聖剣と魔剣の二刀流剣士物語【復讐編】

美山 鳥

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1章 運命が動く建国祭

1話 魔神復活?

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 ラミーネル王国の王都クラッツェルンにそびえる白亜のアルスフェルト城。その謁見の間で国王ジルバーナに跪いているのは近衛騎士団長ウォレンである。

 「ウォレンよ、ここより北のデルモス山に向かってもらえぬか?」

 「はっ。ジルバーナ様のご命令とあらば……。しかし、なぜ、あのような場所に?」

 ウォレンは承諾し、続いて質問をする。

 「それに関してはわたしから説明しよう」

 宮廷魔術師タハルジャがジルバーナに代わって説明役を買って出た。

 「あの山には魔神が封印されている…という噂を耳にしたことはないか?」

 「ふむ…。たしかにそんな噂があるのは知っている。しかし、あれは根拠のない単なる噂なのではないのか?」

 ウォレンにとってタハルジャは幼少期からの親友だ。二人は互いに良きライバルとして競い合うように精進し、今では、ラミーネル王国の近衛騎士団長ウォレンと宮廷魔術師タハルジャは、世界でもその名が知れ渡る人物であった。

 「わたしも最近まではそのように思っておったのだがな……」

 「何かあったのか?」

 表情を曇らせるタハルジャにウォレンが訊く。

 「どうにも、単なる噂と断ずるわけにもいかんようなのだ」

 「というと?」

 「……確証はないのだが、デルモス山には封印の魔法陣が隠されているらしいのだよ」

 暫し間をおいてからタハルジャが告げた事実にウォレンは目を見開く。

 「まさか、その魔法陣に魔神が!?」

 「その可能性がある、というだけなのだが……」

 謁見の間に重苦しい空気が漂う。

 「事は世界の運命さえも左右しかねないものだ。調査にあたるのは相応の人物でなければならぬ。そういうわけなのだ。行ってはもらえぬか?」

 ジルバーナは改めて問う。

 「承知いたしました。では、早速にも準備にとりかかり、デルモス山に向かうとしましょう」

 「調査にはわたしも同行しよう。ほかには、優秀な魔術師も2、3人ほど選んでおく」

 立ち上がり、踵を返すウォレンにタハルジャが声をかける。

 「では、俺の騎士団からも精鋭を…」

 「いや、騎士団は動かさないほうがいい。万が一の時はこのクラッツェルンを守ってもらわねばならない。仮に、封印の魔法陣が解けかけていたとして、再度封印を施すにしても連れていくのは魔術師のほうが都合がいいのではないか?」

 タハルジャはウォレンの言葉を遮る。

 「…では、よろしく頼む」

 「了解だ。そういうことですので、我々はこれにて失礼いたします」

 タハルジャとウォレンは国王ジルバーナに一礼する。

 「うむ。二人とも気をつけてな!」

 「はっ!」

 ウォレンとタハルジャは声を合わせ、謁見の間をあとにした。
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