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第3章 5年後のレバルフ
3―7 VSベグ&ゼーゲン&フューズ
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「このボクチンが餌だと!? わけのわからない、ふざけた態度を後悔させてやる!」
木槌をしっかりと握ったベグが跳躍し、全体重を乗せて振り下ろす。
ドガッ
木槌が何もない地面を叩く。
「んな大振りの攻撃なんかあたるかよ」
ベグの攻撃をサイドステップで躱し、お返しとばかりに邪龍剣を横に斬り払うエルフェリオン。だが、ベグは口元に笑みを浮かべる。
ヌル……
紫色の魔力を纏ったベグの全身は、いつの間にか粘液によって覆われ、邪龍剣を受け流した。
(ちっ、いつの間に魔力を使えるようになってやがったんだ? それに、魔力で粘液を作り出せるのか!?)
エルフェリオンは心の中で舌打ちする。
「もらったぁ!」
体勢を崩したエルフェリオンにベグが木槌を揮う。
「ぐっ!」
両腕で頭部をガードしたエルフェリオンだったが、離れて様子を窺っていたゼーゲンとフューズの近くまで木槌でおもいきり殴り飛ばされてしまう。
「さっすがはベグさんだ! ザマァねぇな!!」
「ボクたちに恥をかかせてくれた恨み、晴らさせてもらうよ!」
復讐のチャンスとみたゼーゲンとフューズがそれぞれの武器を手に殺意に満ちた目で睨む。
「「死ね!」」
二人は嬉々として同時にエルフェリオンを追撃する。
「エルフェリオン!?」
エルフェリオンの身を案じたアルナが叫ぶ。が、ゼーゲンの剣もフューズのヌンチャクも敵を捉えることはできなかった。
「驚いたな。まさか、おまえも魔力を扱うなんて芸当ができるようになってたとはな」
ゼーゲンとフューズの背後で黒い魔力を立ち昇らせたエルフェリオンが口角を上げる。
ザシュッ
目の前の二人に振り返る隙さえ与えず、エルフェリオンは容赦なく斬り捨てた。絶命と同時にレヴィジアルによって喰われたゼーゲンとフューズの装備品が地面に転がる。その光景を目にしてもなおベグは戦意を失くさない。
「くっ、忌々しい! おまえもボクチンのように魔力を使えるのか!」
予想外の事態に顔をしかめるベグ。
「そういうこった。今さらケンカを売ったことを後悔したところで遅ぇぞ?」
「うるさぁい! それでもボクチンのほうが強いに決まってるんだ!!」
思うように事が運ばずに逆上したベグが木槌を振り上げて突進する。
「けっ、相変わらずダセェな、てめぇは……よ!」
横っ跳びに木槌を躱してベグ背後に回り込み、背中に蹴りを入れる。
「おぐ! よくもやったなぁ!!」
ベグは前のめりによろめくも踏みとどまり、木槌を連続で揮う。恐怖心と焦燥感と怒りが混在し、もはや、周りの状況など見えていない。
「くそ! くそ! くそぉ!! ボクチンは前からおまえが嫌いだったんだ!! 力を持ってるくせに、のし上がろうともしない! このボクチンが腹心になってスラムを支配しようと提案してやったのにだ!!!」
ベグは恨み言を並べ立てながら攻撃を続けるが、エルフェリオンにはかすりもしない。
「生憎と俺には出世欲というものがなくてな。それに、おまえは俺を利用して成り上がる算段じゃなかったのか?」
「むぐ!?」
図星を突かれて言葉を詰まらせたベグの動きが一瞬止まる。
「やっぱりな。まぁ、いいさ。おまえとの腐れ縁もここまでだ!」
ベグが振り抜いた木槌をしゃがんで躱したエルフェリオンが邪龍剣を真上に斬り上げる。今度は粘液に邪魔されることなく邪龍剣の刃はベグを捉えた。
「ぐはっ!!」
下腹から胸へと斬り裂かれたベグの意識が遠のき、力なく垂れ下がった手から木槌が滑り落ちる。
「これでよし、と」
邪龍剣レヴィジアルを同化させて戦闘態勢を解いたエルフェリオンにアルナがズカズカと近付いてきた。
パンッ
乾いた音がなる。エルフェリオンはアルナから平手打ちを受けたのだった。
木槌をしっかりと握ったベグが跳躍し、全体重を乗せて振り下ろす。
ドガッ
木槌が何もない地面を叩く。
「んな大振りの攻撃なんかあたるかよ」
ベグの攻撃をサイドステップで躱し、お返しとばかりに邪龍剣を横に斬り払うエルフェリオン。だが、ベグは口元に笑みを浮かべる。
ヌル……
紫色の魔力を纏ったベグの全身は、いつの間にか粘液によって覆われ、邪龍剣を受け流した。
(ちっ、いつの間に魔力を使えるようになってやがったんだ? それに、魔力で粘液を作り出せるのか!?)
