冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

６章 オーク大戦

STORY101 オーク掃討作戦③

　「がはぁ！」

　オークにより背中から斬られた冒険者が地面に倒れる。

　「よくも！」

　ニーネはロングソードを閃かせてオークの首をはねる。

　暁の渡り鳥たちとは別方向から洞窟を目指していた。

　「はぁ…はぁ…はぁ…」

　もう、これで何体斬り倒してきたのか検討もつかない。

　「ガァァッ」

　背後からオークが槍を手に襲ってくる。

　「もう！」

　ニーネは振り向き様にロングソードを振りかざしてオークの命を絶つ。

　周囲の安全を確認し、ポーションを素早く取り出して一気に飲み干す。疲労から鉛のように重く感じた体が軽くなる。同時に軽度の傷は塞がり、痛みも和らぐ。

　（まずいわね。このままじゃ……）

　戦況は厳しかった。多くの仲間を失い、もはや半数も残ってはいない。

　（それでも、やるしかないのよ！）

　ニーネは自らを鼓舞し、オークたちに立ち向かう。

　「えやぁぁぁぁ！」

　ザンッ、バシュッ、バサッ

　ロングソードが閃く度にオークが霧消していく。

　キンッ

　ニーネのロングソードが剣士オークのロングソードによって受け止められた。

　「グフフ…。なかなか元気のいいお嬢さんだねぇ……」

　剣士オークは口角を上げる。

　（こいつ、強い！）

　ニーネは飛び退くとロングソードを構え直す。

　「今度はこっちからいくぜぇ！」

　キンッ…キンッ…キンッ…キンッ…キンッ…キンッ…

　激しく何度も刃を交える剣士オークとニーネ。互いに一歩も譲らない互角の戦いが繰り広げられる。

　「おらよ！」

　剣士オークが振るったロングソードをニーネはロングソードで受け流し、すれ違い様に剣士オークの脇腹に一撃を滑り込ませる。

　「ちっ！」

　脇腹にかすり傷を負った剣士は舌打ちをする。

　剣士オークから距離をとりつつ振り向くニーネだったが、剣士オークのロングソードの切っ先が目の前に迫ってきていた。

　「ひっ！」

　咄嗟に上体を横に反らす。ロングソードはニーネの左頬を掠めていく。

　「こ……のぉ！」

　ニーネは両手でロングソードを握りしめ、剣士オークの首を目掛けて振り抜いた。

　またしても、ロングソードは剣士オークにかすり傷を負わせるのみだ。決定的なダメージを与えることはできない。

　剣士オークはロングソードを大上段に構え、力任せに振り下ろす。

　ザシュッ

　剣士オークの斬撃によりニーネは左腕に深手を負ってしまう。

　「あぁぁぁぁぁぁっ！」

　激痛と大量の出血に絶叫するニーネ。

　「死ね！」

　剣士オークは勝利の笑みを浮かべてロングソードを頭上に掲げる。

　「水圧矢魔術ウォーター・アロー！」

　ニーネの絶体絶命のピンチに駆けつけた冒険者の女魔術師が加勢する。

　圧縮された水の矢は剣士オークの右肩を貫いた。

　「ぐぉぉっ！」

　苦痛に顔をゆがめた剣士オークは片膝をつく。

　「このぉぉぉぉっ！！」

　ニーネは激痛を堪えてロングソードを構え、剣士オークの頭部に突きを放つ。

　「ゲベッ！」

　脳を貫かれた剣士オークは即死だった。

　「大丈夫！？　治癒魔術ヒール」

　女魔術師が回復魔術を詠唱発動させてニーネの傷口を塞ぐ。

　「…ありがとう。助かったわ……」

　礼を述べるニーネに女魔術師はニコリと微笑みを返す。

　「一応は右腕の傷口は塞がったけど無理しちゃダメよ。ここからはわたくしが同行いたしますわ」

　「ありがとう！　とても心強いわ！！　私はニーネ」

　「わたくしはサナ。よろしくね、ニーネ！」

　頼もしきパートナーを得たニーネは周りのオークを一掃し、洞窟を目指すのだった。