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第1章 邪龍との邂逅
1―1 エルフェリオン
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東の空が白み始める黎明。気の早い鳥たちが巣から飛び立つ。
「ふぁぁぁぁ……」
レバルフの街のスラム。
青い長髪を背中で三つ編みにした青年は、早朝の風を切って滑空する鳥たちを翡翠色の瞳に映しながら、気だるげに大あくびをする。
「そんな余裕をぶっこいてられるのも今のうちだぜ! いいか、今日こそはどっちが強いかはっきりさせてやる! 覚悟しろよ、エルフェリオン!!」
がっしりとした体躯と短くカットされた茶髪の青年が、長い青髪を背中で三つ編みにした青年の名を叫び、ギラリと鋭い光を帯びた視線を突き刺す。
「どっちが強いか、ねぇ……。そんなら、とっくに結果がでてるだろ。おまえが俺に勝てたことが一度でもあったかよ?」
エルフェリオンは肩をすくめて小バカにしたような笑みを浮かべる。
「るせぇ! 今までは油断してただけだ! 今日は、本気になったゼイナス様の実力ってやつをみせてやらぁ!!」
茶髪の青年ゼイナスは生来の鋭い目つきに闘志を漲らせる。
「いくぜぇ!!」
前方に大きく踏み込んだゼイナスが右ストレートをくり出す。それを身を屈めて躱したエルフェリオンが左ボディブローで反撃する。
「おぐっ!」
鍛え上げられた腹筋を持つゼイナスだったが、エルフェリオンの一撃は効いたらしく顔を歪め、額に汗を滲ませた。
「くそっ……たれめ!」
ゼイナスはひとまず飛び退く。だが、今度はエルフェリオンが前に踏み込む。
「ちぃ!」
焦ったゼイナスはカウンターのストレートを撃つ。エルフェリオンはそれを見透かしていたようにヒラリと躱し、右のアッパーカットをくり出した。
「くぉっ」
ゼイナスは顎に強烈な一撃をもらい、体が宙に浮く。
ニヤリと不敵に笑ったエルフェリオンは頭上で両手を組み、空中のゼイナスの腹部へと振り下ろした。
「おぶ!」
またしても腹に強烈な一撃を受けたゼイナスは背中から地面に叩きつけられてしまう。
「おいおい、ゼイナス様の本気とやらを見せてくれるんじゃなかったかぁ?」
エルフェリオンは勝ち誇ったような笑みをこぼし、地面で悶絶しているゼイナスに見下ろす。
「っの野郎が!」
悔しさに奥歯を噛み締めたゼイナスがエルフェリオンにタックルを仕掛けようと体を跳ね上がらせた。しかし、エルフェリオンの膝蹴りがその顔面に容赦なくめり込む。
「げはっ!」
顔面にクリーンヒットした一撃はゼイナスの意識を遠のかせるに充分なものであった。白目をむいて倒れた茶髪の青年はピクピクと痙攣する。
「けっ、他愛もねぇ……さぁてと、そんじゃあファイトマネーでもいただくとしようか」
エルフェリオンは、おもむろにゼイナスの懐に手を入れて財布を探り当てる。
「おい、エルフェリオン」
財布の中身をごっそりと移し替えて満足気な表情をしているエルフェリオンに声がかけられた。
「ふぁぁぁぁ……」
レバルフの街のスラム。
青い長髪を背中で三つ編みにした青年は、早朝の風を切って滑空する鳥たちを翡翠色の瞳に映しながら、気だるげに大あくびをする。
「そんな余裕をぶっこいてられるのも今のうちだぜ! いいか、今日こそはどっちが強いかはっきりさせてやる! 覚悟しろよ、エルフェリオン!!」
がっしりとした体躯と短くカットされた茶髪の青年が、長い青髪を背中で三つ編みにした青年の名を叫び、ギラリと鋭い光を帯びた視線を突き刺す。
「どっちが強いか、ねぇ……。そんなら、とっくに結果がでてるだろ。おまえが俺に勝てたことが一度でもあったかよ?」
エルフェリオンは肩をすくめて小バカにしたような笑みを浮かべる。
「るせぇ! 今までは油断してただけだ! 今日は、本気になったゼイナス様の実力ってやつをみせてやらぁ!!」
茶髪の青年ゼイナスは生来の鋭い目つきに闘志を漲らせる。
「いくぜぇ!!」
前方に大きく踏み込んだゼイナスが右ストレートをくり出す。それを身を屈めて躱したエルフェリオンが左ボディブローで反撃する。
「おぐっ!」
鍛え上げられた腹筋を持つゼイナスだったが、エルフェリオンの一撃は効いたらしく顔を歪め、額に汗を滲ませた。
「くそっ……たれめ!」
ゼイナスはひとまず飛び退く。だが、今度はエルフェリオンが前に踏み込む。
「ちぃ!」
焦ったゼイナスはカウンターのストレートを撃つ。エルフェリオンはそれを見透かしていたようにヒラリと躱し、右のアッパーカットをくり出した。
「くぉっ」
ゼイナスは顎に強烈な一撃をもらい、体が宙に浮く。
ニヤリと不敵に笑ったエルフェリオンは頭上で両手を組み、空中のゼイナスの腹部へと振り下ろした。
「おぶ!」
またしても腹に強烈な一撃を受けたゼイナスは背中から地面に叩きつけられてしまう。
「おいおい、ゼイナス様の本気とやらを見せてくれるんじゃなかったかぁ?」
エルフェリオンは勝ち誇ったような笑みをこぼし、地面で悶絶しているゼイナスに見下ろす。
「っの野郎が!」
悔しさに奥歯を噛み締めたゼイナスがエルフェリオンにタックルを仕掛けようと体を跳ね上がらせた。しかし、エルフェリオンの膝蹴りがその顔面に容赦なくめり込む。
「げはっ!」
顔面にクリーンヒットした一撃はゼイナスの意識を遠のかせるに充分なものであった。白目をむいて倒れた茶髪の青年はピクピクと痙攣する。
「けっ、他愛もねぇ……さぁてと、そんじゃあファイトマネーでもいただくとしようか」
エルフェリオンは、おもむろにゼイナスの懐に手を入れて財布を探り当てる。
「おい、エルフェリオン」
財布の中身をごっそりと移し替えて満足気な表情をしているエルフェリオンに声がかけられた。
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