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第1章 邪龍との邂逅
1ー10 邪龍の迷宮⑤
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扉の先は第1階層と同じような廊下が続いており、その両端の壁には所々に扉が見える。
「なぁ、ギゼム。目指す奥の部屋にはどう進めばいいんだ?」
「うん。ここからは僕とルドアが先導するよ。ただし、君たちには戦闘に慣れてもらわなきゃならないから、引き続きモンスターとの戦闘は任せるけど、それでいいかい?」
ギゼムからの確認に対してエルフェリオンとゼイナスは無言で頷く。
「よし、決まりだね。それじゃあ、案内するからついてきてくれ」
隊列をギゼムとルドアを先頭に変えて一行は奥の部屋を目指す。
◎★☆◎
「モンスターか!?」
エルフェリオンが警戒心を強める。
「気付いたかい? たしかに前方にいるよ。敵の正体や数はどうだい?」
ギゼムが訊く。
「……いや、そこまではわからない……」
エルフェリオンが答える。
「そうか。まっ、敵の姿を視認する前に気付けたのは進歩だね。敵は5体といったところかな。この迷宮で、この魔力の大きさから推測すればゴブリンの可能性が高いね。いけそうかい?」
ギゼムは試すような笑みをこぼす。
「へっ!……このゼイナス様に任せろよ。ゴブリンなんて軽く蹴散らしてやるぜ!」
エルフェリオンが答えるよりも早くゼイナスが大戦斧を構えて突撃する。
「ギャギャッ!」
ゼイナスの存在に気付いた弓矢持ちのゴブリンが矢をつがえて射る。
「うぉっ!?」
大戦斧を盾代わりにして矢を受けるゼイナス。だが、その隙に剣持ちゴブリンと槍持ちゴブリンが間合いを詰めてくる。
「闇雲に突っ込むから、そうなるんだぜ」
エルフェリオンがゼイナスの背後から飛び出す。
「あっ! てめぇ、このゼイナス様を盾にしやがったな!?」
ゼイナスがエルフェリオンに抗議の目を向けるも、青髪の青年は気にする様子など微塵も見せずにゴブリンたちに向かっていく。
ゼイナスの文句を無視したエルフェリオンがダガーとロングソードを閃かせ、描いた軌跡は2体の剣持ちゴブリンを斬り捨てる。
「槍持ちは任せた!」
後方のゼイナスに叫び、エルフェリオンは床を蹴って弓矢持ちゴブリンに向かって駆ける。
「ギシャアッ!」
目の前で仲間をあっさりも屠られた弓矢持ちゴブリンは慌てて矢を射るが、その狙いは定まっておらず、壁に当たって落ちる。
「もらった!」
エルフェリオンのロングソードが弓矢持ちゴブリン1体の首をはねた。
「コイツッ!」
相方を殺された弓矢持ちゴブリンが初めて言葉らしい言葉を喋る。青髪の青年とはまだ少し距離がある。彼のロングソードもここまでは届かないだろうと、弓矢持ちゴブリンは弓に矢をつがえ、狙いを定める。ここで外してしまうわけにはいかない。そんなことになれば、あの男は瞬時に間合いを詰めて命を奪うに違いない。
だがしかし、弓矢持ちゴブリンのその考えはあまりにもあまかった。エルフェリオンは左手に持ったダガーを投擲する。放たれたその切先は弓矢持ちゴブリンの眉間に深々と突き刺さった。
「ギギャァァァァァァァッ!!!」
戦況が絶望的だとさとった槍持ちゴブリンが大きな奇声を発する。
「るせぇ!」
槍持ちゴブリンに接近したゼイナスが大戦斧を横薙ぎに揮う。
ガッ
「ギャブッ!」
ゴブリンは大戦斧を槍の柄で受け止めたが、ゼイナスが放った強烈な斬撃は槍ごとゴブリンの胴体を切断した。
「っしゃあ!」
無傷での勝利にガッツポーズをとるゼイナス。だが、ギゼムとルドアの表情は厳しい。
「どうかしたのか?」
それに気付いたエルフェリオンが二人に訊く。
「さっき、叫び声をあげられたのは失敗だったね。ゴブリンがああいった奇声をあげるのは仲間に敵の存在を報せるためなんだ……先に忠告しておくべきだった。すまない……」
「まっ、仲間を呼ばれちまったものはしょうがねぇ。ここはオレとギゼムに任せときな」
申しわけなさそうに言うギゼムの隣では、ルドアが片手剣を抜いて臨戦態勢をとる。
