冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

美山 鳥

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8章 王都レビオルム

STORY133 エンダイク城

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 「国王陛下への謁見…でございますか。それでしたら、エンダイク城の1階にて10時から受付がされるはずが、その1時間前、つまり9時から入ることは可能だったと記憶しております」

 食堂で朝食を摂り終えた暁の渡り鳥は、執事服の男性ゼハスに国王謁見について訊いておくことにした。

 「今からだと9時にお城に着くのは無理だね。ゆっくり行こっか」

 リアーナの意見に仲間たちも頷く。

 「差し出がましいかもしれませんが、よろしければ当ホテルの馬車をお使いいただく可能でございますが…」

 「ニャ? 馬車を出してくれるのかニャ?」

 リャッカが訊く。

 「はい。ロイヤルスイートルームにお泊まりいただいてるお客様には無償で当ホテルの馬車をお使いいただけるサービスを実施しております。もちろん、3頭引きの馬車ですので、グランザ様にも問題なくご利用いただけます」

 ゼハスが説明する。

 「へぇ、それはありがたいサービスだな」

 ウラボスの言葉にリアーナも頷く。

 「では、お願いします」

 「かしこまりました。それでは少々お待ち下さいませ。至急、手配いたしますので……」

 ゼハスは暁の渡り鳥に深く一礼して立ち去る。



 「やっぱり、超一流の宿屋はサービスも超一流だニャ!」

 ゼハスが御者を務める馬車に揺られながらリャッカは感動している。

 「あのおっさん、なかなか有能ぶりだな。執事のほかに御者もできるとは…」

 ウラボスはゼハスの能力の高さに感心する。

 「おっさんって……。ウラボス、せっかく馬車を出してくれてるのに、そんな言い方は失礼よ」

 隣ではリアーナが注意する。

 「へいへい…」

 特に反省している様子もないウラボスにリアーナはため息をつく。

 「もぅ……」

 「……ベイズさんの手紙を渡すだけで本当にウォグ君やマカさんたち人狼族に領地が与えられるんでしょうか? なんだか不安です…」

 グランザが強面こわもてを俯かせて漏らす。

 「たしかにニャ。普通に考えれば一ギルド長の発言にそこまでの影響力があるとは考えにくいニャ」

 リャッカも同意を口にする。

 「でも、ベイズさんがいい加減なことを言うとも思えないよ」

 「なんにしても、今はベイズの手紙にかけるしかないだろ。ここで悩んだところで答えなんてでないぞ?」

 ウラボスが意見に3人は納得するしかない。

 「うぅ…。いざ国王陛下に謁見するとなると緊張してきちゃうね……」

 リアーナが仲間たちを一瞥しつつ言う。

 「はい…。そもそも魔族の僕が入れるんでしょうか?」

 グランザが不安を口にする。

 「さぁな。というか、入らないで済むならそうしたいところだな、俺は」

 「ウラボスらしいね」

 リアーナが微笑する。

 「ウラボスの気持ちはよくわかるニャ。王族に会うとなると、礼儀だのなんだのと面倒くさいニャ……」

 「…それ、言わないでよ……。わたしだって自信ないんだからぁ…」

 リャッカとリアーナがため息をついて肩を落とす。

 「ホッホッホッ……。どうか、ご安心くださいませ。ラーグナ国王陛下はお心の広い方でございますよ」

 それまで黙っていたゼハスが安心させようと話に加わる。

 「そう…なんですか?」

 リアーナが少し安心したように言う。

 「はい。それにベイズ様のお知り合いの方となれば尚更でございましょう」

 「やっぱり、ベイズは国王陛下とは知り合いなのかニャ?」

 リャッカが訊く。

 「ええ。……おっと、そろそろ到着いたします」

 言われて、上り坂の上に視線を移すとエンダイク城の城門が見えてきた。

 「ラーグナ国王陛下への謁見を希望されている方々をお連れいたしました。どうか、通していただけないでしょうか?」

 「これはゼハスさん! ご苦労様です。どうぞお通りください」

 番兵たちは御者であるゼハスを見るなり、馬車の中を確認することもなく通した。

 (このおっさん、何者なんだ?)

 ウラボスをはじめ、リアーナ、リャッカ、グランザも同じような疑問を抱いていた。
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