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第9章 森林モンスター合同討伐依頼
9―6 森林モンスター討伐①
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「ゲギャッ」
ネティエの鞭で打たれたゴブリンが短い悲鳴をあげて霧消する。
「これで終わりかしらね」
ネティエは周辺を見回す。ウォリアー級オーガの出現により死傷者の数は大幅に増加した。だが、それでも想定内である。
「魔石を回収したらすぐに馬車まで退避しましょう。まだ安全が確認されたわけじゃないからくれぐれも油断しないようにね!」
冒険者たちに指示を出し、自ら率先して地面に散らばった魔石の回収を始めるネティエ。アルナもそれに倣う。
◎★☆◎
ひとまず馬車へと引き返した冒険者たちは地面に座り込んで休息をとっている。
「あの、すみません。ネティエさん、少しお話ししたいことが……」
冒険者ギルドから派遣されたサポーターと話し合っているネティエの元にアルナがやってくる。
「なにかしら?」
サポーターとの話し合いを中断し、ネティエはアルナの言葉に耳を傾ける姿勢をみせる。
「もしかしてなんですが、あのオーガは何者かによって動かされていたんじゃないかと思うんですが……」
「つまり、今回の件は何者かの手によるものだと思うのね?」
「はい」
「その根拠を聞かせてもらってもいいかしら?」
アルナの青い瞳をジッと見つめ、ネティエが問う。
「森林で遭遇したオーガは、冒険者が本当に来るかどうか半信半疑だったような事を口走ってましたよね? それって、つまりは入れ知恵をした何者かがいるってことだと思うんです」
アルナの意見を聞いたネティエがフッと小さく息を漏らす。
「そうね。わたくしも同じ意見よ。実は、その事についてサポーターの皆さんと話し合っていたの。ただ、冒険者たちが疲労している今、下手に情報を伝えてしまうと動揺させてしまうかもしれない」
そこまで言って、少しの間をとったネティエは「それに」と続ける。
「想定内の被害とはいえ、残存戦力を考えると、正体不明の敵がいる可能性が高い所に潜入するには少し不安があるのよね……」
困ったように話すネティエ。アルナは少し考えてから再び口を開いた。
「よかったら、森林の奥への調査をあたしに任せてもらえませんか? あたしなら体力も魔力もまだ余裕があるし、ひとりなら敵に発見されるリスクも少ないはずです」
単独での調査を名乗り出たアルナに対して、ネティエは首を横に振る。
「それはダメよ。あなた、あの森林に入るのは今日が初めてだったんでしょ? それに、日も傾いてるわ。いくらあなたでも危険過ぎる。今日のところはここで体を休めて明日にでも調査に向かいましょう。いいわね?」
「……わかりました……」
アルナは提案をネティエにあっさりと却下されてしまう。ネティエは今回の依頼に参戦した冒険者たちのなかで唯一のB級であり、リーダー的な役割を担っている。その彼女の言葉には説得力が宿っている。であるならば、アルナはおとなしく言う事をきくほかなかった。
ネティエの鞭で打たれたゴブリンが短い悲鳴をあげて霧消する。
「これで終わりかしらね」
ネティエは周辺を見回す。ウォリアー級オーガの出現により死傷者の数は大幅に増加した。だが、それでも想定内である。
「魔石を回収したらすぐに馬車まで退避しましょう。まだ安全が確認されたわけじゃないからくれぐれも油断しないようにね!」
冒険者たちに指示を出し、自ら率先して地面に散らばった魔石の回収を始めるネティエ。アルナもそれに倣う。
◎★☆◎
ひとまず馬車へと引き返した冒険者たちは地面に座り込んで休息をとっている。
「あの、すみません。ネティエさん、少しお話ししたいことが……」
冒険者ギルドから派遣されたサポーターと話し合っているネティエの元にアルナがやってくる。
「なにかしら?」
サポーターとの話し合いを中断し、ネティエはアルナの言葉に耳を傾ける姿勢をみせる。
「もしかしてなんですが、あのオーガは何者かによって動かされていたんじゃないかと思うんですが……」
「つまり、今回の件は何者かの手によるものだと思うのね?」
「はい」
「その根拠を聞かせてもらってもいいかしら?」
アルナの青い瞳をジッと見つめ、ネティエが問う。
「森林で遭遇したオーガは、冒険者が本当に来るかどうか半信半疑だったような事を口走ってましたよね? それって、つまりは入れ知恵をした何者かがいるってことだと思うんです」
アルナの意見を聞いたネティエがフッと小さく息を漏らす。
「そうね。わたくしも同じ意見よ。実は、その事についてサポーターの皆さんと話し合っていたの。ただ、冒険者たちが疲労している今、下手に情報を伝えてしまうと動揺させてしまうかもしれない」
そこまで言って、少しの間をとったネティエは「それに」と続ける。
「想定内の被害とはいえ、残存戦力を考えると、正体不明の敵がいる可能性が高い所に潜入するには少し不安があるのよね……」
困ったように話すネティエ。アルナは少し考えてから再び口を開いた。
「よかったら、森林の奥への調査をあたしに任せてもらえませんか? あたしなら体力も魔力もまだ余裕があるし、ひとりなら敵に発見されるリスクも少ないはずです」
単独での調査を名乗り出たアルナに対して、ネティエは首を横に振る。
「それはダメよ。あなた、あの森林に入るのは今日が初めてだったんでしょ? それに、日も傾いてるわ。いくらあなたでも危険過ぎる。今日のところはここで体を休めて明日にでも調査に向かいましょう。いいわね?」
「……わかりました……」
アルナは提案をネティエにあっさりと却下されてしまう。ネティエは今回の依頼に参戦した冒険者たちのなかで唯一のB級であり、リーダー的な役割を担っている。その彼女の言葉には説得力が宿っている。であるならば、アルナはおとなしく言う事をきくほかなかった。
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