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第2章 出会い
2―2 VSガーゴイル①
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邪龍剣を構えたエルフェリオンが駆ける。
「ヌボァァ!」
奇声を発したガーゴイルが両手の掌に集めた魔力を球状にして投げつける。エルフェリオンは、それを軽快なサイドステップで右に左に躱して床を強く蹴り、さらに加速してガーゴイルの懐深くに飛び込む。
シュッ!
勢いよく放たれた邪龍剣による突きだったが、標的である怪物を捉えることができない。
「ちっ、飛んだか!」
空中に飛翔したガーゴイルをエルフェリオンのエメラルドグリーンの瞳が追う。
「おい、アルナ! 魔術でなんとかできねぇか!?」
空中に移動した敵になす術がない青髪の青年の問いかけに、少女は我に返ったようにビクンと体を跳ね上がらせた。
「おいおい、考え事なら後にしてくれよ」
エルフェリオンは、頭上のガーゴイルに注意を払いながら溜め息混じりに言う。
「ご……ごめん。それで、えっと……」
「あいつだ。なんとかならねぇか?」
戸惑いつつも謝るアルナにエルフェリオンが訊く。
「あれを落とすのね。でも、さっきも言ったようにガーゴイルは魔術に対しても耐性があるの。そう簡単にはいかないわよ……」
空中のガーゴイルを見ながらアルナが答える。
「ギュガガガガガガッ!」
またしても奇声を発したガーゴイルが魔力球をどんどん作り出し、エルフェリオンたちに投げつけていく。
『クハハハハハハハハ! わしを小バカにした報いを受けよ!』
レヴィジアルが愉快げに笑う。
(ちっきしょう……おもしろがってやがるな、老いぼれのクソ龍め)
心の中で相棒に毒づくが状況は変わるはずもない。四方八方に忙しなく動き、次々に降り注ぐ魔力球を躱すが、それにも限界というものはある。
「んもぉ! このままじゃやられっぱなしみたいね。いいわよ、やってやるわよ!!」
腹をくくったアルナが精神を集中する。
「ボァァォァァッ!」
ガーゴイルはアルナの行動を警戒して魔力球を投げつける。
「させるか!」
アルナに迫る魔力球の進路上に立ちふさがったエルフェリオンが邪龍剣で受け止める。
「いっくわよぉ! バーニング・ガトリング!!」
精神を集中し、己の魔力を高めたアルナが杖の先端部をガーゴイルに向けて魔術名を唱えた。魔力によって作り出された火炎弾が機関銃のごとく撃ち出される。
「クゴゴゴ……」
火炎弾はガーゴイルの右翼に命中する。だが、ダメージを与えたものの墜落させるには至らない。
「魔力をまとって防御してるうえに元が石だから硬いわね!」
アルナが悔しそうにガーゴイルを睨む。
「これなら、どうだ!!」
エルフェリオンは右手に持った邪龍剣をブーメランのように投擲する。
『こやつ! わしを投げるとは何事じゃ!!』
雑に扱われたと感じて文句を言うレヴィジアルが回転しながら飛んでいく。
「グガッ!」
バーニング・ガトリングをくらった直後の右翼に邪龍剣を受けたガーゴイルが大きくバランスを崩す。右翼にはレヴィジアルが突き刺さっている。
「もう一回! バーニング・ガトリング!!」
アルナがさらに火炎弾の撃ちまくる。
「ゴガァァァァァァァァッ!!」
ついに右翼を砕かれたガーゴイルが地面に落ちた。
「へっ、ざまぁみろ!」
口角を上げたエルフェリオンがガーゴイルとともに落下してきた邪龍剣を拾い上げる。
『おぬし、わしの扱いがまるでなっとらんぞ!!』
エルフェリオンは怒声をあげるレヴィジアルを無視し、バックステップでガーゴイルから離れつつ邪龍剣を構える。
「さぁて、本番はこっからだぜ」
「ガグググググ!……」
立ち上がったガーゴイルの赤い双眸が怒りによって鋭く光る。
「ヌボァァ!」
奇声を発したガーゴイルが両手の掌に集めた魔力を球状にして投げつける。エルフェリオンは、それを軽快なサイドステップで右に左に躱して床を強く蹴り、さらに加速してガーゴイルの懐深くに飛び込む。
シュッ!
