冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

美山 鳥

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6章 オーク大戦

STORY103 オーク掃討作戦⑤

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 「人間どもがこんな所まで攻めてきたぞ!?」

 「生意気なやつらだ、殺せ!」

 「絶対に生かして帰すな!」

 洞窟前の草原にやってきた暁の渡り鳥とベイズを待ち受けていたオークの大群が口々に叫んでは襲い掛かってきた。

 「ザコどもが…。これだけ広ければこちらも思いきり動ける」

 ベイズは長剣を左手に持つと右手で背中の鞘から大剣を引き抜く。

 「さあ、掛かってきやがれ!」

 ベイズはえ、敵陣に斬り込んでいく。

 「わたしたちも!」

 「はい!」

 リアーナとグランザもそれに続いて敵陣に斬り込む。

 「あたしたちもやるニャ!」

 リャッカとウラボスも魔力を練る。

 「でぃやぁぁぁぁぁ!!」

 ベイズが大剣を豪快に振り抜くと数体のオークが霧消する。その隙をついて近付く敵に対しては長剣による斬撃が浴びせられた。

 グランザも負けてはいない。右手の戦斧を軽々と振るってはオークたちを霧消させ、攻撃は盾とプレート・メイルによって無効化している。

 リアーナはあらかじめウラボスに武具強化魔術ハイ・アームズを施してもらったレイピアを縦横無尽に閃かせ、オークたちの数を減らしていく。

 「雷撃渦魔術ライトニング・トルネード!」

 リャッカが攻撃魔術を詠唱発動して発生させた雷の渦は前衛の3人を取り囲むように展開しているオークたちを巻き込み、その命を容赦ようしゃなく奪いさる。

 「火炎矢魔術フレイム・アロー

 ウラボスが放った無数の火炎の矢は的確にオークのみを捉え、凄まじい勢いで敵の残存戦力を削いだ。

 数のうえでは圧倒的に有利であったオーク勢だったが、予想を遥かに超える実力者たちの存在により戦局はあっさりとひっくり返った。

 「……ふぅ! これで粗方あらかたは片付いたみてぇだな」

 少しの疲れを表情をにじませながらベイズが言う。

 「ああ。まったく、よくもこれだけのオークが集まったものだな…」

 周囲のオークを一掃したウラボスは平然としていた。

 (撃破数でいえば、この中で最も多いだろうに一人だけ涼しい顔してやがる……)

 ベイズは何か恐ろしいものを見るような視線をウラボスに向ける。

 「ん? どうかしたのか?」

 ベイズの視線に気付いたウラボスが訊く。

 「あ…いや、なんでもねぇ」

 気まずくなって視線をはずすベイズ。

 「あとは洞窟の制圧だけですね!」

 グランザも歩み寄ってくる。そのプレート・メイルには細かな傷が幾筋もついていて、返り血を浴びて汚れてしまっていた。

 リアーナも疲労を色濃くしながらも戦意は充分な様子である。

 「あっ!」

 暁の渡り鳥とベイズが洞窟の前に集まったとき、少女の声が聞こえてきた。

 「ニーネ! よかった! 無事だったのね!!」

 振り向いたリアーナが歓喜の声をあげる。

 「うん! リアーナたちこそ無事だったんだね!?」

 互いにハグし合いながら再会を心から喜ぶ。

 「ねぇ、ニーネ。こちらの方々は?」

 ニーネと行動を共にしていたサナが暁の渡り鳥を一瞥して訊く。

 「あっ! 紹介するわね。こちらの人たちは冒険パーティー暁の渡り鳥の皆さんよ。で、このがリーダーのリアーナ! 私の友達よ!」

 ニーネがリアーナの肩に手を乗せてウインクする。

 「へぇ! 暁の渡り鳥っていったら盗賊ゼヴァノンを倒したっていうパーティーよね!? リーダーってわたくしたちと同世代のだったのね……」

 ニーネに紹介されて意外そうに答えるサナ。

 「リアーナです。で、暁の渡り鳥のメンバーの村人ウラボス、戦士グランザ、賢者リャッカ…」

 リアーナが仲間を紹介する。

 (えっ……この人の魔力で村人!? )

 サナが信じられないといわんばかりの表情をする。

 「気持ちはわかるけど、ウラボスは正真正銘の村人ニャ」

 サナの疑問に気付いたリャッカが言う。

 「そ、そうなんですか…」

 サナはなんとなく愛想笑いをしてその場を流すことにした。

 「さて、ここいらで回復をしてから乗り込むぞ」

 暁の渡り鳥、ベイズ、ニーネ、サナはそれぞれ体力と魔力を回復させ、オーク掃討戦の仕上げに備えた。
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