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第4章 狙われた親子
4―11 エルフェリオンVSバゼンド
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「おらおら、どうしたよ!? 余裕かましてたわりにはそんなもんか?」
何度となく斬り結んでいたエルフェリオンとバゼンドだが、形勢はバゼンドが徐々に優勢に傾いてきている。
「るせぇ! んなわけねぇだろうが!」
エルフェリオンは地面を蹴って瞬間的に加速し、バゼンドの背後をとる。
「ちっ、思ったよりも動けるみてぇだな!?」
体を半回転させて飛び退いたバゼンドの眼前を邪龍剣の切先が横切る。
(どうなってんだ、こいつは!? 致命傷ではないにしろ、かすり傷程度ならかなり入れたはずだぞ!? にもかかわらず、ダメージがほんとんどねぇ。いや、おかしいはそれだけじゃねぇ。こいつの服も妙だ。切れた瞬間に元どおりに修復されちまう)
バゼンドは奇妙な感覚をおぼえていた。
『クハハハハハッ! あの小僧め。わしの所有しておった龍衣の性能に驚いておるようじゃのぉ』
エルフェリオンの内でレヴィジアルが愉快げに声をあげる。
「その剣といい服といい、妙な装備品を身に着けてるじゃねぇかよ。だがなぁ、それでもオレには勝てねぇんだよぉ!」
バゼンドが左手に持った剣で斬りかかる。
キンッ
それを邪龍剣で受け止めたエルフェリオンが口角を上げる。
「おまえこそ、その程度で俺に勝ったつもりかよ?」
エルフェリオンは、邪龍の黒い魔力を身にまとってバゼンドの剣を弾き返し、ガラ空きになった腹部に膝蹴りを入れ、続け様に回し蹴りで蹴り飛ばす。
「ごはぁっ!!」
(この野郎……まだ本気じゃなかったのか! 魔力で身体能力を強化してやがるぜ!!)
歯噛みし、視線をエルフェリオンに戻したバゼンド。口元に滲んだ血を拭い、口内の血を吐き捨てる。
「さっきのセリフをそのまま返してやるよ」
「あん?」
勝ち誇ったように言うエルフェリオンにバゼンドは苛立ちをあらわにする。
「どうしたよ? そんなもんか?」
「てめぇ! ぶっ殺してやる!!!」
激昂したバゼンドが地を蹴り、エルフェリオンに迫る。
「ちっ!」
予想以上の素早い動きをみせたバゼンドにエルフェリオンの対応が僅かにおくれる。バゼンドの剣の切先がエルフェリオンの喉元の少し手前を横切る。
(危ねぇ……)
間一髪のところでバックステップによって回避したエルフェリオンだったが、冷や汗を滲ませる。
『まことに愚か者よのぉ。未熟者の分際で油断しておるから、そのような目に遭うのじゃぞ』
邪龍レヴィジアルが宿主に忠告する。
「今のを躱すかよ! だがなぁ、まだまだいくぜぇ!!」
バゼンドはさらに踏み込み、追撃にでる。
(ちっ……剣の腕は向こうのほうが上か)
バゼンドとの激しい剣戟を展開しながら、エルフェリオンは劣勢を覆す隙を伺う。
「すばしっこいやつだな!」
エルフェリオンが高い身体能力を駆使して斬撃を躱し、致命傷を与えられないことに声を荒げるバゼンド。
「逃がすかよ!」
バゼンドは、バックステップを素早く繰り返して間合いをとろうとするエルフェリオンを追う。だが、その距離は少しずつひらいていく。
「野郎!……んな!?」
ひらいていたエルフェリオンとバゼンドの距離が瞬時に縮まる。バックステップで引き離していたエルフェリオンが一転し、大きく前に踏み込んだ。予期せぬ行動にバゼンドの思考が一瞬停止する。
ザシュッ
振りかざされた邪龍剣がバゼンドの肩を深く斬りつける。
「ぐぅ!」
痛みに顔をゆがめるバゼンド。
(ちっ、まだ浅いか!)
この一撃によって勝負を決めるつもりだったエルフェリオンは、すぐにバゼンドから離れる。
「はぁ、はぁ……くそっ、剣の腕はド素人そのもののくせに身体能力が高ぇ!」
バゼンドは久しく感じていなかった恐怖心を覚え、無意識に後退りする。
『ふむ。どうやら攻め時のようじゃぞ?』
レヴィジアルが助言するもエルフェリオンはすでに動いていた。
「くっ……そが!……」
邪龍剣を使った猛攻に耐えるバゼンド。だが、一度抱いた恐怖心を拭い去ることはできず、動きを鈍らせていた。
「がぁ!!」
エルフェリオンが放った斬撃に左腕に斬りつけられたバゼンドが声をあげ、再び剣を落とす。
(まずい!)
