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1章 運命が動く建国祭
12話 デルモス山の悲劇②
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タハルジャが放った炎の弾丸と、3人の部下魔術師が放った炎の矢がウォレンに命中する。完全に不意打ちされたウォレンには防御する間もなかった。
「これは…どういうつもりだ、タハルジャ!?」
ウォレンはクレイモアを構える。
「さすがはラミーネル王国近衛騎士団長殿だな。あれほどの攻撃を不意打ちでくらっても死なないか」
「そんなことを訊いていない。俺の質問に答えろ!」
クレイモアの切先をタハルジャに向け、明確な回答を迫る。
「わからんか? この場で貴様を殺そうとしたのだ! 殺れ!!」
タハルジャの言葉を合図に部下魔術師たちが魔力を練る。
「やむを得ん!」
ウォレンは取り囲んでいる魔術師の中から一人を絞り、床を蹴る。
「ひっ!」
ターゲットとなった部下魔術師の顔がひきつる。だが、それも一瞬のことだ。ウォレンのクレイモアが胴体を横一文字に両断した。
「雷属性上級魔術」
タハルジャが放った雷の弾丸はウォレンの脇をすり抜けていく。
(かわしただと!?)
予想以上のウォレンの反応速度に驚く。
「うぉぉぉぉ!」
ウォレンが吼えた。その声に次の攻撃魔術のための魔力を練っていた部下魔術師たちが怯む。その僅かな時間にウォレンは再び地面を蹴って、二人の部下魔術師を切り捨てる。
(バカな!? こいつ、化け物か!?)
幼少期からの付き合いではあるが、ウォレンの実力を読み違えていたことに気付く。
「タハルジャ、あとはおまえだけだ」
クレイモアに付着した血を払い散らし、鋭い視線をタハルジャに向ける。
「なぜ、このような暴挙にでた?」
ウォレンは訊く。
「ク……クククク……。なぜだと? 貴様はまるで気付いていないのだな! わたしは昔から貴様が憎かったのだよ!!」
「憎かっただと? 俺が何をしたというのだ?」
狂気の表情で語るタハルジャに対してウォレンは冷静さを失わない。
「何をした? いいだろう、教えてやろう! 元々貴族だったわたしに対して、貴様はただの孤児だ! そんなやつが栄えある近衛騎士団の団長としてジルバーナ様のお側に仕えているなどあってはならぬのだ!!」
「……なるほど。だが、それは他でもないジルバーナ様御自身がお決めになったことだ」
「ああ、そうだとも。しかし、それは運がよかっただけに過ぎん! たまたま、魔族の侵攻や他国との交戦があり、貴様は運良く武功を立てだけだ!!」
「そうだな。出世の機会に恵まれていた俺は幸運だったのかもしれんが、そのことで恨まれる筋合いはないぞ?」
「それだけではない! 貴様はわたしと同じく貴族だったラーナを妻にしてしまった!! 彼女はわたしと結ばれるべきだったのだ!!」
「タハルジャ……まさか…」
「黙れ!」
タハルジャはウォレンの言葉を遮る。
「それでも、わたしは貴様を許そうとした。だがな、憎むべきは貴様だけではなかったのだ!!」
「アルフォスか?」
「そうだ! あの小僧、よりによってメルティナ王女をたぶらかした! そのようなことは断じて認めるわけにはいかない!! 姫様にはルットこそ相応しいのだ!」
「タハルジャよ、おまえの行動は烏滸の沙汰だな」
静かに言い、身構えたウォレンは親友タハルジャを睨めつけた。
「よかろう。今こそ貴様に引導を渡してくれよう!」
タハルジャもまた臨戦態勢をとり、殺気を迸らせる。
「これは…どういうつもりだ、タハルジャ!?」
ウォレンはクレイモアを構える。
「さすがはラミーネル王国近衛騎士団長殿だな。あれほどの攻撃を不意打ちでくらっても死なないか」
「そんなことを訊いていない。俺の質問に答えろ!」
クレイモアの切先をタハルジャに向け、明確な回答を迫る。
「わからんか? この場で貴様を殺そうとしたのだ! 殺れ!!」
タハルジャの言葉を合図に部下魔術師たちが魔力を練る。
「やむを得ん!」
ウォレンは取り囲んでいる魔術師の中から一人を絞り、床を蹴る。
「ひっ!」
ターゲットとなった部下魔術師の顔がひきつる。だが、それも一瞬のことだ。ウォレンのクレイモアが胴体を横一文字に両断した。
「雷属性上級魔術」
タハルジャが放った雷の弾丸はウォレンの脇をすり抜けていく。
(かわしただと!?)
予想以上のウォレンの反応速度に驚く。
「うぉぉぉぉ!」
ウォレンが吼えた。その声に次の攻撃魔術のための魔力を練っていた部下魔術師たちが怯む。その僅かな時間にウォレンは再び地面を蹴って、二人の部下魔術師を切り捨てる。
(バカな!? こいつ、化け物か!?)
幼少期からの付き合いではあるが、ウォレンの実力を読み違えていたことに気付く。
「タハルジャ、あとはおまえだけだ」
クレイモアに付着した血を払い散らし、鋭い視線をタハルジャに向ける。
「なぜ、このような暴挙にでた?」
ウォレンは訊く。
「ク……クククク……。なぜだと? 貴様はまるで気付いていないのだな! わたしは昔から貴様が憎かったのだよ!!」
「憎かっただと? 俺が何をしたというのだ?」
狂気の表情で語るタハルジャに対してウォレンは冷静さを失わない。
「何をした? いいだろう、教えてやろう! 元々貴族だったわたしに対して、貴様はただの孤児だ! そんなやつが栄えある近衛騎士団の団長としてジルバーナ様のお側に仕えているなどあってはならぬのだ!!」
「……なるほど。だが、それは他でもないジルバーナ様御自身がお決めになったことだ」
「ああ、そうだとも。しかし、それは運がよかっただけに過ぎん! たまたま、魔族の侵攻や他国との交戦があり、貴様は運良く武功を立てだけだ!!」
「そうだな。出世の機会に恵まれていた俺は幸運だったのかもしれんが、そのことで恨まれる筋合いはないぞ?」
「それだけではない! 貴様はわたしと同じく貴族だったラーナを妻にしてしまった!! 彼女はわたしと結ばれるべきだったのだ!!」
「タハルジャ……まさか…」
「黙れ!」
タハルジャはウォレンの言葉を遮る。
「それでも、わたしは貴様を許そうとした。だがな、憎むべきは貴様だけではなかったのだ!!」
「アルフォスか?」
「そうだ! あの小僧、よりによってメルティナ王女をたぶらかした! そのようなことは断じて認めるわけにはいかない!! 姫様にはルットこそ相応しいのだ!」
「タハルジャよ、おまえの行動は烏滸の沙汰だな」
静かに言い、身構えたウォレンは親友タハルジャを睨めつけた。
「よかろう。今こそ貴様に引導を渡してくれよう!」
タハルジャもまた臨戦態勢をとり、殺気を迸らせる。
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