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第5章 老翁との出会い
5―12 エルフェリオンの素質
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「ふぃ~、どうにかなったみたいじゃぞい……」
緊張の糸が切れたようにハオウは肩の力を抜く。
「まさか、ジャイアントモールがいるなんて思わなかったわ……」
アルナも疲れ切った様子でその場にペタンと座り込む。だが、エルフェリオンだけは晴れやかな表情であった。
「へへっ、かなり強ぇやつだったが、俺たちの完全勝利だな」
強敵を倒したことに達成感を感じ、満足気に微笑する。
「あんたねぇ、ひとつ間違えれば全滅だってあり得たのよ? そこらへん、わかってるの!?」
呆れたように訊くアルナにエルフェリオンは笑む。
「わぁってるって。けど、今回の戦いを通じて邪龍槍を得たんだぜ。強い相手と戦って、確実に強くなれたって実感があるんだ!」
嬉々として語るエルフェリオンにアルナはため息を吐く。
「あんたって、本当に戦闘狂なんだから……」
「んだよ、いいじゃねぇか。それに、戦力が上がるのは俺たちの目的のためにはいいことだろうがよ」
「おまえさんたちの目的とな?」
エルフェリオンの言葉にハオウが反応する。とはいえ、復讐が目的だと誰彼構わず伝えるのは軽率すぎるためエルフェリオンは答えようとしない。
「おっと、すまんの。ワシとしたことが……いいんじゃ。無理に話す必要はないぞい。それよりもエルフェリオンよ、正直なところ、おまえさんの素質には驚かされるばかりじゃぞい」
エルフェリオンの顔をマジマジと見つめたハオウが言う。
「なんだよ、急に」
突然に褒めだすハオウにエルフェリオンが怪訝な表情を見せる。
「いやいや。本心で言っておるぞい。今回のゴブリンの巣窟を攻略している間にも目覚ましいほどの成長した。そこで、おまえさんにコレを進呈するぞい」
ハオウが懐から取り出したのは一冊の古い本だった。
「なんの本だ?」
エルフェリオンに訊かれてハオウはニヤリと笑む。
「闘気戦術の指南書じゃぞい。おまえさんならばコレに記されている技をマスターすることができるはずじゃぞい」
エルフェリオンは差し出された本を手に取る。
「サンキュー、じいさん。ありがたく受け取らせてもらうぜ」
指南書の内容をパラパラと見るエルフェリオンの元へ笑顔のアルナがやってくる。
「ん? どうしたんだ?」
指南書を閉じて訊くエルフェリオン。
「これよ、これ! ジャイアント・モールの魔石!!」
大きな魔石を差し出したアルナが青い瞳を輝かせる。
「ほぉ! さすがに良質な魔石じゃぞい!」
「うん! 換金下あとは三人で平等に分けましょう!」
「……いや、ワシは辞退させてもらうぞい。この件に巻き込んでしもうたからな」
ハオウが申し訳なさげに頭をかく。
「そんな! これはあたしが勝手にしたことだからハオウさんは気にしないで。だから、ちゃんと分けるべきよ!」
「いやいや、ワシからの感謝の気持ちとして受け取ってほしいぞい。見ず知らずのワシのために命懸けで戦ってくれたんじゃからな! どうか、頼む!」
「本人がこう言ってんだ。ありがたく貰ったほうがいいんじゃねぇか?」
エルフェリオンがハオウの意思を尊重する。
「……うん、わかった。ありがとうございます」
アルナはハオウに深く頭を下げて謝意を表す。
「なんにせよ、ここにはもう用はねぇだろ。さっさと出ようぜ」
「そうね。行きましょう」
エルフェリオンの言葉に同意し、一行はゴブリンの巣窟だった場所を後にするのだった。
緊張の糸が切れたようにハオウは肩の力を抜く。
「まさか、ジャイアントモールがいるなんて思わなかったわ……」
アルナも疲れ切った様子でその場にペタンと座り込む。だが、エルフェリオンだけは晴れやかな表情であった。
「へへっ、かなり強ぇやつだったが、俺たちの完全勝利だな」
強敵を倒したことに達成感を感じ、満足気に微笑する。
「あんたねぇ、ひとつ間違えれば全滅だってあり得たのよ? そこらへん、わかってるの!?」
呆れたように訊くアルナにエルフェリオンは笑む。
「わぁってるって。けど、今回の戦いを通じて邪龍槍を得たんだぜ。強い相手と戦って、確実に強くなれたって実感があるんだ!」
嬉々として語るエルフェリオンにアルナはため息を吐く。
「あんたって、本当に戦闘狂なんだから……」
「んだよ、いいじゃねぇか。それに、戦力が上がるのは俺たちの目的のためにはいいことだろうがよ」
「おまえさんたちの目的とな?」
エルフェリオンの言葉にハオウが反応する。とはいえ、復讐が目的だと誰彼構わず伝えるのは軽率すぎるためエルフェリオンは答えようとしない。
「おっと、すまんの。ワシとしたことが……いいんじゃ。無理に話す必要はないぞい。それよりもエルフェリオンよ、正直なところ、おまえさんの素質には驚かされるばかりじゃぞい」
エルフェリオンの顔をマジマジと見つめたハオウが言う。
「なんだよ、急に」
突然に褒めだすハオウにエルフェリオンが怪訝な表情を見せる。
「いやいや。本心で言っておるぞい。今回のゴブリンの巣窟を攻略している間にも目覚ましいほどの成長した。そこで、おまえさんにコレを進呈するぞい」
ハオウが懐から取り出したのは一冊の古い本だった。
「なんの本だ?」
エルフェリオンに訊かれてハオウはニヤリと笑む。
「闘気戦術の指南書じゃぞい。おまえさんならばコレに記されている技をマスターすることができるはずじゃぞい」
エルフェリオンは差し出された本を手に取る。
「サンキュー、じいさん。ありがたく受け取らせてもらうぜ」
指南書の内容をパラパラと見るエルフェリオンの元へ笑顔のアルナがやってくる。
「ん? どうしたんだ?」
指南書を閉じて訊くエルフェリオン。
「これよ、これ! ジャイアント・モールの魔石!!」
大きな魔石を差し出したアルナが青い瞳を輝かせる。
「ほぉ! さすがに良質な魔石じゃぞい!」
「うん! 換金下あとは三人で平等に分けましょう!」
「……いや、ワシは辞退させてもらうぞい。この件に巻き込んでしもうたからな」
ハオウが申し訳なさげに頭をかく。
「そんな! これはあたしが勝手にしたことだからハオウさんは気にしないで。だから、ちゃんと分けるべきよ!」
「いやいや、ワシからの感謝の気持ちとして受け取ってほしいぞい。見ず知らずのワシのために命懸けで戦ってくれたんじゃからな! どうか、頼む!」
「本人がこう言ってんだ。ありがたく貰ったほうがいいんじゃねぇか?」
エルフェリオンがハオウの意思を尊重する。
「……うん、わかった。ありがとうございます」
アルナはハオウに深く頭を下げて謝意を表す。
「なんにせよ、ここにはもう用はねぇだろ。さっさと出ようぜ」
「そうね。行きましょう」
エルフェリオンの言葉に同意し、一行はゴブリンの巣窟だった場所を後にするのだった。
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