145 / 224
第10章 元処刑場の戦い
10―1 ウォリアー級スケルトン討伐
しおりを挟む
数日後、ギルドから冒険パーティ放浪者が正式にB級への昇級が決まったと伝えられたエルフェリオンとアルナは、より高難度の依頼を受けられるようになった。しかし、個人ランクは依然C級である。
「ねぇ、討伐依頼を受ける時は二人で行動するようにしない?」
冒険者ギルドに向かう途中。アルナがエルフェリオンに提案する。
「あん? べつにかまわねぇが不安なのか?」
「違うわよ、バカ」
アルナが即座に否定する。
「あたしたちの目的は、龍滅の戦神を倒すことなのよ。それなら、放浪者としての連携も強化しておくべきよ」
「なるほど。俺に異論はねぇよ」
エルフェリオンが承諾したところで、行く手に冒険者ギルドが見えてきた。
◎★☆◎
「エルフェリオン君、アルナ! 放浪者のB級への昇級おめでとう!!」
冒険者ギルドの受付嬢ラフィカが笑顔で明るく声をかける。
「ありがとう、ラフィカ!」
アルナも笑顔を返す。
「おまえら、いつの間に仲良くなったんだ?」
「んー……二人が冒険者ギルドに来て、少ししたら仲良くなったわよ。アルナって、あのジェレドラン魔学院を首席で卒業したんでしょ。それなのに、それを全然鼻にかけなくて親しみやすいのよねぇ」
エルフェリオンに答えたラフィカは、チラリとアルナに視線を流す。
「あたし自身がすごいわけじゃないわよ。師匠が良かっただけだってば。世界最強の大魔術師ヴァーミル先生の自宅に住まわせてもらって、直接指導してもらってたんだもん。それに見合う結果を出せなければ、先生に合わせる顔がないわ」
アルナは懐かしむように微笑む。
「だとしても、おまえが努力して手にした結果だろ。そこは誇ってもいいんじゃねぇのかよ?」
アルナが驚いたようにエルフェリオンを見つめる。
「なんだよ?」
エルフェリオンは、怪訝な表情を浮かべて訊く。
「べつに……あんたって、たま~にいいこと言うわよね」
「あん? たまには余計だろ」
エルフェリオンが反論したところで、ラフィカがパンッと手を叩く。
「はいはい、二人の仲が良いのはわかってるってば。それよりも、ここからはビジネスの話をしましょうね。それで、どんな仕事をお求めかしら?」
受付嬢モードを発動したラフィカが訊く。
「……今回はあたしとエルフェリオンの二人で引き受ける討伐依頼を紹介してほしいの」
アルナが要望を伝えると、ラフィカは「そうねぇ……」と呟き、書類棚から一冊のファイルを抜き取り、パラパラとめくる。そして、ひとつの依頼書で手を止めた。
「これなんてどうかしら?」
ラフィカは依頼書をエルフェリオンとアルナの前に差し出す。
「処刑場のウォリアー級スケルトン討伐ね」
「そ! かつて処刑場として使われていて現在は廃墟の施設があるんだけどさ、そこをウォリアー級スケルトンが占拠しちゃったの。正直なところ、引き受けてくれる冒険者が見つからなくて困ってるのよねぇ……」
依頼書に目を通したアルナにラフィカが愚痴半分の説明をする。
「どうして引き受ける冒険者が見つからないんだ?」
「それは、討伐対象がアンデッドだからでしょうね。スケルトンとかゾンビとか、ほとんどのアンデッドは魔石がないの。リッチなんかの例外はあるけどね」
質問したエルフェリオンに答えたのはアルナだった。
「なるほど。つまり、冒険者としてはあまりおいしくない依頼というわけか」
エルフェリオンの言葉にラフィカが首を縦に動かす。
「そういうこと。だから、成功報酬は高めに設定してあるのよ? それでもなかなかねぇ……」
ラフィカがため息を漏らしつつも期待を込めた視線を放浪者に向ける。
「どうする?」
アルナがエルフェリオンに意見を求める。
「おもしれぇじゃねぇか。俺は引き受けてもかまわねぇぜ。アルナはどうなんだよ?」
「あたしもオッケーよ」
アルナは、問い返してきたエルフェリオンに返答する。
