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第1章 邪龍との邂逅
1ー11 邪龍の迷宮⑥
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最前列に立ったルドアは片手剣を中段の位置にもってきて、その剣先を後方に向ける。その刀身に闘気をまとわせたことで淡く青い光を帯びる。
「まずはオレからいかせてもらうぜ! 闘気戦術・大飛閃!」
大きく振り抜かれた片手剣から放たれた闘気が斬撃波となって廊下の先へと消えていく。第1階層で放った斬撃波よりと明らかに大きく、廊下の幅をめいっぱいに使っていた。
「「ギャアァァァァッ!」」
廊下の闇の向こう側から複数の悲鳴が聞こえてくる。
「す、すげぇ! 見えてねぇのに、どうして当たるんだ!?」
ゼイナスが驚嘆の声をあげる。
「フフフ……ここからだと廊下の先を見ることはできないだろう? だけどね、魔力を使えばこの闇の先にどんな敵がどれくらいいるのかを知ることができるんだ。初心者はまず相手の魔力を感じ取るところからかな。それに慣れてくれば徐々に魔力を使った感知能力の精度を上げていくわけだね。もっとも、気配を消すのが上手い相手だと感知するのは難しくなるよ」
「それは俺たちでも修得できるものなのか?」
興味を持ったエルフェリオンがさらに掘り下げる。
「魔力そのものはだれにでもあるものだから、鍛錬すれば使えるようになると思うよ。ルドアだって魔術は苦手なんだけど、練習し続けたからこそ修得したんだからね」
「いったい、どうすれば……」
「おいっ、いい加減にしやがれ!」
会話を続けるギゼムとエルフェリオンにルドアの怒声が飛ぶ。
「おっと、すまない。この続きはあとにしようか……バキューム・ブレイド!!」
ギゼムの魔術名詠唱が終わると同時に発生した無数の真空の刃は、ルドアの放った斬撃波と同じように廊下の先へと吸い込まれていく。
「「ギャアァァァァッ!!」」
やはり、先ほどと同じように複数の悲鳴が廊下に響く。
「さぁ、敵の数はかなり減ったはずだよ。ここからはエルフェリオン君とゼイナス君に任せるとしようかな」
ギゼムは後ろで待機していた二人の新米に向き直る。エルフェリオンとゼイナスは互いにアイコンタクトをとって頷き合う。
「先にいかせてもらうぞ!」
エルフェリオンが左手にダガーを、右手にロングソードを持って駆け出す。
「てめぇ、ずりぃぞ!!」
そのあとをゼイナスが追いかけるが、エルフェリオンの足の速さには到底およばない。
(……すげぇ……)
エルフェリオンは床に転がっている幾つもの魔石を目にして驚く。視覚に頼ることなくこれだけの数のモンスターを倒したギゼムとルドアの有能さをヒシヒシと感じながら、自分も負けてはいられない、必ず越えてみせると心に誓う。
「はっ!」
やがて視界に入ってきた数体のゴブリンを一瞥したエルフェリオンが素早く狙う敵を定め、ロングソードを揮った。
ザシュッ
頸動脈を切断された斧持ちゴブリンの首から血しぶきが噴き出る。
「そこっ!」
奥に控えていた弓矢持ちゴブリンが攻撃モーションにはいる。だが、エルフェリオンはその存在を見落としておらず、投げられたダガーが弓矢持ちゴブリンの額に突き刺さった。
「ギャッ!」
短い悲鳴をあげた弓矢持ちゴブリンがドサリと床に倒れて動きを停止した。
「コロス!」
エルフェリオンの近くにいた短剣持ちゴブリンが武器を振り上げる。エルフェリオンはすぐにロングソードの柄を両手で握って迎撃態勢をとる。
(ちっ!)
