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第2章 出会い
2―3 VSガーゴイル②
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「ゴァァァァァァッ!」
ガーゴイルが乱射する魔力球を躱しながら一気に間合いを詰めたエルフェリオンは、邪龍剣を乱舞させる。
(マジで硬ぇ! 石像を斬っているみてぇだぜ)
エルフェリオンの斬撃はガーゴイルの石の体を傷つけるが破壊には至らない。
『まったく。邪龍剣の力を引き出せておらんではないか』
「ごちゃごちゃと……」
ブォンッ
しゃがんだエルフェリオンの頭上をガーゴイルの太い腕が横切った。
「うるせぇんだよ!!」
エルフェリオンは全身をバネのように使って跳躍しながら叫び、邪龍剣で斬り上げる。
(ちぃっ! まだ浅いか!!)
ガーゴイルの体に大きく亀裂を入れることに成功したものの致命的なダメージは与えていない。
「ルガァァァァァ!」
ガーゴイルの石の拳が未だ着地していないエルフェリオンに向かってくる。
「くっ!」
咄嗟にレヴィジアルで受け止めた。が、そのまま弾き飛ばされて床に叩きつけられる。
(この龍衣ってやつの防御力は本物みてぇだな。かなりの衝撃はあったが身体へのダメージは随分と軽減されている……)
エルフェリオンは龍衣の高性能ぶりに驚く。
「アイシクル・ショット!」
アルナが放った氷柱が、エルフェリオンに迫っていたガーゴイルの蟀谷を撃つ。ガーゴイルはよろめいて片膝つく。
「ほら! ボサッとしないで!!」
「けっ、わぁってるよ!」
エルフェリオンはアルナに反論し、レヴィジアルを構えてガーゴイルに向かっていく。
「グガァァ!」
迎撃のために投げつけられる魔力球を邪龍剣で切り払い、間合いを詰めていくエルフェリオン。
「せやぁ!」
気合一閃。邪龍剣がガーゴイルの首を捉えたかに思われた。しかし、ガーゴイルは左腕でレヴィジアルを受け止め、同時に右拳で青髪の青年の腹部を打つ。
「うぐっ!」
低いうめき声を漏らしたエルフェリオンが後方へと弾け飛ぶ。
(なめるなよ!)
エルフェリオンは空中で体勢を立て直して着地を成功させる。
『ふむふむ。やはり身体能力やらポテンシャルは悪くないのぉ。じゃが、邪龍剣の力もろくに引き出せない半人前のおぬしがガーゴイルに勝てるかのぉ?』
まるで他人事のように言うレヴィジアルに青髪の青年は顔をしかめる。
「ったく、マジで性格の悪いクソ龍だな」
『ふん、生意気をぬかすのもよいが、いかに龍衣をまとっていたとしても不死身というわけではないぞ。死ぬ時は死ぬからせいぜい用心することじゃ。もっとも、おぬしが死んだところでわしは痛くも痒くもないがのぉ』
毒づいたエルフェリオンに対してレヴィジアルも負けてはいない。
「言ってろよ、クソ龍!」
追撃のために距離を詰めてきていたガーゴイルに対してエルフェリオンはまったく引かない。それどころか力強く前に足を踏み込み、その脇腹に邪龍剣の斬撃をくらわす。
パラパラパラ……
ガーゴイルの脇腹にも亀裂が入り、細かな石片が床に散らばる。だが、ガーゴイルからの反撃を警戒しているエルフェリオンは足を止めず、素早く背後に回り込む。
「そらよ!」
無数の軌跡を描いた邪龍剣がガーゴイルの背中にも亀裂を生じさせる。もちろん、ガーゴイルも黙ってやられっぱなしにはならない。振り返り様に腕を振りかざす。
「当たるかよ!」
それを予測していたエルフェリオンがいち早く後方へと飛び退く。
「ゴァァァァァァッ!」
ガーゴイルも攻撃の手を緩めない。両手を組んで頭上に掲げた腕を振り下ろす。エルフェリオンの回避行動は間に合わない。
「バインド・チェーン!」
