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4章 ラミーネル攻略戦
54話 クラッツェルン防壁 突破
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ウィナーを残し、クラッツェルンを守る防壁の前までやってきたアルフォスとセラ。
「アルフォスが現れたぞ!」
防壁の上で警戒に当たっていた兵士がアルスフェルト城へと伝令を飛ばす。
「いいか! やつらを一歩たりともクラッツェルンに入れてはならぬ! この門扉は死守するのだ!! 弓兵よ、射てぇぇい!!!」
指揮官の男が部下に指令を出す。
「あらあら、あんな物でわたくしたちを止められると思っているのかしら?」
セラは嘲笑しながら無詠唱による火属性中級広域魔術を発動させ、全ての矢を焼き払った。
「くそっ、化け物めが! なにをしておる! 魔術部隊よ、撃てぇぇぇい!!!」
指揮官の命令により魔術兵が一斉に魔力を高める。
「雷属性中級魔術!」
魔術兵たちによって無数の雷の矢が放たれた。しかし、セラは僅かにも慌てた様子を見せず、無詠唱による防御膜魔術を自分とアルフォスにかける。雷の矢はアルフォスとセラを保護する魔力の膜によって完全に無効化されてしまった。
「し、信じられん! 詠唱もしないで攻撃魔術を無効化するなどあり得ん!!」
指揮官は自分の眼で見た光景を信じられずにいた。魔術は詠唱しなければ本来の効果を充分には発揮できないはずなのだ。
「まったく……。この程度のことで驚かれても困りますわね」
言いつつ、セラは無詠唱で火属性初級広域魔術を撃つ。上空から降り注ぐ炎の雨は防壁の上の敵を次々に倒していく。
「ぬぅぅっ! 防壁の内部へ避難しろ!!」
指揮官の指示により兵士たちは我先にと行動する。
「あらあら……こんなものなんですの? あとはあの閉じられた門を破壊すればいいのですわね」
「そうだな。それは俺の任せてもらおうか」
アルフォスは一歩前に進み出て聖剣エクスカリバーの柄に手をかける。
「あの門には対魔術施工がされておりますわ」
セラがアルフォスに告げる。
「問題ない」
アルフォスは短く答え、聖剣エクスカリバーを鞘から引き抜く。
「水刃・三連!」
アルフォスは水刃を3連発で繰り出した。その一撃はゼトラが放っていたものよりも遥かに強力だ。
3発の水刃は固く閉ざされていた門扉をあっけなく破壊し、王都クラッツェルンへの道を切り開いた。
「さすがはアルフォス様ですわね! わたくし、惚れ直してしまいましたわぁ……」
セラはうっとりとした目でアルフォスに熱い視線を送る。
「……このままご一緒したいところなのですが残念ですわ…」
「先に行っている。気をつけろよ」
「はい。さっさと片付けてすぐに追いつきますわ」
「待っているぞ」
言い置いてアルフォスは1人でクラッツェルンに向かう。
その後ろ姿を愛しく見つめていたセラは視線を左に移動させる。
頭部が獅子、胴体は虎、尾は毒蛇の合成獣が牙をむき出しに前傾姿勢をとっていた。
「アルフォス様の故郷ですが、腐りきってますわね……」
哀れな合成獣を見つめるセラの瞳にはラミーネル王国に対する嫌悪感が滲んでいた。
「アルフォスが現れたぞ!」
防壁の上で警戒に当たっていた兵士がアルスフェルト城へと伝令を飛ばす。
「いいか! やつらを一歩たりともクラッツェルンに入れてはならぬ! この門扉は死守するのだ!! 弓兵よ、射てぇぇい!!!」
指揮官の男が部下に指令を出す。
「あらあら、あんな物でわたくしたちを止められると思っているのかしら?」
セラは嘲笑しながら無詠唱による火属性中級広域魔術を発動させ、全ての矢を焼き払った。
「くそっ、化け物めが! なにをしておる! 魔術部隊よ、撃てぇぇぇい!!!」
指揮官の命令により魔術兵が一斉に魔力を高める。
「雷属性中級魔術!」
魔術兵たちによって無数の雷の矢が放たれた。しかし、セラは僅かにも慌てた様子を見せず、無詠唱による防御膜魔術を自分とアルフォスにかける。雷の矢はアルフォスとセラを保護する魔力の膜によって完全に無効化されてしまった。
「し、信じられん! 詠唱もしないで攻撃魔術を無効化するなどあり得ん!!」
指揮官は自分の眼で見た光景を信じられずにいた。魔術は詠唱しなければ本来の効果を充分には発揮できないはずなのだ。
「まったく……。この程度のことで驚かれても困りますわね」
言いつつ、セラは無詠唱で火属性初級広域魔術を撃つ。上空から降り注ぐ炎の雨は防壁の上の敵を次々に倒していく。
「ぬぅぅっ! 防壁の内部へ避難しろ!!」
指揮官の指示により兵士たちは我先にと行動する。
「あらあら……こんなものなんですの? あとはあの閉じられた門を破壊すればいいのですわね」
「そうだな。それは俺の任せてもらおうか」
アルフォスは一歩前に進み出て聖剣エクスカリバーの柄に手をかける。
「あの門には対魔術施工がされておりますわ」
セラがアルフォスに告げる。
「問題ない」
アルフォスは短く答え、聖剣エクスカリバーを鞘から引き抜く。
「水刃・三連!」
アルフォスは水刃を3連発で繰り出した。その一撃はゼトラが放っていたものよりも遥かに強力だ。
3発の水刃は固く閉ざされていた門扉をあっけなく破壊し、王都クラッツェルンへの道を切り開いた。
「さすがはアルフォス様ですわね! わたくし、惚れ直してしまいましたわぁ……」
セラはうっとりとした目でアルフォスに熱い視線を送る。
「……このままご一緒したいところなのですが残念ですわ…」
「先に行っている。気をつけろよ」
「はい。さっさと片付けてすぐに追いつきますわ」
「待っているぞ」
言い置いてアルフォスは1人でクラッツェルンに向かう。
その後ろ姿を愛しく見つめていたセラは視線を左に移動させる。
頭部が獅子、胴体は虎、尾は毒蛇の合成獣が牙をむき出しに前傾姿勢をとっていた。
「アルフォス様の故郷ですが、腐りきってますわね……」
哀れな合成獣を見つめるセラの瞳にはラミーネル王国に対する嫌悪感が滲んでいた。
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