冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

美山 鳥

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11章 タレク島の決戦!!

STORY176 アリムル、再び

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 グランザの故郷の村は異様なほどの静けさだった。最近まで人が住んでいたにもかかわらず、突然に村人が姿を消した……。そんな雰囲気だ。

 「どうなっているんでしょうか……。村の人たちの姿がなくなってるなんて……」

 村の様子に不安を募らせるグランザ。

 「ねぇ、アリムルって人に会う前に家に寄ったほうがいいんじゃない?」

 リアーナがグランザを気遣った提案をする。が、グランザは首を横に振る。

 「ありがとうございます。でも、両親は僕が子供のころに亡くなりました。それに兄弟もいません。アリムル様はそんな僕を気にかけて、ご自身の護衛として側に置いてくださいました」

 グランザが微笑みを浮かべる。

 「そうなんだぁ! アリムル様って優しい方なんだね」

 「はい! 厳しいところもありますけど、すごくお優しい方ですよ。常に村の人たちのことを気にしておられました。みんなから慕われる素晴らしい族長様です」

 グランザは、まるで自分のことのように誇らしげに語る。

 「ほほぉ。だから、そのアリムル様に惚れたっていうわけかニャ?」

 リャッカがニヤリと笑む。

 「そんな! 僕なんかがアリムル様にそんな感情を抱いていいわけないじゃないですか! 恐れ多いです!!」

 グランザは慌てた様子で否定する。が、恋愛感情を抱いているのは明らかだ。

 「どうしてさ? 相手にどんな感情を持つのも個人の自由だろ」

 「それは、そうですけど。でも、僕とアリムル様では釣り合いがとれません。アリムル様には僕なんかよりももっと相応しい方が見つかりますよ……」

 ウラボスの意見にも耳を傾けない。

 「グランザはそれでも平気なの? 思いを抱えたままで伝えずにいるのって苦しいよ……。少なくとも、わたしはそうだった」

 リアーナは、ウラボスに思いを伝えられずにいた自分を思い返す。

 「リアーナさん……」

 親身になってくれる仲間の存在を嬉しく思い、グランザは単眼を熱くなるのを感じていた。

 「いざとなりゃ押し倒しゃ……」

 「ゼルアルは黙ってるニャ!」

 ゼルアルの危ない発言をリャッカがさえぎる。これにはグランザも苦笑するしかなかった。



 「……ここがアリムル様のおられる建物です!」

 一行は石造りの神殿のような建造物にたどり着いた。

 「想像してたのより立派ニャ……」

 村の建造物は木材で建てられていたため、木造の建物を想像していたリャッカが率直な感想をもらす。

 「さぁ、中に入りましょう。アリムル様の元までご案内します」

 言いつつ中に入っていくグランザに、リアーナたちはついていくのだった。
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