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第5章 老翁との出会い
5―13 その後の冒険パーティ【華麗なる英雄】
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ジャイアントモール率いるゴブリンたちを壊滅させたエルフェリオンたちは、ティクの町を目指して街道を移動した。しかし、巣窟を出た時点ですでに夕暮れ時になっていた。レバルフからもティクからも離れた場所に位置していたため、移動もそこそこに野営をすることにしたのだった。
「考え事かの?」
パチパチと爆ぜる焚き火をぼんやりと見つめるエルフェリオンにハオウが声をかける。
「まだ、見張りの交代じゃねぇぞ? おとなしく寝てたほうがいいんじゃねぇのか?」
チラリと視線を動かしたエルフェリオンが素っ気なく言う。
「気遣いはありがたいが心配無用じゃぞい」
ハオウはそこまで言って、視線をスヤスヤと眠るアルナへと転じる。
「本当によい娘じゃぞい。今の世で、見ず知らずの者に迷わず救いの手を差し伸べることができる者はそうはおらんぞい」
「けっ、ただのお人好しか無駄にお節介なだけだろうが」
言い捨てるエルフェリオンにハオウは「カッカッカッカッ」と笑い声をあげる。
「そういう点では、おまえさんも同じだと思うぞい。あの娘がワシを助けたことで面倒事に巻き込まれるのわかっとったのなら、さっさと次の目的地を目指すこともできた。それをしなかったのじゃからな」
「ふん、買いかぶり過ぎだ。俺だってゴブリンの仲間を殺っちまったからな。あのままトンズラしたところで狙われてただろうさ」
「カッカッカッカッ! そういうことにしておくぞい」
愉快げに笑うハオウにエルフェリオンは舌打ちをする。
「ところで、おまえさんの武器についてじゃが、召喚武具の類とみたが、変形までするとは驚いたぞい」
興味津々といった様子で訊いてくるハオウ。
「ん? まぁ、そうだな。珍しいというのは間違いないだろうぜ」
エルフェリオンは、知り合って間もない相手にどこまで話していいものか迷い、曖昧な返事をする。それを察したハオウはそれ以上の追及をしようとはしない。
「なぁ、じいさんは華麗なる英雄っていう冒険パーティを知ってるか?」
仇敵の情報を得ることができないかと考えたエルフェリオンが訊く。
「華麗なる英雄というと、冒険者ギゼムという者がリーダーの?」
「ああ、それだ」
エルフェリオンは情報を得られることを期待してハオウの答えを待つ。だが、ハオウからの回答は予想だにしないものだった。
「冒険パーティの華麗なる英雄ならば、すでに存在せぬぞい」
「考え事かの?」
パチパチと爆ぜる焚き火をぼんやりと見つめるエルフェリオンにハオウが声をかける。
「まだ、見張りの交代じゃねぇぞ? おとなしく寝てたほうがいいんじゃねぇのか?」
チラリと視線を動かしたエルフェリオンが素っ気なく言う。
「気遣いはありがたいが心配無用じゃぞい」
ハオウはそこまで言って、視線をスヤスヤと眠るアルナへと転じる。
「本当によい娘じゃぞい。今の世で、見ず知らずの者に迷わず救いの手を差し伸べることができる者はそうはおらんぞい」
「けっ、ただのお人好しか無駄にお節介なだけだろうが」
言い捨てるエルフェリオンにハオウは「カッカッカッカッ」と笑い声をあげる。
「そういう点では、おまえさんも同じだと思うぞい。あの娘がワシを助けたことで面倒事に巻き込まれるのわかっとったのなら、さっさと次の目的地を目指すこともできた。それをしなかったのじゃからな」
「ふん、買いかぶり過ぎだ。俺だってゴブリンの仲間を殺っちまったからな。あのままトンズラしたところで狙われてただろうさ」
「カッカッカッカッ! そういうことにしておくぞい」
愉快げに笑うハオウにエルフェリオンは舌打ちをする。
「ところで、おまえさんの武器についてじゃが、召喚武具の類とみたが、変形までするとは驚いたぞい」
興味津々といった様子で訊いてくるハオウ。
「ん? まぁ、そうだな。珍しいというのは間違いないだろうぜ」
エルフェリオンは、知り合って間もない相手にどこまで話していいものか迷い、曖昧な返事をする。それを察したハオウはそれ以上の追及をしようとはしない。
「なぁ、じいさんは華麗なる英雄っていう冒険パーティを知ってるか?」
仇敵の情報を得ることができないかと考えたエルフェリオンが訊く。
「華麗なる英雄というと、冒険者ギゼムという者がリーダーの?」
「ああ、それだ」
エルフェリオンは情報を得られることを期待してハオウの答えを待つ。だが、ハオウからの回答は予想だにしないものだった。
「冒険パーティの華麗なる英雄ならば、すでに存在せぬぞい」
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