「そうだね。エルフェリオン君とゼイナス君は下がっててくれるかい?」
ギゼムもハルバートを構える。ほどなく廊下の先から慌ただしく近付いてくる複数の足音が聞こえてきた。
「なぁ、ギゼム。目指す奥の部屋にはどう進めばいいんだ?」
「うん。ここからは僕とルドアが先導するよ。ただし、君たちには戦闘に慣れてもらわなきゃならないから、引き続きモンスターとの戦闘は任せるけど、それでいいかい?」
ギゼムからの確認に対してエルフェリオンとゼイナスは無言で頷く。
「よし、決まりだね。それじゃあ、案内するからついてきてくれ」
隊列をギゼムとルドアを先頭に変えて一行は奥の部屋を目指す。
◎★☆◎
「モンスターか!?」
エルフェリオンが警戒心を強める。
「気付いたかい? たしかに前方にいるよ。敵の正体や数はどうだい?」
ギゼムが訊く。
「……いや、そこまではわからない……」
エルフェリオンが答える。
「そうか。まっ、敵の姿を視認する前に気付けたのは進歩だね。敵は5体といったところかな。この迷宮で、この魔力の大きさから推測すればゴブリンの可能性が高いね。いけそうかい?」
ギゼムは試すような笑みをこぼす。
「へっ!……このゼイナス様に任せろよ。ゴブリンなんて軽く蹴散らしてやるぜ!」
エルフェリオンが答えるよりも早くゼイナスが大戦斧を構えて突撃する。
「ギャギャッ!」
ゼイナスの存在に気付いた弓矢持ちのゴブリンが矢をつがえて射る。
「うぉっ!?」
大戦斧を盾代わりにして矢を受けるゼイナス。だが、その隙に剣持ちゴブリンと槍持ちゴブリンが間合いを詰めてくる。
「闇雲に突っ込むから、そうなるんだぜ」
エルフェリオンがゼイナスの背後から飛び出す。
「あっ! てめぇ、このゼイナス様を盾にしやがったな!?」
ゼイナスがエルフェリオンに抗議の目を向けるも、青髪の青年は気にする様子など微塵も見せずにゴブリンたちに向かっていく。
ゼイナスの文句を無視したエルフェリオンがダガーとロングソードを閃かせ、描いた軌跡は2体の剣持ちゴブリンを斬り捨てる。
「槍持ちは任せた!」
後方のゼイナスに叫び、エルフェリオンは床を蹴って弓矢持ちゴブリンに向かって駆ける。
「ギシャアッ!」
目の前で仲間をあっさりも屠られた弓矢持ちゴブリンは慌てて矢を射るが、その狙いは定まっておらず、壁に当たって落ちる。
「もらった!」
エルフェリオンのロングソードが弓矢持ちゴブリン1体の首をはねた。
「コイツッ!」
相方を殺された弓矢持ちゴブリンが初めて言葉らしい言葉を喋る。青髪の青年とはまだ少し距離がある。彼のロングソードもここまでは届かないだろうと、弓矢持ちゴブリンは弓に矢をつがえ、狙いを定める。ここで外してしまうわけにはいかない。そんなことになれば、あの男は瞬時に間合いを詰めて命を奪うに違いない。
だがしかし、弓矢持ちゴブリンのその考えはあまりにもあまかった。エルフェリオンは左手に持ったダガーを投擲する。放たれたその切先は弓矢持ちゴブリンの眉間に深々と突き刺さった。
「ギギャァァァァァァァッ!!!」
戦況が絶望的だとさとった槍持ちゴブリンが大きな奇声を発する。
「るせぇ!」
槍持ちゴブリンに接近したゼイナスが大戦斧を横薙ぎに揮う。
ガッ
「ギャブッ!」
ゴブリンは大戦斧を槍の柄で受け止めたが、ゼイナスが放った強烈な斬撃は槍ごとゴブリンの胴体を切断した。
「っしゃあ!」
無傷での勝利にガッツポーズをとるゼイナス。だが、ギゼムとルドアの表情は厳しい。
「どうかしたのか?」
それに気付いたエルフェリオンが二人に訊く。
「さっき、叫び声をあげられたのは失敗だったね。ゴブリンがああいった奇声をあげるのは仲間に敵の存在を報せるためなんだ……先に忠告しておくべきだった。すまない……」
「まっ、仲間を呼ばれちまったものはしょうがねぇ。ここはオレとギゼムに任せときな」
申しわけなさそうに言うギゼムの隣では、ルドアが片手剣を抜いて臨戦態勢をとる。
「そうだね。エルフェリオン君とゼイナス君は下がっててくれるかい?」
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