聖剣と魔剣の二刀流剣士物語【復讐編】

美山 鳥

文字の大きさ
26 / 75
2章 魔剣カラドボルグ

25話 異空間

しおりを挟む
 「ここが、リュカリオンが造り出した空間?」

 「凄すぎますわ…」

 転送された先の風景にアルフォスとセラが息に飲む。

 頭上の青空には太陽が輝き、陽光が燦々さんさんと降り注ぎ、そよ風が二人の頬を撫で、足元の草を揺らしている。ここが異空間だとは言われなければ気付かないだろう。

 「そうそう。余としたことが言い忘れておったわ…」

 突如、リュカリオンの声が二人の耳に届く。気配は感じるが、その姿を見つけることができない。

 「余は声だけを届けておるゆえ、探しても見つからぬぞ」

 「リュカリオン様、ここは異空間に間違いございませんですわよね?」

 セラが訊く。

 「うむ。そこは間違いなく余が造り出した異空間だが、それがどうした?」

 「なんていうか、俺たちがいる世界と変わりないんだな……」

 アルフォスが呟く。

 「見た目にはな。だが、その空間にある物は魔剣カラドボルグと守護王ガーディアン・ロードを除いた全てが余が魔力によって造り出された存在だ。この2つだけは余の魔力だけで造り出したわけではない。詳しくは秘密としておくがな」

 (これほどの規模の物を創造できてしまうところなんか、さすがは魔神…神と呼ばれるに相応しい魔力だな)

 アルフォスはリュカリオンの偉大さを改めて実感していた。

 「ところで、言い忘れたと仰っておられましたが、どうされましたの?」

 セラが思い出して訊く。

 「ふむ。魔剣を守護しておる守護者ガーディアンどもは闘争本能の塊のようなものでな、創造主である余を相手に本気で殺しにくるような連中だ」

 「それなら聞いた。一国を相手取るより手強いとな」

 「そうなのだが……、連中を創造する際に少しばかり調子にのり過ぎてしまったのだよ」

 「…どういうことですの?」

 不安を抱いたセラが訊ねる。

 「正確にはわからぬが、数が少々多いのだ。まぁ、個々の実力ではおまえたちのほうが遥かに上だがな。ただし、守護王ガーディアン・ロードだけはほかとは別格だ。油断するなよ」

 「守護王ガーディアン・ロードか。了解だ」

 「必ず生きて戻るのだぞ」

 リュカリオンの気配が消える。

 「……では、参りましょうか」

 「ああ」

 アルフォスとセラは異空間内の移動を開始した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...