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7章 ウラボス&リアーナ、カップリング作戦

STORY126 恋祭①

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 翌日の夕暮れ。それぞれの思いを抱いたまま恋祭を迎えた。

 待ち合わせ場所の中央広場の噴水に先に着いたのはウラボスだった。リアーナを待ちながらも自分の気持ちを伝えるべきなのかどうか自問し続けていた。そこに世界最強の魔力を持つ真なる支配者の姿はなかった。あるのは、ただ、自らの気持ちに気付いて悩む一人の青年である。

 「待たせちゃって、ごめんね!」

 ウラボスから少し遅れてやってきたリアーナが声をかける。

 「……いや、俺が予定より早く着いただけだから…」

 言いながら、リアーナに視線を向ける。

 服装は白いブラウスに淡いピンクのロングスカートと清楚系でまとめ、髪止めとブレスレットでアクセントをつけて可愛さも出している。手にはハンドバッグを提げている。

 「ん? それは……」

 ウラボスはリアーナの胸元のネックレスを見る。青い小さな宝石の付いたそれには見覚えがあった。

 「エヘヘ……気付いてくれたんだ!」

 リアーナが嬉しそうに言う。

 「ああ。たしか、キャルトの町の露店商で買ったやつだよな?」

 「うん。あの時はまだリャッカちゃんやグランザと出会う前だったよね」

 「そうだったな。あのころに比べるとリアーナも見違えるほどに成長したな」

 「そ、そうかな……なんだか自信がないんだけど」

 「いや、そこは自信を持つべきだろう。なんたって全能力強化超魔術オールラウンドまで発動できるようになったじゃないか」

 「まだまだだよ。全能力強化超魔術オールラウンドを発動しても持続時間が短いし、発動後は暫く体がだるいしね」

 「それでも成長してるよ。勇者になるという目標に着実に近づいている」

 「ありがと。ウラボスのおかげだね!」

 「いや、リアーナ自身の頑張りさ。……さて、そろそろ行くか」

 「うん!」



 遠方からも観光客が来る大規模な祭とあって、中央広場はいつも以上に賑わっていた。さらに恋祭こいまつりだけにカップルがかなり多く目につく。

 「あっ、あそこ!」

 リアーナが指差す先に人だかりがある。

 「何かやってるみたいだな」

 「行ってみようよ!」

 「ああ」



 「さぁさぁ! 次の挑戦者はいないか!? ルールは簡単! ここにいる剣士アシュレッドを相手に、互いにこちらで用意した防具を装着してこの木剣を先にヒットさせるだけ! ただし、相手の防具しか当てちゃだめだよ! それ以外だと反則だ! 挑戦料は1万コルド! 挑戦者が勝てば賞金10万コルドだ! さぁさぁ、挑戦者はいないか!?」

 男が集まってきた観衆を一瞥しながら挑戦者を募っている。

 「あのアシュレッドっていう人、かなり強いね」

 「ああ、あんなのが相手だと挑戦者も相当な手練れでなければ勝てないな 


 「うん…。わたしでも無理ね」

 「今の…だろ?」

 「フフフ…、ありがと」

 ウラボスに笑顔を見せるリアーナ。


「……よし、ちょっとコレ持っててくれ」

 そう言ってウッド・ロッドを手渡す。

 「え? まさか!?」

 「そっ! そのまさかさ」

 「うそ!? ウラボスって剣も扱えるの?」

 「まぁな。久しぶりだけどなんとかなるだろ」

 「久しぶり…って大丈夫なの!?」

 「大丈夫さ! それにべつに命のやり取りをしようってんじゃないんだからさ」

 「そりゃそうだけど…」

 「見てなって! 必ず勝ってくるからさ…」

 ウラボスはリアーナの肩に手を置いて片目を閉じる。

 「……うん、わかった! 頑張ってね。応援してる!」

 「ああ、頼む」

 リアーナに見送られてウラボスが観衆の中から男の前へと進み出る。

 「おっと、ここでイケメンのお兄さんが登場だぁ!」

 司会の男が場を盛り上げる。観衆から歓声があがる。

 「イケメンのお兄さんはもしかしてデート中なのかな!?」

 「……まぁ、そんなとこかな」

 司会の男の質問にウラボスは少し間をおいて答えた。

 「だったら、彼女さんにカッコいいとこみせようぜ! このイケメンのお兄さんの彼女さんは!?」

 司会の男は言いつつ観衆を一瞥する。

 「あっ…えっと……」

 赤面しつつ片手をあげるリアーナ。

 「おお~っと! これはまたかわいい彼女さんだぁ! これはお兄さんに花を持たせたいところだけど、こちらも手を抜かないぜ! こちらも商売だからね。アシュレッドには彼女がいない男性諸君に成り代わって頑張ってもらいましょう!」

 「手加減なんか必要ない。全力できてくれなきゃ手応えがないだろ」

 ウラボスは渡された防具を装着しながら言う。

 「おぉ~! 強気な発言だね~! これは楽しみだ!」

 ウラボスとアシュレッドは互いに向き合い、木剣を構える。

 「さぁ、準備はできたようだね! それじゃ、レディー……ゴー!!!」

 司会の男が戦いの開始を知らせた。
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