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3章 聖剣エクスカリバー
41話 クレイモア継承
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「ヒヒヒヒ……。そら! そら! そら!」
教団幹部は、手持ちの武器を失って圧倒的に不利な状況となったウィナーにトマホークで切りかかる。
(調子にのりやがって!)
ウィナーは格闘戦を決意し、前に踏み込むと同時に右フックをはじめとして我流の格闘攻撃を次々に繰り出すが、軽快な動きをみせる教団幹部には当たらない。
「ヒヒヒ!」
相変わらず嫌な笑い声を漏らしながらウィナーの脇腹にトマホークの一撃を入れる。防御膜魔術で護られているとはいえ、ウィナーの脇腹からは血が溢れだす。
「ぐっ…この……」
ウィナーは痛む脇腹を押さえ、教団幹部を睨む。教団幹部はトマホークに付着した血を舐めとる。
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね!!」
教団幹部は狂ったようにトマホークを振りかざす。
(まずいぜ、これは……。こっちは素手なうえに防御膜魔術をかけ続けるのにも限界がある。このままだとジリ貧だ……)
ウィナーは焦燥感を感じていた。しかし、防戦ばかりでは勝てるはずもない。苛烈な攻撃の合間を狙って両手足を使って何度も反撃を試みる。
「ぬぐっ!」
ウィナーの左ストレートが遂に教団幹部をとらえた。そこからウィナーの打撃ラッシュが始まった。
「うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁ!!」
何発かの打撃をくらわせ、ウィナーは教団幹部を力任せに投げ飛ばす。
ベチャッ
教団幹部は正面から壁に激突して地面に倒れ、そのまま動かなくなった。
「あら、もう終わりですの? 案外ヤワなんですのね……」
教団幹部との戦いを終えて、座り込んでいるウィナーの元にアルフォスとセラがやってくる。
「あのなぁ、セラ嬢ちゃん。こっちはほとんど休みなしで戦ってんだぞ……」
「それがどうしましたの? アルフォス様の従者ならばこれくらい当然こなせなければ話になりませんわ」
セラが鬼のような事を言う。
「まぁ、そう言うな。早くウィナーに治癒初級魔術をかけるんだ」
「アルフォス様がそう仰るのならしかたありませんわね。……治癒初級魔術」
セラは納得できないような表情を見せながらもウィナーの傷を癒す。
「かぁぁぁ! 効くぅぅぅっ!! やっぱ、セラ嬢ちゃんに一発ヤってもらうとたまんねぇぜ!」
「わたくしにセクハラ発言とはいい度胸ですわね。……火属性最上級魔術で炭にしてやりますわ」
セラは両手に魔力を集める。その目は本気だった。
「悪かった! 悪ふざけが過ぎちまった! ほんっとにすんません!!」
ウィナーは素早く土下座して許しを乞う。そこには守護王の威厳など微塵も残ってはいなかった。
「さぁて、お遊びはそこらで終いにして、新手の相手でもしてやるか…」
アルフォスは振り向きながらクレイモアを抜く。その視線の先には白い鎧に身を包んだ騎士団の姿があった。
「我らは天救騎士団! 魔神リュカリオンの手先の者どもよ、光の女神様の威光の元に成敗してくれる!」
「勝手なことを言ってくれますわね。あのような下郎などアルフォス様自ら相手になさるまでもありませんわ。そうですわよね?」
セラはウィナーに目配せする。
(結局、オレかよ……)
ウィナーはがっくりと肩を落とすが、ゆっくりと立ち上がる。
「やれやれ、しょうがねぇなぁ……。死んだら化けて出てやるからな!」
ウィナーはセラを睨む。
「あら、その場合は死ぬほうが悪いんですわ。逆恨みはみっともないですわよ?」
(このアマァ……)
セラの態度にウィナーは怒りで身を震わせる。が、命の恩人でもおるアルフォスの役に立ちたい気持ちは強くある。たとえ、ここで命尽きようとも後悔などなかった。
「アルフォスの旦那、セラ嬢ちゃん。二人は先に行ってくれ。こいつらはオレが片付けるからよ」
「いい覚悟ですわ。少しは見直しましたわ」
「へっ、よく言うぜ!」
「わかった。俺たちが戻るまで絶対に死ぬことは許さんからな」
言いつつ、クレイモアを差し出す。
「おいおい! これは親父さんの…」
「俺には魔剣がある。クレイモアはウィナーに託す。命を懸けた忠義に対する俺からの気持ちだ」
ウィナーは熱い思いが込み上げてくるのを感じながら、両手でクレイモアを受け取る。
「お任せください! アルフォスの旦那が戻るまで殺られないと誓うぜ!!」
ウィナーの言葉にアルフォスは強く頷き、クレイモアの鞘を残し、セラを連れて施設内へと急ぐ。騎士たちはそれを阻止しようとしたが、ウィナーの発した強烈な殺気に動くことができない。
「てめぇら、覚悟しやがれよ。アルフォス様には指一本触れさせやしねぇ!」
ウィナーは、クレイモアの鞘を背負って大剣を構えた。
教団幹部は、手持ちの武器を失って圧倒的に不利な状況となったウィナーにトマホークで切りかかる。
(調子にのりやがって!)
