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6章 オーク大戦

STORY104 ウォグ&マカ

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 洞窟内に漂う、肌にまとわりつくような湿気を帯びた空気の中を奥を目指して侵攻する冒険者たち。

 「他の連中はどうなってんだ?」

 途中、歩きながらベイズがニーネとサナに訊く。

 「わたくしたち流れ冒険者が侵攻の最前線で戦っておりましたが、ルチヌムの冒険者さんたちはまだ加勢には来ていませんでした……。後方で何かあったのでしょうか?」

 サナが不安を口にする。

 「……ふむ。ルチヌム所属の冒険者たちの指揮はダーザナという者に任せてあるんだがな……。何もなければいいが…」

 ベイズは口元に手を当てる。

 「そいつは信用できるのか?」

 「ああ。だからこそ、俺は最前線の戦いに参加できたんだ。知略・武力・人望を備えたルチヌムのギルドではエースと言っていいほどの男だ。俺が最前線で戦うと言った時も俺の身を案じて共にくると言っていた」

 「断ったのか?」

 「ああ。あいつまで最前線に出ちまうとルチヌムの冒険者たちを指揮する者がいなくなっちまうからな。あいつ以外のやつにゃ任せられねぇんだ」

 「ベイズさんはダーザナさんのことを本当に信用されてるんですね」

 ウラボスとベイズの会話を聞いていたリアーナが言う。

 「まぁな。実はな、俺はあいつを次のギルド長にと考えている。あいつはそれだけの信頼に足る男だ。俺が保証する」

 ベイズは自信ありげに話す。

 「それほどの人が指揮しているのにルチヌムの冒険者勢が増援に来ないということは、まさか、この森にいたオーク以外にも別動隊が!?」

 グランザの言葉にベイズは首を縦に振る。

 「その可能性は否定できんな。我々は裏をかかれたのかもしれん……。だとしても、今さら引き返すわけにもいくまい」

 「そうですね。だったら、一刻も早くこの洞窟を完全制圧して戻りましょう!」

 「だな!」

 グランザの意見にベイズが賛成の意を表す。

 一行は足早に洞窟の奥へと突き進む。



 洞窟を抜けた先は周囲を絶壁で囲まれた平原となっており、少年と少女が一行に鋭く刺すような視線を浴びせていた。

 「おいおい、あのオークどもは全滅しちまったのか? まったく、あれだけの数がいても役立たずは役立たずのままってことか…」

 少年がやれやれという風に肩をすくめる。

 「あらあら、あいつらを責めるのは可哀想かわいそうだわ。1人だけ想定を遥かに超えるのが混じってるみたいよ。せっかくの計画が台無しだわ…」

 少女は残念そうに漏らす。

 「てめぇら、人間じゃねぇな?」

 ベイズが問う。

 「人間みてぇなクソ種族と一緒にすんじゃねぇよ! バカが!!」

 少年が嫌悪感を露骨に表す。

 「あらあら、ウォグったら口が悪いんだから。まぁ、いいわ。ここまで来たんだから私たちが相手しなきゃね」

 「わかったよ、マカ姉さん。こいつらは俺が殺すから見ててくれ」

 「あらあら、私の話を聞いてなかったのかしら。1人だけ想定を遥かに超えるのが混じってるって言ったでしょ。彼は私が相手するから、あとのはお願いね」

 少年ウォグはベイズたちに闘志をむき出しにする。

 「さて、私たちは向こうで戦いましょうか」

 少女マカはウラボスに視線を送り、ウォグたちから離れていく。

 「あの少年ガキは任せた」

 「うん。ウラボスも気をつけてね!」

 ウラボスは心配するリアーナに片手を軽く挙げて応え、マカの後を追っていった。
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