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第10章 元処刑場の戦い
10―13 VSマイザム④
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「哀しい……どうして……」
マイザムの赤い瞳からあふれた涙が頬をぬらす。そして、それは霊体から離れた瞬間に消滅するのだった。
「ちっ、今度はゴーストになってまで戦うつもりかよ! 闘気戦術・大飛閃!」
邪龍鎚を邪龍槍へと変形させて闘気をまとわせたエルフェリオンが斬撃波を撃つ。だが、マイザムは垂直に地面へと降り立ち、風のようにエルフェリオンに接近し、強烈な斬撃をくり出す。
ギィィィンッ
マイザムのくり出した斬撃を邪龍槍で受けたエルフェリオンだったが、身体は浮き上がって宙に投げ出される。
(くそ! 霊弾か!?)
マイザムが霊気を集めているのに気付いたエルフェリオンは、空中では回避できないため、黒い魔力を全開にして防御態勢をとる。
「させない! ホーリー・レイ!!」
聖杖をかざしたアルナがマイザムの攻撃を阻止する。
ギンッ
マイザムは両手用大斧で光線を弾くと、標的をエルフェリオンからアルナへと変更して霊弾を放つ。
「あぅっ!!」
霊弾を左肩に受けたアルナは表情をゆがめてよろめく。
「哀しい……どうして、僕なんだ?……」
マイザムは独り言を呟きながらも俊敏な動きでアルナに接近する。マイザムは両手用大斧をアルナの首めがけて躊躇なく揮う。
「ひっ!」
白い魔力をまとったアルナは寸前のところでバックステップで回避する。だが、マイザムはすでに次の攻撃のモーションに入っていた。
(ダメ! 避けきれない!!)
顔面蒼白となったアルナは瞼を固く閉じる。
ブンッ……ガキンッ
着地したエルフェリオンは、間一髪のところでアルナとマイザムの間に割り込む。
「……けっ! ほんとに馬鹿力だよな、てめぇは」
マイザムの両手用大斧の一撃を邪龍槍で受け止めたエルフェリオンだったが、霊気をまとったマイザムの膂力に押されつつあった。
「バインド・チェーン!」
アルナが聖杖を掲げて魔術を発動し、魔力による鎖をゴーストと化したマイザムの全身に巻き付ける。
「いまよ、エルフェリオン!」
「任せろ!」
エルフェリオンは、アルナがつくった好機を逃すまいと邪龍槍に闘気を帯びさせる。
「いくぜ、闘気戦術・斬閃!」
バンッ
邪龍槍の刃がマイザムの首に届く直前だった。急速に膨れ上がったマイザムの霊気による衝撃波により、エルフェリオンやアルナは弾き飛ばされる。バインド・チェーンも粉砕されて消失する。
「僕は、もう……」
マイザムの霊気がさらに爆発的に膨らみ始める。
「うそ、でしょ!?」
アルナは、地下墓地に存在する墓標が浮かび上がる光景を愕然と見つめる。
「誰も殺したくないんだぁ!!!」
マイザムの叫びに呼応するかのように、宙に浮かんだ墓石群がエルフェリオンとアルナに降り注ぐ。
「ったく! やってることと言ってることが矛盾してるだろうが!!」
エルフェリオンは墓石の雨を掻い潜り、マイザムの元へと走り抜ける。
アルナもまた必死に墓石を躱す。一つでも当たれば大ダメージは確実であるため、魔力を練り上げる余裕はなかった。
「らぁ!」
ガキンッ
エルフェリオンが揮った邪龍槍をマイザムは両手用大斧で受け止める。
「今までその大斧で罪人の首を斬ってきたんだろ? それがおまえの苦しみの原因なら、俺たち放浪者が、今度はおまえの首を斬って終らせてやるぜ!」
哀しみを溶かした赤い瞳のゴーストに、エルフェリオンはニヤリと口角を上げた。
マイザムの赤い瞳からあふれた涙が頬をぬらす。そして、それは霊体から離れた瞬間に消滅するのだった。
「ちっ、今度はゴーストになってまで戦うつもりかよ! 闘気戦術・大飛閃!」
邪龍鎚を邪龍槍へと変形させて闘気をまとわせたエルフェリオンが斬撃波を撃つ。だが、マイザムは垂直に地面へと降り立ち、風のようにエルフェリオンに接近し、強烈な斬撃をくり出す。
ギィィィンッ
マイザムのくり出した斬撃を邪龍槍で受けたエルフェリオンだったが、身体は浮き上がって宙に投げ出される。
(くそ! 霊弾か!?)
マイザムが霊気を集めているのに気付いたエルフェリオンは、空中では回避できないため、黒い魔力を全開にして防御態勢をとる。
「させない! ホーリー・レイ!!」
聖杖をかざしたアルナがマイザムの攻撃を阻止する。
ギンッ
マイザムは両手用大斧で光線を弾くと、標的をエルフェリオンからアルナへと変更して霊弾を放つ。
「あぅっ!!」
霊弾を左肩に受けたアルナは表情をゆがめてよろめく。
「哀しい……どうして、僕なんだ?……」
マイザムは独り言を呟きながらも俊敏な動きでアルナに接近する。マイザムは両手用大斧をアルナの首めがけて躊躇なく揮う。
「ひっ!」
白い魔力をまとったアルナは寸前のところでバックステップで回避する。だが、マイザムはすでに次の攻撃のモーションに入っていた。
(ダメ! 避けきれない!!)
顔面蒼白となったアルナは瞼を固く閉じる。
ブンッ……ガキンッ
着地したエルフェリオンは、間一髪のところでアルナとマイザムの間に割り込む。
「……けっ! ほんとに馬鹿力だよな、てめぇは」
マイザムの両手用大斧の一撃を邪龍槍で受け止めたエルフェリオンだったが、霊気をまとったマイザムの膂力に押されつつあった。
「バインド・チェーン!」
アルナが聖杖を掲げて魔術を発動し、魔力による鎖をゴーストと化したマイザムの全身に巻き付ける。
「いまよ、エルフェリオン!」
「任せろ!」
エルフェリオンは、アルナがつくった好機を逃すまいと邪龍槍に闘気を帯びさせる。
「いくぜ、闘気戦術・斬閃!」
バンッ
邪龍槍の刃がマイザムの首に届く直前だった。急速に膨れ上がったマイザムの霊気による衝撃波により、エルフェリオンやアルナは弾き飛ばされる。バインド・チェーンも粉砕されて消失する。
「僕は、もう……」
マイザムの霊気がさらに爆発的に膨らみ始める。
「うそ、でしょ!?」
アルナは、地下墓地に存在する墓標が浮かび上がる光景を愕然と見つめる。
「誰も殺したくないんだぁ!!!」
マイザムの叫びに呼応するかのように、宙に浮かんだ墓石群がエルフェリオンとアルナに降り注ぐ。
「ったく! やってることと言ってることが矛盾してるだろうが!!」
エルフェリオンは墓石の雨を掻い潜り、マイザムの元へと走り抜ける。
アルナもまた必死に墓石を躱す。一つでも当たれば大ダメージは確実であるため、魔力を練り上げる余裕はなかった。
「らぁ!」
ガキンッ
エルフェリオンが揮った邪龍槍をマイザムは両手用大斧で受け止める。
「今までその大斧で罪人の首を斬ってきたんだろ? それがおまえの苦しみの原因なら、俺たち放浪者が、今度はおまえの首を斬って終らせてやるぜ!」
哀しみを溶かした赤い瞳のゴーストに、エルフェリオンはニヤリと口角を上げた。
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