ウィナーは格闘戦を決意し、前に踏み込むと同時に右フックをはじめとして我流の格闘攻撃を次々に繰り出すが、軽快な動きをみせる教団幹部には当たらない。
「ヒヒヒ!」
相変わらず嫌な笑い声を漏らしながらウィナーの脇腹にトマホークの一撃を入れる。防御膜魔術で護られているとはいえ、ウィナーの脇腹からは血が溢れだす。
「ぐっ…この……」
ウィナーは痛む脇腹を押さえ、教団幹部を睨む。教団幹部はトマホークに付着した血を舐めとる。
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね!!」
教団幹部は狂ったようにトマホークを振りかざす。
(まずいぜ、これは……。こっちは素手なうえに防御膜魔術をかけ続けるのにも限界がある。このままだとジリ貧だ……)
ウィナーは焦燥感を感じていた。しかし、防戦ばかりでは勝てるはずもない。苛烈な攻撃の合間を狙って両手足を使って何度も反撃を試みる。
「ぬぐっ!」
ウィナーの左ストレートが遂に教団幹部をとらえた。そこからウィナーの打撃ラッシュが始まった。
「うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁ!!」
何発かの打撃をくらわせ、ウィナーは教団幹部を力任せに投げ飛ばす。
ベチャッ
教団幹部は正面から壁に激突して地面に倒れ、そのまま動かなくなった。
「あら、もう終わりですの? 案外ヤワなんですのね……」
教団幹部との戦いを終えて、座り込んでいるウィナーの元にアルフォスとセラがやってくる。
「あのなぁ、セラ嬢ちゃん。こっちはほとんど休みなしで戦ってんだぞ……」
「それがどうしましたの? アルフォス様の従者ならばこれくらい当然こなせなければ話になりませんわ」
セラが鬼のような事を言う。
「まぁ、そう言うな。早くウィナーに治癒初級魔術をかけるんだ」
「アルフォス様がそう仰るのならしかたありませんわね。……治癒初級魔術」
セラは納得できないような表情を見せながらもウィナーの傷を癒す。
「かぁぁぁ! 効くぅぅぅっ!! やっぱ、セラ嬢ちゃんに一発ヤってもらうとたまんねぇぜ!」
「わたくしにセクハラ発言とはいい度胸ですわね。……火属性最上級魔術で炭にしてやりますわ」
セラは両手に魔力を集める。その目は本気だった。
「悪かった! 悪ふざけが過ぎちまった! ほんっとにすんません!!」
ウィナーは素早く土下座して許しを乞う。そこには守護王の威厳など微塵も残ってはいなかった。
「さぁて、お遊びはそこらで終いにして、新手の相手でもしてやるか…」
アルフォスは振り向きながらクレイモアを抜く。その視線の先には白い鎧に身を包んだ騎士団の姿があった。
「我らは天救騎士団! 魔神リュカリオンの手先の者どもよ、光の女神様の威光の元に成敗してくれる!」
「勝手なことを言ってくれますわね。あのような下郎などアルフォス様自ら相手になさるまでもありませんわ。そうですわよね?」
セラはウィナーに目配せする。
(結局、オレかよ……)
ウィナーはがっくりと肩を落とすが、ゆっくりと立ち上がる。
「やれやれ、しょうがねぇなぁ……。死んだら化けて出てやるからな!」
ウィナーはセラを睨む。
「あら、その場合は死ぬほうが悪いんですわ。逆恨みはみっともないですわよ?」
(このアマァ……)
セラの態度にウィナーは怒りで身を震わせる。が、命の恩人でもおるアルフォスの役に立ちたい気持ちは強くある。たとえ、ここで命尽きようとも後悔などなかった。
「アルフォスの旦那、セラ嬢ちゃん。二人は先に行ってくれ。こいつらはオレが片付けるからよ」
「いい覚悟ですわ。少しは見直しましたわ」
「へっ、よく言うぜ!」
「わかった。俺たちが戻るまで絶対に死ぬことは許さんからな」
言いつつ、クレイモアを差し出す。
「おいおい! これは親父さんの…」
「俺には魔剣がある。クレイモアはウィナーに託す。命を懸けた忠義に対する俺からの気持ちだ」
ウィナーは熱い思いが込み上げてくるのを感じながら、両手でクレイモアを受け取る。
「お任せください! アルフォスの旦那が戻るまで殺られないと誓うぜ!!」
ウィナーの言葉にアルフォスは強く頷き、クレイモアの鞘を残し、セラを連れて施設内へと急ぐ。騎士たちはそれを阻止しようとしたが、ウィナーの発した強烈な殺気に動くことができない。
「てめぇら、覚悟しやがれよ。アルフォス様には指一本触れさせやしねぇ!」
ウィナーは、クレイモアの鞘を背負って大剣を構えた。
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