冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

美山 鳥

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8章 王都レビオルム

STORY134 謁見受付

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 エンダイク城のエントランスには警備として騎士と一般兵が数名ずつ配置されていた。彼らはグランザを見た瞬間から警戒心MAXの状態を維持している。今にも襲い掛かってきそうだ。

 「あ、あの…」

 緊張した表情のリアーナが謁見の受付を担当している兵士に話しかける。

 「ん? 君たちも国王陛下に謁見希望か?」

 「はい…」

 素直に答えるリアーナ。

 「君たちは冒険者か? ならば、冒険者証を見せてもらおう」

 言われて、リアーナは冒険者証を提示する。受付の兵士はそれを魔導通信機にかざして情報を読み取る。

 「ふーん、暁の渡り鳥ねぇ……。どれどれ、今までの実績はどの程度のものか……。まず、キャルトの資産家の邸宅の雑用か。フン…」

 受付兵士は、やはりこんなものかと言わんばかりに鼻で笑う。

 「……それから、キャルトへのサイクロプス襲撃事件を解決、ケットシー誘拐および殺害事件を解決……」

 受付兵士はやや目を見張る。

 「………ラグト村ではフェアリーによるチェンジリング事件を解決、ホブゴブリン率いるゴブリン軍の砦占拠事件を解決。しかも相手のゴブリン軍を殲滅せんめつさせている。さらにその後の公式決闘では…あのデルガロックを倒しただと!?………」

 受付兵士は驚愕を顔面に張り付かせている。

 「…………続いて、チャアム村ではサキュバスとインキュバスを討伐して村に被害者はなし…………」

 「……………それから、ルチヌムでは盗賊ゼヴァノンを討伐!?…………さらに、数万のオークを壊滅!!??……」

 遂に受付兵士は絶句してしまう。

 「あの?」

 リアーナが呼び掛ける。

 「これ、全部本当に?」

 「はい」

 リアーナが即答する。

 (おいおいおいおい!! こんなのを信じろというのか!? 有り得ねぇだろ!? 特にルチヌムの街での活躍は嘘だろ!? 盗賊ゼヴァノンといえば数知れない冒険者や騎士を返り討ちにしてきたやつだぞ!? それを討伐しただと?? それはまだいい! いちばん信じられんのは次だ!! 数万のオークの大軍勢を壊滅だと!!?? 信じられるものかよ!? こいつら、何かあるな?)

 受付兵士はいぶかしげにリアーナを見る。

 「ずいぶんとご活躍のようだが、これを信じろというのは無理があるな。どう考えても君たちのような若者が達成できるようなものではないのが幾つかあるようだが? 君たち、記録の改竄かいざんは重罪だよ?」

 「そんな!? 改竄かいざんなんてやってません!!」

 リアーナは真っ直ぐに見つめ返して反論する。

 「オーケー、オーケー! 最初はみんな認めないんだよ。それじゃあ、これらを証明できるものはあるのか? 特にルチヌムの街での実績を証明してもらわないとね~……」

 受付兵士はフフンと鼻を鳴らす。

 「証明って言われても……」

 「どうした? できないのか?」

 やはりな……とでも言いたげに訊いてくる受付兵士。

 「……あっ、そうだ。証明になるかどうかはわかりませんが、ルチヌムの冒険者ギルド長のベイズさんから国王陛下宛てに手紙を預かってます」

 言いつつ、手紙を差し出す。

 「フン! こんな小道具まで用意してるとはな! 国王陛下宛てと言えば、ここを通してもらえるとでも思ったのか? それは甘い考えだ。中身をあらためさせてもらうぞ」

 もはやリアーナたちが嘘を言っていルと決めつけている受付兵士は勝手に手紙の封を開けて、内容を確認する。

 「どれどれ……」

 ニヤニヤしながら手紙の文面を読む受付兵士。

 「………………………………」

 長い沈黙がおとずれる。

 「…………た、大変失礼いたしました!! どうか、お通りくださいませ!!」

 先ほどまでとはうってかわり、躊躇なく土下座する受付兵士。

 「ベイズ様のお知り合いの方々とは知らず、暁の渡り鳥様の輝かしいご活躍を疑うようなことをしてしまい、申し訳ございませんでした!!」

 「あっ、いえ……。気にしないでください」

 「ありがとうございます! ささっ、どうぞ、お進み下さいませ! すぐに謁見となります」

 「えっ? でも、順番は後のはずでは?」

 「いえいえ、ベイズ様のお知り合いの方々をお待たせするわけにはまいりませんので! ささっ!」

 こうして、暁の渡り鳥は無事に謁見の受付を済ませたのだった。
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