勢いよく放たれた邪龍剣による突きだったが、標的である怪物を捉えることができない。
「ちっ、飛んだか!」
空中に飛翔したガーゴイルをエルフェリオンのエメラルドグリーンの瞳が追う。
「おい、アルナ! 魔術でなんとかできねぇか!?」
空中に移動した敵になす術がない青髪の青年の問いかけに、少女は我に返ったようにビクンと体を跳ね上がらせた。
「おいおい、考え事なら後にしてくれよ」
エルフェリオンは、頭上のガーゴイルに注意を払いながら溜め息混じりに言う。
「ご……ごめん。それで、えっと……」
「あいつだ。なんとかならねぇか?」
戸惑いつつも謝るアルナにエルフェリオンが訊く。
「あれを落とすのね。でも、さっきも言ったようにガーゴイルは魔術に対しても耐性があるの。そう簡単にはいかないわよ……」
空中のガーゴイルを見ながらアルナが答える。
「ギュガガガガガガッ!」
またしても奇声を発したガーゴイルが魔力球をどんどん作り出し、エルフェリオンたちに投げつけていく。
『クハハハハハハハハ! わしを小バカにした報いを受けよ!』
レヴィジアルが愉快げに笑う。
(ちっきしょう……おもしろがってやがるな、老いぼれのクソ龍め)
心の中で相棒に毒づくが状況は変わるはずもない。四方八方に忙しなく動き、次々に降り注ぐ魔力球を躱すが、それにも限界というものはある。
「んもぉ! このままじゃやられっぱなしみたいね。いいわよ、やってやるわよ!!」
腹をくくったアルナが精神を集中する。
「ボァァォァァッ!」
ガーゴイルはアルナの行動を警戒して魔力球を投げつける。
「させるか!」
アルナに迫る魔力球の進路上に立ちふさがったエルフェリオンが邪龍剣で受け止める。
「いっくわよぉ! バーニング・ガトリング!!」
精神を集中し、己の魔力を高めたアルナが杖の先端部をガーゴイルに向けて魔術名を唱えた。魔力によって作り出された火炎弾が機関銃のごとく撃ち出される。
「クゴゴゴ……」
火炎弾はガーゴイルの右翼に命中する。だが、ダメージを与えたものの墜落させるには至らない。
「魔力をまとって防御してるうえに元が石だから硬いわね!」
アルナが悔しそうにガーゴイルを睨む。
「これなら、どうだ!!」
エルフェリオンは右手に持った邪龍剣をブーメランのように投擲する。
『こやつ! わしを投げるとは何事じゃ!!』
雑に扱われたと感じて文句を言うレヴィジアルが回転しながら飛んでいく。
「グガッ!」
バーニング・ガトリングをくらった直後の右翼に邪龍剣を受けたガーゴイルが大きくバランスを崩す。右翼にはレヴィジアルが突き刺さっている。
「もう一回! バーニング・ガトリング!!」
アルナがさらに火炎弾の撃ちまくる。
「ゴガァァァァァァァァッ!!」
ついに右翼を砕かれたガーゴイルが地面に落ちた。
「へっ、ざまぁみろ!」
口角を上げたエルフェリオンがガーゴイルとともに落下してきた邪龍剣を拾い上げる。
『おぬし、わしの扱いがまるでなっとらんぞ!!』
エルフェリオンは怒声をあげるレヴィジアルを無視し、バックステップでガーゴイルから離れつつ邪龍剣を構える。
「さぁて、本番はこっからだぜ」
「ガグググググ!……」
立ち上がったガーゴイルの赤い双眸が怒りによって鋭く光る。
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