃ売れないニャ。1億6000万コルド! これが限界ニャ!!」

 (苦労したって、リャッカは何もしていない気が……)

 グランザが心の中で的確なツッコミをいれる。

 「1億6000万コルド!? ……お客様には負けました。1億4000万コルドでいかがでしょう!? わたくしといたしましても限界でございます! どうか、この金額でお譲りくださいませんか!?」

 店主は頭を下げる。

 「さよならニャ。他をあたってみるニャ」

 リャッカの情け容赦ない一言に店主は狼狽する。

 「お、お、お待ちくださいませ! 1億5000万コルドで買い取らせていただきます! これでどうかご勘弁を!!」

 店主は土下座してリャッカに頼み込む。

 「ねぇ、リャッカちゃん……」

 見かねたリアーナがリャッカを見る。

 「……しょうがないニャ。1億5000万コルドで売るニャ!」

 「おおお!! ありがとうございます!! では、早速お金をお持ちいたしますので!」

 店主は嬉々として店の奥に戻っていく。

 「リャッカ、すごいね! 1億くらいの値打ちの素材アイテムを1億5000万コルドで売っちゃうなんて!」

 グランザが感心する。

 「あれでも安いくらいニャ。あの店主なら2億から3億くらいで売るニャ」

 「なんか、すごい世界だね……」

 リアーナも半ば呆気にとられて呟く。

 「まっ、こういう交渉役はリャッカに任せておくほうがよさそうだな」

 ウラボスに認められ、どや顔のリャッカ。そこに店主が戻ってきた。

 「お待たせいたしました。こちらがお支払いさせていただく金額1億5000万コルドになります。お確かめください」

 「ニャフフフフフ…! 今度は玩具のお札じゃないニャ!」

 リャッカはご満悦の様子で差し出された札束を数えだした。
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