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3章 聖剣エクスカリバー
43話 チャグラン戦②
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「さっさと終わらせるか」
アルフォスは床を蹴り、チャグランが隠れている円柱に急接近する。その動きを察知したチャグランは素早く円柱から離れる。
「防御膜魔術」
チャグランがアルフォスの攻撃を警戒して防御魔術を施した直後、魔剣による斬撃を連続で受けてしまった。飛散した鮮血が壁や円柱に赤い染みをつくる。
「紅雷!」
アルフォスは休む暇を与えない。魔剣から生じた紅い雷がチャグランを捉える。
「ぬぁぁぁぁぁっ!」
チャグランの絶叫が響く。
(この小僧、調子にのりおって!)
忌々しげに睨み付けてくるチャグランにアルフォスは更なる攻撃を続ける。魔剣カラドボルグが閃く度にチャグランの腕に足に頬に脇腹に肩に傷が増えていく。
「お待ちください! わたくしの負けです。降参します」
突然の降伏宣言にアルフォスは攻撃の手を止める。
「魔神リュカリオンは降伏も認めているのですよね? ならば、降伏を宣言したわたくしを手にかけるのはリュカリオンの意思に背くことになるのでは?」
「……いいだろう。ならば、さっさと表に出て敗北を宣言して騎士団を止めてもらおうか」
「それはかまわないのですが、あなた方との戦いで負った傷が痛みましてね。少しばかり治療しても?」
「あとにしろ。まずはこの戦闘を止めるのが先決だ」
(ちっ、このガキが!……)
少しでも時間を稼ごうとしていたチャグランは内心で舌打ちをする。しかし、現状ではアルフォスの機嫌を損ねるのは得策とはいえなかった。
「やれやれ。これはこれは……。では、せめてその魔剣を納めてもらえませんか? そんな物を抜き身で持ち歩かれては落ち着きませんので……。わたくしはこのとおり武器は何も持っていないのですから、それくらいはかまわないでしょう?」
「却下だ。生憎と俺はおまえを信用していないのでな。そんなことより、つまらんお喋りなどしてないでさっさと歩いたらどうだ? 命が惜しければ、な…」
アルフォスの眼光が鋭さを増す。
「まったく、お若い方は気が短くていけませんね。……まぁ、しかたないでしょう。ただし、足を痛めておりますので遅くなりますよ」
チャグランはわざとらしく片足を引きずるようにして移動する。
◎
(どうしたものか……この小僧め、まるで隙を見せん)
施設の外に向かってなるべく時間をかけて進むチャグランは後ろからついてくるアルフォスの気配を気にしていた。
(もはやここまでくれば表で戦闘中の天救騎士団にかけるしかあるまい。彼らと合流し、こちらの戦力をまとめることで今少しの時間を稼がねば……)
チャグランは最後の望みを天救騎士団に託し、表に出た。
アルフォスは床を蹴り、チャグランが隠れている円柱に急接近する。その動きを察知したチャグランは素早く円柱から離れる。
「防御膜魔術」
チャグランがアルフォスの攻撃を警戒して防御魔術を施した直後、魔剣による斬撃を連続で受けてしまった。飛散した鮮血が壁や円柱に赤い染みをつくる。
「紅雷!」
アルフォスは休む暇を与えない。魔剣から生じた紅い雷がチャグランを捉える。
「ぬぁぁぁぁぁっ!」
チャグランの絶叫が響く。
(この小僧、調子にのりおって!)
忌々しげに睨み付けてくるチャグランにアルフォスは更なる攻撃を続ける。魔剣カラドボルグが閃く度にチャグランの腕に足に頬に脇腹に肩に傷が増えていく。
「お待ちください! わたくしの負けです。降参します」
突然の降伏宣言にアルフォスは攻撃の手を止める。
「魔神リュカリオンは降伏も認めているのですよね? ならば、降伏を宣言したわたくしを手にかけるのはリュカリオンの意思に背くことになるのでは?」
「……いいだろう。ならば、さっさと表に出て敗北を宣言して騎士団を止めてもらおうか」
「それはかまわないのですが、あなた方との戦いで負った傷が痛みましてね。少しばかり治療しても?」
「あとにしろ。まずはこの戦闘を止めるのが先決だ」
(ちっ、このガキが!……)
少しでも時間を稼ごうとしていたチャグランは内心で舌打ちをする。しかし、現状ではアルフォスの機嫌を損ねるのは得策とはいえなかった。
「やれやれ。これはこれは……。では、せめてその魔剣を納めてもらえませんか? そんな物を抜き身で持ち歩かれては落ち着きませんので……。わたくしはこのとおり武器は何も持っていないのですから、それくらいはかまわないでしょう?」
「却下だ。生憎と俺はおまえを信用していないのでな。そんなことより、つまらんお喋りなどしてないでさっさと歩いたらどうだ? 命が惜しければ、な…」
アルフォスの眼光が鋭さを増す。
「まったく、お若い方は気が短くていけませんね。……まぁ、しかたないでしょう。ただし、足を痛めておりますので遅くなりますよ」
チャグランはわざとらしく片足を引きずるようにして移動する。
◎
(どうしたものか……この小僧め、まるで隙を見せん)
施設の外に向かってなるべく時間をかけて進むチャグランは後ろからついてくるアルフォスの気配を気にしていた。
(もはやここまでくれば表で戦闘中の天救騎士団にかけるしかあるまい。彼らと合流し、こちらの戦力をまとめることで今少しの時間を稼がねば……)
チャグランは最後の望みを天救騎士団に託し、表に出た。
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