エルフェリオンは心の中で舌打ちする。
「もらったぁ!」
体勢を崩したエルフェリオンにベグが木槌を揮う。
「ぐっ!」
両腕で頭部をガードしたエルフェリオンだったが、離れて様子を窺っていたゼーゲンとフューズの近くまで木槌でおもいきり殴り飛ばされてしまう。
「さっすがはベグさんだ! ザマァねぇな!!」
「ボクたちに恥をかかせてくれた恨み、晴らさせてもらうよ!」
復讐のチャンスとみたゼーゲンとフューズがそれぞれの武器を手に殺意に満ちた目で睨む。
「「死ね!」」
二人は嬉々として同時にエルフェリオンを追撃する。
「エルフェリオン!?」
エルフェリオンの身を案じたアルナが叫ぶ。が、ゼーゲンの剣もフューズのヌンチャクも敵を捉えることはできなかった。
「驚いたな。まさか、おまえも魔力を扱うなんて芸当ができるようになってたとはな」
ゼーゲンとフューズの背後で黒い魔力を立ち昇らせたエルフェリオンが口角を上げる。
ザシュッ
目の前の二人に振り返る隙さえ与えず、エルフェリオンは容赦なく斬り捨てた。絶命と同時にレヴィジアルによって喰われたゼーゲンとフューズの装備品が地面に転がる。その光景を目にしてもなおベグは戦意を失くさない。
「くっ、忌々しい! おまえもボクチンのように魔力を使えるのか!」
予想外の事態に顔をしかめるベグ。
「そういうこった。今さらケンカを売ったことを後悔したところで遅ぇぞ?」
「うるさぁい! それでもボクチンのほうが強いに決まってるんだ!!」
思うように事が運ばずに逆上したベグが木槌を振り上げて突進する。
「けっ、相変わらずダセェな、てめぇは……よ!」
横っ跳びに木槌を躱してベグ背後に回り込み、背中に蹴りを入れる。
「おぐ! よくもやったなぁ!!」
ベグは前のめりによろめくも踏みとどまり、木槌を連続で揮う。恐怖心と焦燥感と怒りが混在し、もはや、周りの状況など見えていない。
「くそ! くそ! くそぉ!! ボクチンは前からおまえが嫌いだったんだ!! 力を持ってるくせに、のし上がろうともしない! このボクチンが腹心になってスラムを支配しようと提案してやったのにだ!!!」
ベグは恨み言を並べ立てながら攻撃を続けるが、エルフェリオンにはかすりもしない。
「生憎と俺には出世欲というものがなくてな。それに、おまえは俺を利用して成り上がる算段じゃなかったのか?」
「むぐ!?」
図星を突かれて言葉を詰まらせたベグの動きが一瞬止まる。
「やっぱりな。まぁ、いいさ。おまえとの腐れ縁もここまでだ!」
ベグが振り抜いた木槌をしゃがんで躱したエルフェリオンが邪龍剣を真上に斬り上げる。今度は粘液に邪魔されることなく邪龍剣の刃はベグを捉えた。
「ぐはっ!!」
下腹から胸へと斬り裂かれたベグの意識が遠のき、力なく垂れ下がった手から木槌が滑り落ちる。
「これでよし、と」
邪龍剣レヴィジアルを同化させて戦闘態勢を解いたエルフェリオンにアルナがズカズカと近付いてきた。
パンッ
乾いた音がなる。エルフェリオンはアルナから平手打ちを受けたのだった。
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