聖杖をかざしたアルナが発動した魔術により出現した魔力の鎖がガーゴイルの腕に絡みつき、部屋の天井と繋いで拘束する。
「今よ!」
「おぅ!」
アルナが作った好機を逃すまいとエルフェリオンは邪龍剣を両手でしっかりと握り、ガーゴイルに正面から斬りかかる。
「ぜやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
烈帛の気合を入れて次々にくり出した斬撃はガーゴイルの全身に深い亀裂をつくる。
「けっ、その頑丈さは大したものだな!」
エルフェリオンは笑みを浮かべ、一歩後退して邪龍剣を水平に構える。
「これで、どうだ!!」
エルフェリオンのエメラルドグリーンの瞳が鋭い眼光を放つ。全身を勢いよく回転させ、邪龍剣を渾身の力で横に一閃する。
「ガガ……ゴゴゴ……」
腰を両断され、上半身と下半身に分断されたガーゴイルの赤い双眸が明滅し、やがてその光は完全に消え失せた。それと同時にただの石像となったガーゴイルは床に崩れ落ちる。
「はぁぁ……」
それを見届けたアルナはバインド・チェーンを解除して深く溜め息をつく。
「へへっ、けっこう楽しませてもらったぜ」
エルフェリオンはガーゴイルの残骸を見下ろして呟く。
「……そう言えば、邪龍剣をしまう鞘はあるのか?」
『たわけ者が。このわしを鞘に収めようとは!』
「じゃあ、どうするんだよ? まさか、抜き身のまま歩き回るのかよ?」
『それでもかまわぬが、いろいろと面倒事になるからのぉ。おぬしが念じればわしは再び同化する』
「ふーん、なるほどねぇ」
エルフェリオンは言われるがままに従う。すると、右手に握っていたはずの邪龍剣が消えた。
「……便利なものだな……」
「バーニング・ショット!」
感想を漏らして振り返ったエルフェリオンの顔の真横を火炎弾が通り過ぎる。
「……どういうつもりだ?」
エルフェリオンは不意打ちを仕掛けてきた少女アルナを睨む。
ガーゴイルが乱射する魔力球を躱しながら一気に間合いを詰めたエルフェリオンは、邪龍剣を乱舞させる。
(マジで硬ぇ! 石像を斬っているみてぇだぜ)
エルフェリオンの斬撃はガーゴイルの石の体を傷つけるが破壊には至らない。
『まったく。邪龍剣の力を引き出せておらんではないか』
「ごちゃごちゃと……」
ブォンッ
しゃがんだエルフェリオンの頭上をガーゴイルの太い腕が横切った。
「うるせぇんだよ!!」
エルフェリオンは全身をバネのように使って跳躍しながら叫び、邪龍剣で斬り上げる。
(ちぃっ! まだ浅いか!!)
ガーゴイルの体に大きく亀裂を入れることに成功したものの致命的なダメージは与えていない。
「ルガァァァァァ!」
ガーゴイルの石の拳が未だ着地していないエルフェリオンに向かってくる。
「くっ!」
咄嗟にレヴィジアルで受け止めた。が、そのまま弾き飛ばされて床に叩きつけられる。
(この龍衣ってやつの防御力は本物みてぇだな。かなりの衝撃はあったが身体へのダメージは随分と軽減されている……)
エルフェリオンは龍衣の高性能ぶりに驚く。
「アイシクル・ショット!」
アルナが放った氷柱が、エルフェリオンに迫っていたガーゴイルの蟀谷を撃つ。ガーゴイルはよろめいて片膝つく。
「ほら! ボサッとしないで!!」
「けっ、わぁってるよ!」
エルフェリオンはアルナに反論し、レヴィジアルを構えてガーゴイルに向かっていく。
「グガァァ!」
迎撃のために投げつけられる魔力球を邪龍剣で切り払い、間合いを詰めていくエルフェリオン。
「せやぁ!」
気合一閃。邪龍剣がガーゴイルの首を捉えたかに思われた。しかし、ガーゴイルは左腕でレヴィジアルを受け止め、同時に右拳で青髪の青年の腹部を打つ。
「うぐっ!」
低いうめき声を漏らしたエルフェリオンが後方へと弾け飛ぶ。
(なめるなよ!)
