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第11章 レッドレオとブルータイガー
11―7 地下街
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「ここから地下街に降りることができます」
地下へと続く階段へとエルフェリオンとアルナを案内してきたラナリが言う。
「うっし、さっさと行ってテシアを連れ戻してこようぜ」
エルフェリオンは躊躇なく階段を降りていく。
◎★☆◎
地下は通路がいくつも分岐しているため、土地勘のない者は迷ってしまいそうな構造であった。天井には自ら発光する魔輝石が設置されており、充分とは言えないまでも最低限の視界を確保できている。
足音を反響させながら地下通路を進むエルフェリオンたちはラナリの道案内のおかげで、ブルータイガーのアジトへとまっすぐ進んでいく。
エルフェリオンが不意に立ち止まり、左手を開く。
「こい、レヴィジアル」
邪龍剣を召喚する行動にラナリに緊張がはしった。
「わかってるでしょうけど、必要以上に殺しちゃダメだからね!?」
通路の先に身を潜めている何者かの存在に気づいたアルナが念押しする。だが、エルフェリオンは何も答えない。
『まったく……相変わらずの甘い考えじゃのぉ、この小娘は』
エルフェリオンの内ではレヴィジアルが嘆息を漏らす。それは、エルフェリオンも同感であった。
(向こうから仕掛けるつもりはねぇ、か。どのみち、テシアを連れ戻すには進むしかねぇ)
エルフェリオンは魔力による索敵を行いつつ、歩を進める。
ヒュンッ……キンッ
通路の先から放たれた矢をエルフェリオンは苦も無く払い落とす。
「バーニング・ショット!」
聖杖をかざしたアルナが通路の先へと火炎弾を撃つ。
「ぎゃあ!」
背後から撃たれ、追い越していく火炎弾を見送ったエルフェリオンの耳に、男の悲鳴が聞こえる。
ダダダダダダダ
今度は複数人が駆け寄ってくる足音がして、エルフェリオンは口角を吊り上げる。
ダッ
「死ね!」
やがて姿をあらわした男たちがそれぞれの武器を手にエルフェリオンに飛びかかる。
「闘気戦術・飛閃!」
エルフェリオンは、邪龍剣を大きく振り抜いて闘気を乗せた斬撃波を放つ。
「ぐぁぁ!」
斬撃波をくらった数人の男たちは吹っ飛んで通路の壁にぶつかる。
「くらえ!」
空中から襲いかかってきた敵を撃退したエルフェリオンに、地面を駆けてきた少年が短剣を振りかざす。
「危ねぇ危ねぇ」
寸前のところで飛び退いたエルフェリオンが少年に向かって邪龍剣を構える。
「ラクター君!?」
見知った少年に、エルフェリオンの背後からラナリが声をあげる。
「……ありゃ? ラナリ姉さんじゃねぇっすか」
ラナリの姿を捉えた少年は臨戦態勢を解く。
「オイラはてっきりレッドレオのやつらかと思ったっすよ。テシアちゃんに会いに来たんすね?」
ラクターに訊かれ、ラナリは首肯する。
「お願い。テシアの所へ案内して!」
ラナリはラクターの手を取って願う。
「……しょうがないっすね。ついてきてもらうっす。ひとまずルーニアンさんの所へ案内するっす」
ラクターは困ったように眉を下げ、一行を導いて通路を歩きだした。
地下へと続く階段へとエルフェリオンとアルナを案内してきたラナリが言う。
「うっし、さっさと行ってテシアを連れ戻してこようぜ」
エルフェリオンは躊躇なく階段を降りていく。
◎★☆◎
地下は通路がいくつも分岐しているため、土地勘のない者は迷ってしまいそうな構造であった。天井には自ら発光する魔輝石が設置されており、充分とは言えないまでも最低限の視界を確保できている。
足音を反響させながら地下通路を進むエルフェリオンたちはラナリの道案内のおかげで、ブルータイガーのアジトへとまっすぐ進んでいく。
エルフェリオンが不意に立ち止まり、左手を開く。
「こい、レヴィジアル」
邪龍剣を召喚する行動にラナリに緊張がはしった。
「わかってるでしょうけど、必要以上に殺しちゃダメだからね!?」
通路の先に身を潜めている何者かの存在に気づいたアルナが念押しする。だが、エルフェリオンは何も答えない。
『まったく……相変わらずの甘い考えじゃのぉ、この小娘は』
エルフェリオンの内ではレヴィジアルが嘆息を漏らす。それは、エルフェリオンも同感であった。
(向こうから仕掛けるつもりはねぇ、か。どのみち、テシアを連れ戻すには進むしかねぇ)
エルフェリオンは魔力による索敵を行いつつ、歩を進める。
ヒュンッ……キンッ
通路の先から放たれた矢をエルフェリオンは苦も無く払い落とす。
「バーニング・ショット!」
聖杖をかざしたアルナが通路の先へと火炎弾を撃つ。
「ぎゃあ!」
背後から撃たれ、追い越していく火炎弾を見送ったエルフェリオンの耳に、男の悲鳴が聞こえる。
ダダダダダダダ
今度は複数人が駆け寄ってくる足音がして、エルフェリオンは口角を吊り上げる。
ダッ
「死ね!」
やがて姿をあらわした男たちがそれぞれの武器を手にエルフェリオンに飛びかかる。
「闘気戦術・飛閃!」
エルフェリオンは、邪龍剣を大きく振り抜いて闘気を乗せた斬撃波を放つ。
「ぐぁぁ!」
斬撃波をくらった数人の男たちは吹っ飛んで通路の壁にぶつかる。
「くらえ!」
空中から襲いかかってきた敵を撃退したエルフェリオンに、地面を駆けてきた少年が短剣を振りかざす。
「危ねぇ危ねぇ」
寸前のところで飛び退いたエルフェリオンが少年に向かって邪龍剣を構える。
「ラクター君!?」
見知った少年に、エルフェリオンの背後からラナリが声をあげる。
「……ありゃ? ラナリ姉さんじゃねぇっすか」
ラナリの姿を捉えた少年は臨戦態勢を解く。
「オイラはてっきりレッドレオのやつらかと思ったっすよ。テシアちゃんに会いに来たんすね?」
ラクターに訊かれ、ラナリは首肯する。
「お願い。テシアの所へ案内して!」
ラナリはラクターの手を取って願う。
「……しょうがないっすね。ついてきてもらうっす。ひとまずルーニアンさんの所へ案内するっす」
ラクターは困ったように眉を下げ、一行を導いて通路を歩きだした。
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