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第9章 森林モンスター合同討伐依頼
9―4 討伐開始
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アルナは、パチパチと爆ぜる焚き火の炎を緊張した面持ちで眺めている。
「眠れないのかしら?」
不意に声をかけられて振り向いた先には、毛布を持ったネティエの姿があった。
「はい……」
「討伐依頼は初めて?」
「これだけ大規模なのは初めてです。それに、あたしたちが失敗しちゃうと大規模侵攻が発生してしまうかもって考えると、すごく不安になってしまって……」
「気持ちはわかるわよ。けど、失敗しないためにも休める時はしっかり休んでおくべきよ。たとえ眠れなくても横になっておいたほうがいいわ。見張りはギルドから派遣されたサポーターがしてくれてるんだしね」
ネティエは、俯くアルナにアドバイスして毛布を手渡す。
「それじゃ、おやすみなさい」
「えぇ、おやすみ」
アルナは地面に横になって毛布に包まって瞼を閉じる。ほどなく睡魔がやってきて、アルナを浅い眠りへと誘った。
◎★☆◎
翌日の早朝。アルナが仮眠から目覚めたころにはネティエは既に起床しており、サポーターとなにやら話していた。
「ん? あぁ、起きたのね」
アルナが目覚めたことに気付いたネティエが笑顔を見せる。
「おはようございます」
「おはよう。ちょうど朝食の準備が整ったところよ。ほかの冒険者を起こして軽く食事にしましょう。そのあとは森へ移動することになるわね。悪いんだけど、まだ寝てる冒険者を起こしてきてくれる?」
「わかりました」
ネティエからの指示に従って、アルナは行動する。それを見送ったネティエはサポーターとこの後の段取りの打ち合わせを再開した。
◎★☆◎
馬車は冒険者たちの拠点となるべく森から少し離れた地点に陣取る。一方、朝食を済ませた冒険者たちは数名が馬車の護衛を担い、残りは森へと足を踏み入れた。
「エア・ガトリング!」
森の木々の間を縫うように滑空し、体当たりしてくる蝿型モンスターのバレットフライの群れを、アルナが連射した無数の空気弾が撃墜する。それを見て、ネティエがヒューと口笛を鳴らす。
「やるわね、いい腕よ。わたくしも負けてられないわ」
満足げに笑みながら、ネティエは別方向から襲ってきた数匹のバレットフライを鞭で撃退する。
「はぁ!」
「でやぁ!」
「うりゃぁ!」
ほかの冒険者たちもそれぞれ周りの敵を撃破し、負傷者は出ているもののモンスターの数はみるみる減っていく。
(いい感じ。このまま順調に進めばいいのだけど、最後まで油断は禁物ね)
「負傷者は無理せず後方で治療を受けてちょうだい。まだ余力のある人は後方が回復作業する間の護衛をお願い!」
ネティエは、心の中で一抹の不安を抱えながらも指示を飛ばす。その間も鞭を揮い続け現れる敵を屠っていく。
「あれは……みんな、気をつけて! スリープバタフライよ! 近付かれると強烈な眠気を誘う鱗粉をかけられるわよ!!」
森林の奥からやってきた薄緑色の蝶のモンスターをいち早く発見したネティエが注意を促す。
「だったら、これならどう!? バーニング・ガトリング!!」
アルナは無数の火炎弾を発射する。その全てがスリープバタフライを焼き尽くす。
「すごいわね。この距離から全弾を命中させるなんて……」
ネティエは想像以上のアルナの実力に驚嘆する。だが、それは頼もしい存在であった。
ドゴォォォォォンッ
突然のことだった。轟音とともに複数人の冒険者が悲鳴をあげて宙を舞う。
何事かと身構えたネティエとアルナの瞳に、ドス黒い体色をした巨躯に、鋭い牙と角、赤眼を持つモンスターが映し出された。手には巨大な金棒が握られている。
「……あれは、オーガ!」
ネティエが緊張した声音を発した。
「眠れないのかしら?」
不意に声をかけられて振り向いた先には、毛布を持ったネティエの姿があった。
「はい……」
「討伐依頼は初めて?」
「これだけ大規模なのは初めてです。それに、あたしたちが失敗しちゃうと大規模侵攻が発生してしまうかもって考えると、すごく不安になってしまって……」
「気持ちはわかるわよ。けど、失敗しないためにも休める時はしっかり休んでおくべきよ。たとえ眠れなくても横になっておいたほうがいいわ。見張りはギルドから派遣されたサポーターがしてくれてるんだしね」
ネティエは、俯くアルナにアドバイスして毛布を手渡す。
「それじゃ、おやすみなさい」
「えぇ、おやすみ」
アルナは地面に横になって毛布に包まって瞼を閉じる。ほどなく睡魔がやってきて、アルナを浅い眠りへと誘った。
◎★☆◎
翌日の早朝。アルナが仮眠から目覚めたころにはネティエは既に起床しており、サポーターとなにやら話していた。
「ん? あぁ、起きたのね」
アルナが目覚めたことに気付いたネティエが笑顔を見せる。
「おはようございます」
「おはよう。ちょうど朝食の準備が整ったところよ。ほかの冒険者を起こして軽く食事にしましょう。そのあとは森へ移動することになるわね。悪いんだけど、まだ寝てる冒険者を起こしてきてくれる?」
「わかりました」
ネティエからの指示に従って、アルナは行動する。それを見送ったネティエはサポーターとこの後の段取りの打ち合わせを再開した。
◎★☆◎
馬車は冒険者たちの拠点となるべく森から少し離れた地点に陣取る。一方、朝食を済ませた冒険者たちは数名が馬車の護衛を担い、残りは森へと足を踏み入れた。
「エア・ガトリング!」
森の木々の間を縫うように滑空し、体当たりしてくる蝿型モンスターのバレットフライの群れを、アルナが連射した無数の空気弾が撃墜する。それを見て、ネティエがヒューと口笛を鳴らす。
「やるわね、いい腕よ。わたくしも負けてられないわ」
満足げに笑みながら、ネティエは別方向から襲ってきた数匹のバレットフライを鞭で撃退する。
「はぁ!」
「でやぁ!」
「うりゃぁ!」
ほかの冒険者たちもそれぞれ周りの敵を撃破し、負傷者は出ているもののモンスターの数はみるみる減っていく。
(いい感じ。このまま順調に進めばいいのだけど、最後まで油断は禁物ね)
「負傷者は無理せず後方で治療を受けてちょうだい。まだ余力のある人は後方が回復作業する間の護衛をお願い!」
ネティエは、心の中で一抹の不安を抱えながらも指示を飛ばす。その間も鞭を揮い続け現れる敵を屠っていく。
「あれは……みんな、気をつけて! スリープバタフライよ! 近付かれると強烈な眠気を誘う鱗粉をかけられるわよ!!」
森林の奥からやってきた薄緑色の蝶のモンスターをいち早く発見したネティエが注意を促す。
「だったら、これならどう!? バーニング・ガトリング!!」
アルナは無数の火炎弾を発射する。その全てがスリープバタフライを焼き尽くす。
「すごいわね。この距離から全弾を命中させるなんて……」
ネティエは想像以上のアルナの実力に驚嘆する。だが、それは頼もしい存在であった。
ドゴォォォォォンッ
突然のことだった。轟音とともに複数人の冒険者が悲鳴をあげて宙を舞う。
何事かと身構えたネティエとアルナの瞳に、ドス黒い体色をした巨躯に、鋭い牙と角、赤眼を持つモンスターが映し出された。手には巨大な金棒が握られている。
「……あれは、オーガ!」
ネティエが緊張した声音を発した。
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