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3章 聖剣エクスカリバー
42話 チャグラン戦①
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天救教団の施設内は静まり返っていた。外からはウィナーが奮戦している音が微かに聞こえてくる。
「ほんとによろしかったんですの?」
敵の指揮官を探して施設内を移動するアルフォスにセラが問いかける。
「なにがだ?」
「アルフォス様の剣のことですわ。あの剣は大切な物だったはず。それを…」
「そのことか。たしかにあの剣は父さんの形見で大切な物だ。だけど、俺にとってはウィナーも大事な仲間だと思ってる。もちろん、おまえもだ」
「まぁ! アルフォス様がそのように考えてくださってるなんて感激ですわ! わたくしを愛し、大切に思ってくださるそのお心に全力でお応えいたしますわ!!」
(ん? 少し話が変化してないか?)
アルフォスは脳裏によぎるも言葉には出さない。
◎
バンッ
扉を乱暴に蹴り開けてアルフォスとセラが施設の奥の一室にやってきた。広々とした空間には幾つもの円柱が立ち並び、その奥の祭壇には正面を向き、両手を広げて微笑みを浮かべる女神像が安置されている。また、女神像の真上は天窓になっていて、太陽を光が射し込むことで女神像が一層美しさを際立たせていた。
「いかがですか? 素晴らしく美しいでしょう?」
円柱の陰から眼鏡をかけた男が姿を現した。教団幹部の証であるエンブレム付きの白衣をまとっている。チャグランだ。
「リュカリオン様の美しさに比べればゴミですわね」
セラが半歩前に出る。チャグランは表情を険しくしてセラを睨む。
「所詮は魔族ごときには光の女神様のお美しさが理解できんか。……魔族と人間の肉体を持つ青年、君はどうかね?」
「そんな像なんかに興味はない。それよりも、あんたがこの施設のトップか?」
「私はこの教団施設を任されておりますチャグランと申します。魔族や半端者にはご理解いただけないようですが、我らが天救教団こそが世界を正しく導くことができるのです。光の女神様の……」
チャグランが言い終わるのを待たず、アルフォスは一気に詰め寄ると魔剣を一閃する。
「雷属性初級魔術」
アルフォスの斬撃をどうにか回避したチャグランに、セラが攻撃魔術で追撃する。
「防御膜魔術!」
チャグランは回避を諦め、自らに防御魔術を施す。
「せやぁぁ!」
休む暇を与えずアルフォスが魔剣で斬りかかる。
(ちぃっ!)
魔剣カラドボルグがチャグランの頬に傷を残す。
「紅雷!」
魔剣カラドボルグから紅い雷が迸ってチャグランを襲う。
「ぬぁぁぁぁぁぁ!」
チャグランは絶叫し、片膝をつく。
「…くそっ……さすがは悪しき魔神の遣いですね。私が話している途中だというのに問答無用ですか。なんと野蛮な……」
「そうだな。だが、外では俺の仲間が命懸けで戦ってるんでね。時間はかけてられないのさ!」
アルフォスはさらに斬撃を繰り返す。チャグランは防戦に専念しているためなかなか決定的な一撃を与えられない。
(こいつ、何か待ってるのか?)
アルフォスは斬撃を繰り返しながらもチャグランの行動に疑問を抱いていた。本来ならば、そこそこの実力を持つ魔術師なのだろう。しかし、防戦に専念して反撃する素振りを一切見せない。
セラの魔力が高まるのを察知してチャグランから離れる。
「雷属性上級魔術!」
セラが放った雷の弾丸を避けるため、チャグランは円柱の陰に身を潜めた。
(くそっ! まだなのか!?)