背後からも剣持ちゴブリンが襲って来る気配に青髪の青年は心の中で舌打ちする。
「おいおい、このゼイナス様を忘れてんじゃねぇぞ!」
「ギャブッ!」
遅れてやってきたゼイナスが大戦斧を豪快に薙ぎ払い、剣持ちゴブリンを絶命させる。
「ニンゲンメ!」
剣持ちゴブリンが倒されたことで傍にいた槍持ちゴブリン2体がゼイナスに襲いかかる。だが、ゼイナスは返す刃でまとめて両断した。
「おまえで最後だ!」
エルフェリオンは前に大きく踏み込んでロングソードを閃かせた。短剣持ちゴブリンは反応することができずに首が床に転がる。
「こんなところか」
弓矢持ちゴブリンに投げつけたダガーを拾い上げたエルフェリオンが周囲を見回す。ゴブリンの遺体の多くは既に霧消しており、代わりに魔石が転がっていた。
「二人とも、ご苦労さまだったね」
歩いてやってきたギゼムが労をねぎらう。
「魔石の回収も忘れんじゃねぇぞ。戻ったら換金するんだからな」
「了解」
ルドアの指示に素直に従うエルフェリオンと、それに続くゼイナスの姿に隻眼の剣士ルドアは笑む。
「回収が終わったら先へ行こう。目的地まであと少しだ。その先には未踏エリアがある。きっと財宝だって眠ってるぞ!」
「いよっしゃあ! やってやるぜ!!」
ギゼムの言葉にゼイナスが目を輝かせた。
「まずはオレからいかせてもらうぜ! 闘気戦術・大飛閃!」
大きく振り抜かれた片手剣から放たれた闘気が斬撃波となって廊下の先へと消えていく。第1階層で放った斬撃波よりと明らかに大きく、廊下の幅をめいっぱいに使っていた。
「「ギャアァァァァッ!」」
廊下の闇の向こう側から複数の悲鳴が聞こえてくる。
「す、すげぇ! 見えてねぇのに、どうして当たるんだ!?」
ゼイナスが驚嘆の声をあげる。
「フフフ……ここからだと廊下の先を見ることはできないだろう? だけどね、魔力を使えばこの闇の先にどんな敵がどれくらいいるのかを知ることができるんだ。初心者はまず相手の魔力を感じ取るところからかな。それに慣れてくれば徐々に魔力を使った感知能力の精度を上げていくわけだね。もっとも、気配を消すのが上手い相手だと感知するのは難しくなるよ」
「それは俺たちでも修得できるものなのか?」
興味を持ったエルフェリオンがさらに掘り下げる。
「魔力そのものはだれにでもあるものだから、鍛錬すれば使えるようになると思うよ。ルドアだって魔術は苦手なんだけど、練習し続けたからこそ修得したんだからね」
「いったい、どうすれば……」
「おいっ、いい加減にしやがれ!」
会話を続けるギゼムとエルフェリオンにルドアの怒声が飛ぶ。
「おっと、すまない。この続きはあとにしようか……バキューム・ブレイド!!」
ギゼムの魔術名詠唱が終わると同時に発生した無数の真空の刃は、ルドアの放った斬撃波と同じように廊下の先へと吸い込まれていく。
「「ギャアァァァァッ!!」」
やはり、先ほどと同じように複数の悲鳴が廊下に響く。
「さぁ、敵の数はかなり減ったはずだよ。ここからはエルフェリオン君とゼイナス君に任せるとしようかな」
ギゼムは後ろで待機していた二人の新米に向き直る。エルフェリオンとゼイナスは互いにアイコンタクトをとって頷き合う。
「先にいかせてもらうぞ!」
エルフェリオンが左手にダガーを、右手にロングソードを持って駆け出す。
「てめぇ、ずりぃぞ!!」
そのあとをゼイナスが追いかけるが、エルフェリオンの足の速さには到底およばない。
(……すげぇ……)
エルフェリオンは床に転がっている幾つもの魔石を目にして驚く。視覚に頼ることなくこれだけの数のモンスターを倒したギゼムとルドアの有能さをヒシヒシと感じながら、自分も負けてはいられない、必ず越えてみせると心に誓う。
「はっ!」
やがて視界に入ってきた数体のゴブリンを一瞥したエルフェリオンが素早く狙う敵を定め、ロングソードを揮った。
ザシュッ
頸動脈を切断された斧持ちゴブリンの首から血しぶきが噴き出る。
「そこっ!」
奥に控えていた弓矢持ちゴブリンが攻撃モーションにはいる。だが、エルフェリオンはその存在を見落としておらず、投げられたダガーが弓矢持ちゴブリンの額に突き刺さった。
「ギャッ!」
短い悲鳴をあげた弓矢持ちゴブリンがドサリと床に倒れて動きを停止した。
「コロス!」
エルフェリオンの近くにいた短剣持ちゴブリンが武器を振り上げる。エルフェリオンはすぐにロングソードの柄を両手で握って迎撃態勢をとる。
(ちっ!)
背後からも剣持ちゴブリンが襲って来る気配に青髪の青年は心の中で舌打ちする。
「おいおい、このゼイナス様を忘れてんじゃねぇぞ!」
「ギャブッ!」
遅れてやってきたゼイナスが大戦斧を豪快に薙ぎ払い、剣持ちゴブリンを絶命させる。
「ニンゲンメ!」
剣持ちゴブリンが倒されたことで傍にいた槍持ちゴブリン2体がゼイナスに襲いかかる。だが、ゼイナスは返す刃でまとめて両断した。
「おまえで最後だ!」
エルフェリオンは前に大きく踏み込んでロングソードを閃かせた。短剣持ちゴブリンは反応することができずに首が床に転がる。
「こんなところか」
弓矢持ちゴブリンに投げつけたダガーを拾い上げたエルフェリオンが周囲を見回す。ゴブリンの遺体の多くは既に霧消しており、代わりに魔石が転がっていた。
「二人とも、ご苦労さまだったね」
歩いてやってきたギゼムが労をねぎらう。
「魔石の回収も忘れんじゃねぇぞ。戻ったら換金するんだからな」
「了解」
ルドアの指示に素直に従うエルフェリオンと、それに続くゼイナスの姿に隻眼の剣士ルドアは笑む。
「回収が終わったら先へ行こう。目的地まであと少しだ。その先には未踏エリアがある。きっと財宝だって眠ってるぞ!」
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