聖剣と魔剣の二刀流剣士物語【復讐編】

序章 神話

０話 人間と魔族

　神代の昔から人間と魔族は激しい争いを繰り広げてきた。

　勢力が拮抗していた人間と魔族だったが、闇の神が魔族に魔剣カラドボルグを与えたことで戦局は大きく変わる。

　魔族の勇者ディエルは魔剣カラドボルグを携えて奮戦した。ディエルの快進撃を止められる者はなく、人間たちは窮地に追い込まれてしまう。

　この事態に光の女神が動く。ディエルと魔剣カラドボルグに対抗するため、人間の勇者フリットに聖剣エクスカリバーを授けたのである。

　フリットは聖剣エクスカリバーを用いて各地を転戦し、連戦連勝の戦果を挙げ、圧倒的な劣勢に陥っていた戦局を巻き返すことに成功した。

　こうして、再び互角の勢力となった戦争は激化の一途をたどることとなったが、遂に決戦の刻がおとずれた。

　フリットとディエル、人間と魔族の勇者の一騎討ちは苛烈を極めた。双方が死力を尽くして戦った結果、人間の勇者フリットが勝利し、ディエルと魔剣カラドボルグは行方不明となり、その後の歴史に現れることはなかった。

　ディエルが敗北したことで、魔族は地上から追いやられ、やがて、その姿を目にすることもなくなった。

　光の女神は魔族に加担した闇の神を封印したのち何処ともなく去り、二度と人間たちの前に姿を見せることはなかった。

　それからどれほどの年月が流れただろうか……。世界の覇権を手に入れた人間たちは平和な時代を謳歌していた。だが……