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第8章 龍滅の戦神①
8―10 冤罪
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「つまり、S級冒険者のルガーダとレフィンがギゼム様のお屋敷に押し込み、門番と執事、それから二人のメイドを殺害した挙げ句に逃走した……そういうことですな?」
ギゼムに呼ばれ、部下を率いて馳せ参じたベルストライン警備隊の隊長バルディンは、リビングの高級ソファに腰を下ろして足を組み、ワインを口にしている屋敷の主に確認する。
「あぁ、そうだよ。で、この僕がその賊のひとりルガーダを始末したというわけさ。理解したかい?」
ギゼムが得意げに説明するもバルディンは沈黙している。
「何か疑問でもあるのかね?」
「いえ、その……我々としても調査をしてからでなければ結論を出すわけにはいかず……」
バルディンが言いにくそうに言葉を濁す。
「ほぉ? それじゃあ、この僕の証言を信じられないと言うのかね?」
ギゼムが不快感を顔面に張り付ける。
「い、いえ! 決してそのようなことはございません!!」
バルディンは慌てた様子でギゼムの機嫌を取り繕う。
「僕は大切な人を無残にも殺害されて心を痛めているんだ。少しは配慮してもらいたいものだね」
バルディンは、ギゼムに睨まれては押し黙るほかなかった。
「わかったら、さっさと引き上げるんだ。……そうそう、ルガーダの遺体は暫く見せしめとして、さらし者にしようじゃないか。もちろん、異論はないよね?」
「……はっ、それでは早速手配いたします」
「あぁ、宜しく頼むよ」
ベルストラインの有力者であるギゼムに逆らえるはずもなく、バルディンは承諾し、一礼してからリビングを退出する。
(S級冒険者レフィン、ねぇ。取り逃がしてしまったが、これはこれで面白いじゃないか。彼はこのまま諦めるようなことはしないだろう。だからこそ、じっくりと追い詰めて絶望感を与える楽しさを長く味わえるというものだ……)
「クク……ククククク……アーハッハッハッハッハ!」
ギゼムの高笑いがリビングに響き渡った。
ギゼムに呼ばれ、部下を率いて馳せ参じたベルストライン警備隊の隊長バルディンは、リビングの高級ソファに腰を下ろして足を組み、ワインを口にしている屋敷の主に確認する。
「あぁ、そうだよ。で、この僕がその賊のひとりルガーダを始末したというわけさ。理解したかい?」
ギゼムが得意げに説明するもバルディンは沈黙している。
「何か疑問でもあるのかね?」
「いえ、その……我々としても調査をしてからでなければ結論を出すわけにはいかず……」
バルディンが言いにくそうに言葉を濁す。
「ほぉ? それじゃあ、この僕の証言を信じられないと言うのかね?」
ギゼムが不快感を顔面に張り付ける。
「い、いえ! 決してそのようなことはございません!!」
バルディンは慌てた様子でギゼムの機嫌を取り繕う。
「僕は大切な人を無残にも殺害されて心を痛めているんだ。少しは配慮してもらいたいものだね」
バルディンは、ギゼムに睨まれては押し黙るほかなかった。
「わかったら、さっさと引き上げるんだ。……そうそう、ルガーダの遺体は暫く見せしめとして、さらし者にしようじゃないか。もちろん、異論はないよね?」
「……はっ、それでは早速手配いたします」
「あぁ、宜しく頼むよ」
ベルストラインの有力者であるギゼムに逆らえるはずもなく、バルディンは承諾し、一礼してからリビングを退出する。
(S級冒険者レフィン、ねぇ。取り逃がしてしまったが、これはこれで面白いじゃないか。彼はこのまま諦めるようなことはしないだろう。だからこそ、じっくりと追い詰めて絶望感を与える楽しさを長く味わえるというものだ……)
「クク……ククククク……アーハッハッハッハッハ!」
ギゼムの高笑いがリビングに響き渡った。
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