「それじゃ、決まりね。よろしく~!」
ラフィカは嬉々として手続きをするのだった。
「ねぇ、討伐依頼を受ける時は二人で行動するようにしない?」
冒険者ギルドに向かう途中。アルナがエルフェリオンに提案する。
「あん? べつにかまわねぇが不安なのか?」
「違うわよ、バカ」
アルナが即座に否定する。
「あたしたちの目的は、龍滅の戦神を倒すことなのよ。それなら、放浪者としての連携も強化しておくべきよ」
「なるほど。俺に異論はねぇよ」
エルフェリオンが承諾したところで、行く手に冒険者ギルドが見えてきた。
◎★☆◎
「エルフェリオン君、アルナ! 放浪者のB級への昇級おめでとう!!」
冒険者ギルドの受付嬢ラフィカが笑顔で明るく声をかける。
「ありがとう、ラフィカ!」
アルナも笑顔を返す。
「おまえら、いつの間に仲良くなったんだ?」
「んー……二人が冒険者ギルドに来て、少ししたら仲良くなったわよ。アルナって、あのジェレドラン魔学院を首席で卒業したんでしょ。それなのに、それを全然鼻にかけなくて親しみやすいのよねぇ」
エルフェリオンに答えたラフィカは、チラリとアルナに視線を流す。
「あたし自身がすごいわけじゃないわよ。師匠が良かっただけだってば。世界最強の大魔術師ヴァーミル先生の自宅に住まわせてもらって、直接指導してもらってたんだもん。それに見合う結果を出せなければ、先生に合わせる顔がないわ」
アルナは懐かしむように微笑む。
「だとしても、おまえが努力して手にした結果だろ。そこは誇ってもいいんじゃねぇのかよ?」
アルナが驚いたようにエルフェリオンを見つめる。
「なんだよ?」
エルフェリオンは、怪訝な表情を浮かべて訊く。
「べつに……あんたって、たま~にいいこと言うわよね」
「あん? たまには余計だろ」
エルフェリオンが反論したところで、ラフィカがパンッと手を叩く。
「はいはい、二人の仲が良いのはわかってるってば。それよりも、ここからはビジネスの話をしましょうね。それで、どんな仕事をお求めかしら?」
受付嬢モードを発動したラフィカが訊く。
「……今回はあたしとエルフェリオンの二人で引き受ける討伐依頼を紹介してほしいの」
アルナが要望を伝えると、ラフィカは「そうねぇ……」と呟き、書類棚から一冊のファイルを抜き取り、パラパラとめくる。そして、ひとつの依頼書で手を止めた。
「これなんてどうかしら?」
ラフィカは依頼書をエルフェリオンとアルナの前に差し出す。
「処刑場のウォリアー級スケルトン討伐ね」
「そ! かつて処刑場として使われていて現在は廃墟の施設があるんだけどさ、そこをウォリアー級スケルトンが占拠しちゃったの。正直なところ、引き受けてくれる冒険者が見つからなくて困ってるのよねぇ……」
依頼書に目を通したアルナにラフィカが愚痴半分の説明をする。
「どうして引き受ける冒険者が見つからないんだ?」
「それは、討伐対象がアンデッドだからでしょうね。スケルトンとかゾンビとか、ほとんどのアンデッドは魔石がないの。リッチなんかの例外はあるけどね」
質問したエルフェリオンに答えたのはアルナだった。
「なるほど。つまり、冒険者としてはあまりおいしくない依頼というわけか」
エルフェリオンの言葉にラフィカが首を縦に動かす。
「そういうこと。だから、成功報酬は高めに設定してあるのよ? それでもなかなかねぇ……」
ラフィカがため息を漏らしつつも期待を込めた視線を放浪者に向ける。
「どうする?」
アルナがエルフェリオンに意見を求める。
「おもしれぇじゃねぇか。俺は引き受けてもかまわねぇぜ。アルナはどうなんだよ?」
「あたしもオッケーよ」
アルナは、問い返してきたエルフェリオンに返答する。
「それじゃ、決まりね。よろしく~!」
ラフィカは嬉々として手続きをするのだった。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる