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3章 聖剣エクスカリバー
40話 天救教団施設③
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アルフォスは魔剣カラドボルグを抜いて頭上に掲げ、セラは両手の掌を門に向けて魔力を高めた。あとは焦魔鏡から逃れながら駆けてくるウィナーの到着を待つ。
「あちちちちっ!!」
喚き散らしながらウィナーが駆けてきた。
「遅いですわ。この門をぶち破りますから手伝ってもらいますわよ!」
「へ?」
「俺とセラが同時に攻撃をぶつける。ウィナーも加わってくれ」
「休む間もなしかよ!」
ウィナーは文句を言いつつもメイスを両手で握る。
「火属性最上級魔術!」
「紅雷!」
「ぬぉりゃあ!!」
アルフォス、セラ、ウィナーの攻撃が正門の一点に集中する。頑丈に作られていたはずの門扉にはアルフォスたちが侵入できるほどの穴があいている。
「やりましたわ!」
「一気に攻めるぞ」
アルフォスとセラは門扉をくぐり抜け、内部に潜入する。
(アルフォスの旦那、セラ嬢ちゃん……。オレの治療を忘れちゃいねぇか?……)
少し悲しい気持ちになりながら、ウィナーが続いた。
◎
「くっ! 闇の魔神の手先め!!」
正門を抜けた先…庭に多くの信徒が集まってくる。ある者は魔力を練り、ある者は武器を手に襲いかかってきた。
アルフォスはたとえ相手が人間だろうと容赦しない。敵であれば迷わず斬り捨てる。
「うっとうしいですわね!」
セラは飛来する矢をかわしながら文句を言っていた。
「火属性中級広域魔術」
得意の火属性魔術で弓兵を蹴散らすセラ。
「あのメイド服の女に魔術を使わせるな!」
接近戦を得意とする信徒たちは、強力な魔術を行使するセラを危険視し、大挙して押し寄せる。
「させるかよ!」
「セラをどうにかしたいなら俺たちを倒すことだな」
セラの命を狙ってくる信徒たちはアルフォスとウィナーによってことごとく返り討ちにあっていく。
◎
(戦況はこちらが不利か……)
施設内の最上階。天救教団の幹部チャグランは室内を落ち着きなくウロウロと歩き回っていた。
想定外だった。教団が誇る最新鋭兵器の焦魔鏡を使えば楽に勝てると踏んでいた。だが、実際はどうだ。全滅させることはおろかだれ一人始末することすらできないではないか。それでも、鉄壁の守りがあれば侵入をゆるすはずがなかった。しかし、やつらはあの堅牢な門扉を破壊してみせた。信徒たちによってもたらされる報告はどれも耳を覆いたくなるような内容ばかりだ。
(だが、それでも、あと少しの時間を稼ぐことができれば!…)
チャグランは、その時がくればこの状況を覆せると確信していた。
◎
「ふぅぅぅぅ…。これで粗方は片付いたか?」
周囲で倒れている信徒たちを一瞥しながらウィナーは大きく息をつく。
少し離れた所ではアルフォスとセラが生き残った信徒たちと交戦中であるが、あの二人が普通の人間である信徒たちに後れをとるとは考えられない。
「きぇぇいっ!」
突然の奇声にウィナーは身構えた。
(上か!)
頭上からの殺気を感じ取ったウィナーはすぐさま跳び退る。
目の前に白い人影が降りる。手には長さ50センチほどの手斧が握られていた。
(この野郎……。いきなりオレの頭を叩き割るつもりだったな……)
「ヒヒヒ……。まさか避けられちまうとはなぁ! だが、逃がさねぇぜぇ……」
天救教団の幹部の証ともなっている、太陽と女神をモチーフにした天救教団のエンブレムがついた白衣をまとった男は、殺人を愉悦しているかのような相好である。
(なんなんだ? こいつは! こんなやつがいるなんて天救教団はただのオカルト集団なんじゃねぇか?)
そんな思いがウィナーの脳裏を巡った時、教団幹部の男が動く。
「ヒヒヒ!」
男は軽快な動きでトマホークでウィナーに何度も斬りかかる。幾度も鳴り響く金属音。ウィナーは防御に精一杯で反撃する余裕はない。
(この野郎…。調子にのってんじゃねぇぞ!)
「防御膜魔術!」
ウィナーは攻勢に転じるための行動を開始する。まずは防御魔術でダメージを抑え、続いてメイスを両手で握りしめる。
(何か企んでやがるな…)
教団幹部の男は数歩後退して様子をうかがう。
「いくぜ!」
ウィナーが半歩前に足を踏み込む。
(隙あり!)
教団幹部の眼光が鋭くなり、トマホークがウィナーの喉元へと吸い寄せられるように動く。
ウィナーは上体をそらし、トマホークをやり過ごす。
「ぬうぉぉ!」
ウィナーは一気に決着をつけるべくメイスによる打撃を連続でくり出す。
メイスとトマホークが何度となくぶつかり合う。教団幹部はジリジリと後退し、ついに壁際へと追い込まれてしまう。
「覚悟!」
ウィナーが掲げたメイスを振り下ろす。
バキィン!
