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2章 魔剣カラドボルグ
24話 グリード村へ
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「グリード村の場所が特定できたのか?」
自室でくつろいでいたリュカリオンは、訪問してきたアルフォスとセラを見る。
「検討はついた」
「ほぉ?」
リュカリオンはアルフォスの言葉を待つ。
「その前に確認しておきたい。魔剣カラドボルグを創ったのはあんたに間違いないよな?」
「ああ。余に間違いない。そもそもあれほどの業物を創れるのは余くらいであろう。そして、あの魔剣をどうこうできるのは、あの女本人、もしくは…」
「つまり、光の女神か聖剣エクスカリバーしか魔剣カラドボルグを傷つけることはできないと……」
「そういうことだ。それがどうかしたのか?」
「……グリード村は極めて特殊な空間に存在するんじゃないのか?」
アルフォスは自ら導きだした答えをリュカリオンにぶつけてみる。
「特殊な空間、か……。なぜ、そう思ったのか聞きたいものだな」
リュカリオンは表情を全く変えない。だが、アルフォスは出した答えに自信がある。
「ディエルはフリットとの決戦時にカラドボルグを所持していなかったそうだな。ならば、カラドボルグはどこにあったのか……。それはここ…つまりあんたが修復中だったんだ」
「なるほど。しかし、あの時はこの城も光の女神が率いる軍勢に攻められておったのだぞ? 魔剣の修復などより迎撃にあたるべきなのではないか?」
「たしかにそうだ。その理由はあんた自身がいちばん知っているんじゃないか?」
「…続きを聞かせてもらおうか」
リュカリオンはアルフォスに推理の先を促す。
「当時、魔剣カラドボルグがここにあったとする。しかし、光の女神はそれを見つけられていない。光の女神の目的はあんたを倒すことだけじゃなかった。カラドボルグの破壊も目的だったんだろ?」
「たしかに、あの女の目的はそうだった。事実、余はデルモス山に封印されてしまったのだしな」
「女神が魔剣の破壊に成功したという伝説は人間サイドにも魔族サイドにも残されていない。しかし、包囲されていたこの城から女神に気付かれることなく魔剣を持ち出すのは容易じゃない」
「ふむふむ、なるほど」
「だったら、魔剣カラドボルグはどこにあるのか。答えは、あんたが造り出した空間に隠されているという可能性が最も高い。どうだ?」
「……まあ、よかろう。とりあえずは及第点といったところか。たしかにグリード村はあの女から魔剣を守るために余が造り出した異空間に存在する。そして、そこにいる守護者も余が創造したものだ。いつかあの女と一戦交える際には魔剣は必須だからな。」
「さすがはアルフォス様ですわね!」
それまで黙って見守っていたセラが声を弾ませる。
「さて、それではどうするかね? すぐにグリード村へ転送してもよいのだが?」
アルフォスとセラは互いに顔を見合わせる。
「今すぐ向かうとしよう」
アルフォスが返答する。
「では、ゆくぞ…」
リュカリオンは片手をかざすと、アルフォスとセラの足元に魔法陣が出現した。
「武運を祈る」
リュカリオンの言葉が終わると同時にアルフォスとセラの姿は消え去った。
自室でくつろいでいたリュカリオンは、訪問してきたアルフォスとセラを見る。
「検討はついた」
「ほぉ?」
リュカリオンはアルフォスの言葉を待つ。
「その前に確認しておきたい。魔剣カラドボルグを創ったのはあんたに間違いないよな?」
「ああ。余に間違いない。そもそもあれほどの業物を創れるのは余くらいであろう。そして、あの魔剣をどうこうできるのは、あの女本人、もしくは…」
「つまり、光の女神か聖剣エクスカリバーしか魔剣カラドボルグを傷つけることはできないと……」
「そういうことだ。それがどうかしたのか?」
「……グリード村は極めて特殊な空間に存在するんじゃないのか?」
アルフォスは自ら導きだした答えをリュカリオンにぶつけてみる。
「特殊な空間、か……。なぜ、そう思ったのか聞きたいものだな」
リュカリオンは表情を全く変えない。だが、アルフォスは出した答えに自信がある。
「ディエルはフリットとの決戦時にカラドボルグを所持していなかったそうだな。ならば、カラドボルグはどこにあったのか……。それはここ…つまりあんたが修復中だったんだ」
「なるほど。しかし、あの時はこの城も光の女神が率いる軍勢に攻められておったのだぞ? 魔剣の修復などより迎撃にあたるべきなのではないか?」
「たしかにそうだ。その理由はあんた自身がいちばん知っているんじゃないか?」
「…続きを聞かせてもらおうか」
リュカリオンはアルフォスに推理の先を促す。
「当時、魔剣カラドボルグがここにあったとする。しかし、光の女神はそれを見つけられていない。光の女神の目的はあんたを倒すことだけじゃなかった。カラドボルグの破壊も目的だったんだろ?」
「たしかに、あの女の目的はそうだった。事実、余はデルモス山に封印されてしまったのだしな」
「女神が魔剣の破壊に成功したという伝説は人間サイドにも魔族サイドにも残されていない。しかし、包囲されていたこの城から女神に気付かれることなく魔剣を持ち出すのは容易じゃない」
「ふむふむ、なるほど」
「だったら、魔剣カラドボルグはどこにあるのか。答えは、あんたが造り出した空間に隠されているという可能性が最も高い。どうだ?」
「……まあ、よかろう。とりあえずは及第点といったところか。たしかにグリード村はあの女から魔剣を守るために余が造り出した異空間に存在する。そして、そこにいる守護者も余が創造したものだ。いつかあの女と一戦交える際には魔剣は必須だからな。」
「さすがはアルフォス様ですわね!」
それまで黙って見守っていたセラが声を弾ませる。
「さて、それではどうするかね? すぐにグリード村へ転送してもよいのだが?」
アルフォスとセラは互いに顔を見合わせる。
「今すぐ向かうとしよう」
アルフォスが返答する。
「では、ゆくぞ…」
リュカリオンは片手をかざすと、アルフォスとセラの足元に魔法陣が出現した。
「武運を祈る」
リュカリオンの言葉が終わると同時にアルフォスとセラの姿は消え去った。
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