すぐに拾おうとするバゼンドだったが、それよりも早く、エルフェリオンが下段から斜めに斬り上げた邪龍剣が胴体に致命的な傷を負わせた。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
絶叫したバゼンドはすぐに意識をなくして地面に崩れ落ちる。そして、彼の肉体と魂は、その瞬間を待っていた邪龍レヴィジアルによって喰われてしまう。
バゼンドの遺体が一滴の血も残さず消滅したのを確認したエルフェリオンは、自らの勝利を確信するのだった。
何度となく斬り結んでいたエルフェリオンとバゼンドだが、形勢はバゼンドが徐々に優勢に傾いてきている。
「るせぇ! んなわけねぇだろうが!」
エルフェリオンは地面を蹴って瞬間的に加速し、バゼンドの背後をとる。
「ちっ、思ったよりも動けるみてぇだな!?」
体を半回転させて飛び退いたバゼンドの眼前を邪龍剣の切先が横切る。
(どうなってんだ、こいつは!? 致命傷ではないにしろ、かすり傷程度ならかなり入れたはずだぞ!? にもかかわらず、ダメージがほんとんどねぇ。いや、おかしいはそれだけじゃねぇ。こいつの服も妙だ。切れた瞬間に元どおりに修復されちまう)
バゼンドは奇妙な感覚をおぼえていた。
『クハハハハハッ! あの小僧め。わしの所有しておった龍衣の性能に驚いておるようじゃのぉ』
エルフェリオンの内でレヴィジアルが愉快げに声をあげる。
「その剣といい服といい、妙な装備品を身に着けてるじゃねぇかよ。だがなぁ、それでもオレには勝てねぇんだよぉ!」
バゼンドが左手に持った剣で斬りかかる。
キンッ
それを邪龍剣で受け止めたエルフェリオンが口角を上げる。
「おまえこそ、その程度で俺に勝ったつもりかよ?」
エルフェリオンは、邪龍の黒い魔力を身にまとってバゼンドの剣を弾き返し、ガラ空きになった腹部に膝蹴りを入れ、続け様に回し蹴りで蹴り飛ばす。
「ごはぁっ!!」
(この野郎……まだ本気じゃなかったのか! 魔力で身体能力を強化してやがるぜ!!)
歯噛みし、視線をエルフェリオンに戻したバゼンド。口元に滲んだ血を拭い、口内の血を吐き捨てる。
「さっきのセリフをそのまま返してやるよ」
「あん?」
勝ち誇ったように言うエルフェリオンにバゼンドは苛立ちをあらわにする。
「どうしたよ? そんなもんか?」
「てめぇ! ぶっ殺してやる!!!」
激昂したバゼンドが地を蹴り、エルフェリオンに迫る。
「ちっ!」
予想以上の素早い動きをみせたバゼンドにエルフェリオンの対応が僅かにおくれる。バゼンドの剣の切先がエルフェリオンの喉元の少し手前を横切る。
(危ねぇ……)
間一髪のところでバックステップによって回避したエルフェリオンだったが、冷や汗を滲ませる。
『まことに愚か者よのぉ。未熟者の分際で油断しておるから、そのような目に遭うのじゃぞ』
邪龍レヴィジアルが宿主に忠告する。
「今のを躱すかよ! だがなぁ、まだまだいくぜぇ!!」
バゼンドはさらに踏み込み、追撃にでる。
(ちっ……剣の腕は向こうのほうが上か)
バゼンドとの激しい剣戟を展開しながら、エルフェリオンは劣勢を覆す隙を伺う。
「すばしっこいやつだな!」
エルフェリオンが高い身体能力を駆使して斬撃を躱し、致命傷を与えられないことに声を荒げるバゼンド。
「逃がすかよ!」
バゼンドは、バックステップを素早く繰り返して間合いをとろうとするエルフェリオンを追う。だが、その距離は少しずつひらいていく。
「野郎!……んな!?」
ひらいていたエルフェリオンとバゼンドの距離が瞬時に縮まる。バックステップで引き離していたエルフェリオンが一転し、大きく前に踏み込んだ。予期せぬ行動にバゼンドの思考が一瞬停止する。
ザシュッ
振りかざされた邪龍剣がバゼンドの肩を深く斬りつける。
「ぐぅ!」
痛みに顔をゆがめるバゼンド。
(ちっ、まだ浅いか!)
この一撃によって勝負を決めるつもりだったエルフェリオンは、すぐにバゼンドから離れる。
「はぁ、はぁ……くそっ、剣の腕はド素人そのもののくせに身体能力が高ぇ!」
バゼンドは久しく感じていなかった恐怖心を覚え、無意識に後退りする。
『ふむ。どうやら攻め時のようじゃぞ?』
レヴィジアルが助言するもエルフェリオンはすでに動いていた。
「くっ……そが!……」
邪龍剣を使った猛攻に耐えるバゼンド。だが、一度抱いた恐怖心を拭い去ることはできず、動きを鈍らせていた。
「がぁ!!」
エルフェリオンが放った斬撃に左腕に斬りつけられたバゼンドが声をあげ、再び剣を落とす。
(まずい!)
すぐに拾おうとするバゼンドだったが、それよりも早く、エルフェリオンが下段から斜めに斬り上げた邪龍剣が胴体に致命的な傷を負わせた。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
絶叫したバゼンドはすぐに意識をなくして地面に崩れ落ちる。そして、彼の肉体と魂は、その瞬間を待っていた邪龍レヴィジアルによって喰われてしまう。
バゼンドの遺体が一滴の血も残さず消滅したのを確認したエルフェリオンは、自らの勝利を確信するのだった。
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