教団幹部がしゃがんで避けたことで、ウィナーがメイスで壁を力任せに叩く。その瞬間、メイスは根本から折れてしまった。
教団幹部はその隙に脇をすり抜け、ウィナーと距離をとった。
「あちちちちっ!!」
喚き散らしながらウィナーが駆けてきた。
「遅いですわ。この門をぶち破りますから手伝ってもらいますわよ!」
「へ?」
「俺とセラが同時に攻撃をぶつける。ウィナーも加わってくれ」
「休む間もなしかよ!」
ウィナーは文句を言いつつもメイスを両手で握る。
「火属性最上級魔術!」
「紅雷!」
「ぬぉりゃあ!!」
アルフォス、セラ、ウィナーの攻撃が正門の一点に集中する。頑丈に作られていたはずの門扉にはアルフォスたちが侵入できるほどの穴があいている。
「やりましたわ!」
「一気に攻めるぞ」
アルフォスとセラは門扉をくぐり抜け、内部に潜入する。
(アルフォスの旦那、セラ嬢ちゃん……。オレの治療を忘れちゃいねぇか?……)
少し悲しい気持ちになりながら、ウィナーが続いた。
◎
「くっ! 闇の魔神の手先め!!」
正門を抜けた先…庭に多くの信徒が集まってくる。ある者は魔力を練り、ある者は武器を手に襲いかかってきた。
アルフォスはたとえ相手が人間だろうと容赦しない。敵であれば迷わず斬り捨てる。
「うっとうしいですわね!」
セラは飛来する矢をかわしながら文句を言っていた。
「火属性中級広域魔術」
得意の火属性魔術で弓兵を蹴散らすセラ。
「あのメイド服の女に魔術を使わせるな!」
接近戦を得意とする信徒たちは、強力な魔術を行使するセラを危険視し、大挙して押し寄せる。
「させるかよ!」
「セラをどうにかしたいなら俺たちを倒すことだな」
セラの命を狙ってくる信徒たちはアルフォスとウィナーによってことごとく返り討ちにあっていく。
◎
(戦況はこちらが不利か……)
施設内の最上階。天救教団の幹部チャグランは室内を落ち着きなくウロウロと歩き回っていた。
想定外だった。教団が誇る最新鋭兵器の焦魔鏡を使えば楽に勝てると踏んでいた。だが、実際はどうだ。全滅させることはおろかだれ一人始末することすらできないではないか。それでも、鉄壁の守りがあれば侵入をゆるすはずがなかった。しかし、やつらはあの堅牢な門扉を破壊してみせた。信徒たちによってもたらされる報告はどれも耳を覆いたくなるような内容ばかりだ。
(だが、それでも、あと少しの時間を稼ぐことができれば!…)
チャグランは、その時がくればこの状況を覆せると確信していた。
◎
「ふぅぅぅぅ…。これで粗方は片付いたか?」
周囲で倒れている信徒たちを一瞥しながらウィナーは大きく息をつく。
少し離れた所ではアルフォスとセラが生き残った信徒たちと交戦中であるが、あの二人が普通の人間である信徒たちに後れをとるとは考えられない。
「きぇぇいっ!」
突然の奇声にウィナーは身構えた。
(上か!)
頭上からの殺気を感じ取ったウィナーはすぐさま跳び退る。
目の前に白い人影が降りる。手には長さ50センチほどの手斧が握られていた。
(この野郎……。いきなりオレの頭を叩き割るつもりだったな……)
「ヒヒヒ……。まさか避けられちまうとはなぁ! だが、逃がさねぇぜぇ……」
天救教団の幹部の証ともなっている、太陽と女神をモチーフにした天救教団のエンブレムがついた白衣をまとった男は、殺人を愉悦しているかのような相好である。
(なんなんだ? こいつは! こんなやつがいるなんて天救教団はただのオカルト集団なんじゃねぇか?)
そんな思いがウィナーの脳裏を巡った時、教団幹部の男が動く。
「ヒヒヒ!」
男は軽快な動きでトマホークでウィナーに何度も斬りかかる。幾度も鳴り響く金属音。ウィナーは防御に精一杯で反撃する余裕はない。
(この野郎…。調子にのってんじゃねぇぞ!)
「防御膜魔術!」
ウィナーは攻勢に転じるための行動を開始する。まずは防御魔術でダメージを抑え、続いてメイスを両手で握りしめる。
(何か企んでやがるな…)
教団幹部の男は数歩後退して様子をうかがう。
「いくぜ!」
ウィナーが半歩前に足を踏み込む。
(隙あり!)
教団幹部の眼光が鋭くなり、トマホークがウィナーの喉元へと吸い寄せられるように動く。
ウィナーは上体をそらし、トマホークをやり過ごす。
「ぬうぉぉ!」
ウィナーは一気に決着をつけるべくメイスによる打撃を連続でくり出す。
メイスとトマホークが何度となくぶつかり合う。教団幹部はジリジリと後退し、ついに壁際へと追い込まれてしまう。
「覚悟!」
ウィナーが掲げたメイスを振り下ろす。
バキィン!
教団幹部がしゃがんで避けたことで、ウィナーがメイスで壁を力任せに叩く。その瞬間、メイスは根本から折れてしまった。
教団幹部はその隙に脇をすり抜け、ウィナーと距離をとった。
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