エルフェリオンは空中で体勢を立て直して着地を成功させる。
『ふむふむ。やはり身体能力やらポテンシャルは悪くないのぉ。じゃが、邪龍剣の力もろくに引き出せない半人前のおぬしがガーゴイルに勝てるかのぉ?』
まるで他人事のように言うレヴィジアルに青髪の青年は顔をしかめる。
「ったく、マジで性格の悪いクソ龍だな」
『ふん、生意気をぬかすのもよいが、いかに龍衣をまとっていたとしても不死身というわけではないぞ。死ぬ時は死ぬからせいぜい用心することじゃ。もっとも、おぬしが死んだところでわしは痛くも痒くもないがのぉ』
毒づいたエルフェリオンに対してレヴィジアルも負けてはいない。
「言ってろよ、クソ龍!」
追撃のために距離を詰めてきていたガーゴイルに対してエルフェリオンはまったく引かない。それどころか力強く前に足を踏み込み、その脇腹に邪龍剣の斬撃をくらわす。
パラパラパラ……
ガーゴイルの脇腹にも亀裂が入り、細かな石片が床に散らばる。だが、ガーゴイルからの反撃を警戒しているエルフェリオンは足を止めず、素早く背後に回り込む。
「そらよ!」
無数の軌跡を描いた邪龍剣がガーゴイルの背中にも亀裂を生じさせる。もちろん、ガーゴイルも黙ってやられっぱなしにはならない。振り返り様に腕を振りかざす。
「当たるかよ!」
それを予測していたエルフェリオンがいち早く後方へと飛び退く。
「ゴァァァァァァッ!」
ガーゴイルも攻撃の手を緩めない。両手を組んで頭上に掲げた腕を振り下ろす。エルフェリオンの回避行動は間に合わない。
「バインド・チェーン!」
聖杖をかざしたアルナが発動した魔術により出現した魔力の鎖がガーゴイルの腕に絡みつき、部屋の天井と繋いで拘束する。
「今よ!」
「おぅ!」
アルナが作った好機を逃すまいとエルフェリオンは邪龍剣を両手でしっかりと握り、ガーゴイルに正面から斬りかかる。
「ぜやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
烈帛の気合を入れて次々にくり出した斬撃はガーゴイルの全身に深い亀裂をつくる。
「けっ、その頑丈さは大したものだな!」
エルフェリオンは笑みを浮かべ、一歩後退して邪龍剣を水平に構える。
「これで、どうだ!!」
エルフェリオンのエメラルドグリーンの瞳が鋭い眼光を放つ。全身を勢いよく回転させ、邪龍剣を渾身の力で横に一閃する。
「ガガ……ゴゴゴ……」
腰を両断され、上半身と下半身に分断されたガーゴイルの赤い双眸が明滅し、やがてその光は完全に消え失せた。それと同時にただの石像となったガーゴイルは床に崩れ落ちる。
「はぁぁ……」
それを見届けたアルナはバインド・チェーンを解除して深く溜め息をつく。
「へへっ、けっこう楽しませてもらったぜ」
エルフェリオンはガーゴイルの残骸を見下ろして呟く。
「……そう言えば、邪龍剣をしまう鞘はあるのか?」
『たわけ者が。このわしを鞘に収めようとは!』
「じゃあ、どうするんだよ? まさか、抜き身のまま歩き回るのかよ?」
『それでもかまわぬが、いろいろと面倒事になるからのぉ。おぬしが念じればわしは再び同化する』
「ふーん、なるほどねぇ」
エルフェリオンは言われるがままに従う。すると、右手に握っていたはずの邪龍剣が消えた。
「……便利なものだな……」
「バーニング・ショット!」
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