冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

９章 魔女リリア討伐戦

STORY153 救出

　「ナ…………ーナ！……アーナ！……リアーナ！！」

　自分の名を呼ぶ声に聞こえ、リアーナは重い瞼まぶたを開ける。視界に現れたのは愛しい恋人の姿であった。

　「あっ、ウラボス……」

　まだ覚醒しておらず、ぼんやりとしてながらもウラボスの首に腕を回してその胸に顔を持っていく。

　「まったく……倒れてた時はさすがに心配したぞ…」

　「え？　倒れてた？　わたしが？」

　ウラボスの言葉に周りを見回す。黒騎士ゾワルが倒れている。……なんとなく記憶が戻ってきた。

　「あっ！」

　リアーナは全て思い出して声を発した。

　「わたし、ゾワルに勝ったんだ……よね？」

　ウラボスの顔に見上げて確認する。

　「ああ。はっきり言ってゾワルはリアーナより格上の相手だったはずだ。よく頑張ったな……」

　ウラボスはリアーナの頭を優しく撫なでる。リアーナは嬉しそうに微笑む。

　「…そうだ！　リャッカちゃんとグランザは！？」

　リアーナは仲間たちの姿を探す。

　「大丈夫だ。二人とも建物の中にいる。……動けそうか？」

　ウラボスに訊かれ、リアーナは笑顔を見せる。

　「うん、大丈夫だよ。行きましょ……きゃっ！」

　ウラボスが立ち上がろうとするリアーナを抱き上げて、建物の屋根から飛び降りた。

　驚いて声をあげたリアーナに悪戯いたずらっぽい笑顔を向ける。

　「もぉ！」

　「悪い悪い…」

　頬を膨らませるリアーナをゆっくりと立たせるウラボス。

　「あっ、リアーナさん！」

　ちょうど建物から出てきたグランザが声をかける。

　「よかった。グランザも無事だったんだね」

「ありがとうございます。なんとか勝てました！」

　グランザがニコリと笑む。

　「グランザが狂戦士バーサーカー化してたときは肝を冷やしたニャ……」

　続いて出てきたリャッカがグランザを見上げて言う。

　「ごめん…。でも、みんなに襲い掛からなくてよかったよ」

　心の底から安心したように言うグランザ。

　「すごいじゃない！　遂に狂戦士バーサーカーとしての力を制御できるようになったんだね！」

　リアーナが嬉しそうに言うが、グランザは苦笑し、首を横に振る。

　「まだ制御するというところまではいっていないです……。みんなとはかなり距離が離れていたから抑えられたけど、もしも近くにいたらきっと……」

　グランザは項垂うなだれる。

　「自分で言って自分で落ち込んでどうするニャ」

　その横ではリャッカが呆れた表情をしていた。

　「それでも、グランザは成長してるんだと思う。もっと自信を持とうよ！」

　リアーナがグランザを励ます。

　「ニャハハハハ！　それはリアーナがウラボスからいつも言われてることだニャ！」

　リャッカが笑う。

　「あっ……」

　リアーナが声をあげ、少し照れたように微笑する。

　「ありがとうございます、リアーナさん。次はきっと今回よりうまく狂戦士バーサーカーの力を使えるようにしますね！」

　グランザが少しだけ自信をつけたように笑む。

　「うん、お互いに頑張ろう！」

　リアーナとグランザは互いに更なる精進を誓う。

　その時、建物からひとりの女性が現れた。

　「フリーネ姫様だニャ」

　リャッカがウラボスとリアーナに紹介した。