チャグランは内心では苛立っていた。1人でアルフォスとセラの相手をするには限界がある。仮に、どちらかと1対1で戦ったとしても勝機はないだろう。それを2人同時に相手しているのだ。長くもつはずがなかった。
「セラ、外に戻ってビクトリーの援護に回ってくれ」
「アルフォス様はどうなさるのですの?」
「あいつを討って、すぐにあとを追う。ここは任せてくれ」
「……承知いたしましたわ。では、後ほど必ず来てくださいませ」
言い置き、セラの足音が遠ざかっていく。
「ほんとによろしかったんですの?」
敵の指揮官を探して施設内を移動するアルフォスにセラが問いかける。
「なにがだ?」
「アルフォス様の剣のことですわ。あの剣は大切な物だったはず。それを…」
「そのことか。たしかにあの剣は父さんの形見で大切な物だ。だけど、俺にとってはウィナーも大事な仲間だと思ってる。もちろん、おまえもだ」
「まぁ! アルフォス様がそのように考えてくださってるなんて感激ですわ! わたくしを愛し、大切に思ってくださるそのお心に全力でお応えいたしますわ!!」
(ん? 少し話が変化してないか?)
アルフォスは脳裏によぎるも言葉には出さない。
◎
バンッ
扉を乱暴に蹴り開けてアルフォスとセラが施設の奥の一室にやってきた。広々とした空間には幾つもの円柱が立ち並び、その奥の祭壇には正面を向き、両手を広げて微笑みを浮かべる女神像が安置されている。また、女神像の真上は天窓になっていて、太陽を光が射し込むことで女神像が一層美しさを際立たせていた。
「いかがですか? 素晴らしく美しいでしょう?」
円柱の陰から眼鏡をかけた男が姿を現した。教団幹部の証であるエンブレム付きの白衣をまとっている。チャグランだ。
「リュカリオン様の美しさに比べればゴミですわね」
セラが半歩前に出る。チャグランは表情を険しくしてセラを睨む。
「所詮は魔族ごときには光の女神様のお美しさが理解できんか。……魔族と人間の肉体を持つ青年、君はどうかね?」
「そんな像なんかに興味はない。それよりも、あんたがこの施設のトップか?」
「私はこの教団施設を任されておりますチャグランと申します。魔族や半端者にはご理解いただけないようですが、我らが天救教団こそが世界を正しく導くことができるのです。光の女神様の……」
チャグランが言い終わるのを待たず、アルフォスは一気に詰め寄ると魔剣を一閃する。
「雷属性初級魔術」
アルフォスの斬撃をどうにか回避したチャグランに、セラが攻撃魔術で追撃する。
「防御膜魔術!」
チャグランは回避を諦め、自らに防御魔術を施す。
「せやぁぁ!」
休む暇を与えずアルフォスが魔剣で斬りかかる。
(ちぃっ!)
魔剣カラドボルグがチャグランの頬に傷を残す。
「紅雷!」
魔剣カラドボルグから紅い雷が迸ってチャグランを襲う。
「ぬぁぁぁぁぁぁ!」
チャグランは絶叫し、片膝をつく。
「…くそっ……さすがは悪しき魔神の遣いですね。私が話している途中だというのに問答無用ですか。なんと野蛮な……」
「そうだな。だが、外では俺の仲間が命懸けで戦ってるんでね。時間はかけてられないのさ!」
アルフォスはさらに斬撃を繰り返す。チャグランは防戦に専念しているためなかなか決定的な一撃を与えられない。
(こいつ、何か待ってるのか?)
アルフォスは斬撃を繰り返しながらもチャグランの行動に疑問を抱いていた。本来ならば、そこそこの実力を持つ魔術師なのだろう。しかし、防戦に専念して反撃する素振りを一切見せない。
セラの魔力が高まるのを察知してチャグランから離れる。
「雷属性上級魔術!」
セラが放った雷の弾丸を避けるため、チャグランは円柱の陰に身を潜めた。
(くそっ! まだなのか!?)
チャグランは内心では苛立っていた。1人でアルフォスとセラの相手をするには限界がある。仮に、どちらかと1対1で戦ったとしても勝機はないだろう。それを2人同時に相手しているのだ。長くもつはずがなかった。
「セラ、外に戻ってビクトリーの援護に回ってくれ」
「アルフォス様はどうなさるのですの?」
「あいつを討って、すぐにあとを追う。ここは任せてくれ」
「……承知いたしましたわ。では、後ほど必ず来てくださいませ」
言い置き、セラの足音が遠ざかっていく。
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