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4章 ラミーネル攻略戦

58話 テイラの婚約者

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 「アルフォスの旦那、無事か!?」

 テイラとの戦闘に勝利し、眼前にそびえるアルスフェルト城を睨むアルフォスの元にセラとウィナーが駆けつける。

 「何を言っているのかしら、ウィナー? アルフォス様が敗ける訳がありませんわ」

 「へっ、そりゃそうだ!」

 アルフォスの無事な姿に笑みをこぼすセラとウィナー。

 「二人とも無事で何よりだ」

 アルフォスも従者二人の無事を喜ぶ。

 「まずは閉ざされた城門を破壊する。セラ!」

 「了解ですわ!」

 「火属性最上級魔術フレイム・キャノンボール!!」

 「水刃すいじん・三連! 紅雷こうらい!!」

 アルフォスとセラによる激しい攻撃にアルスフェルト城の城門は破壊される。

 「いくぞ!」

 アルフォスを先頭にウィナーとセラが続く。



 アルスフェルト城1階には多くの住人が避難していた。

 「反逆者アルフォスだ……」

 「あの恐ろしい姿……まるで化け物だわ……」

 「あんなやつ、勇者ゼトラ様に殺されるに決まってる…」

 「世界の平和のためにも早く死んでくれれればいいのに……」

 口々に囁く声が聞こえてくる。

 「アルフォス様、この者たちを黙らせますか?」

 セラが左手を住人たちのほうへ向けてかざす。

 「ひぃっ!……」

 もはや逃げ場のない住人たちは一様に恐怖で凍りついた表情をする。

 「いや、いい。こんなやつらに魔力を使うのは得策じゃない。それよりも今は倒すべき相手をるぞ」

 「さすがはアルフォス様、冷静ですわね」

 「おぉし! このまま一気に終わらせてやろうぜ!!」

 3人は上階へと続く階段を駆け上がる。

 「待って! テイラは……表にいた兵士は?……」

 一人の女性が血の気の引いた表情で問いかけてくる。

 「……俺が殺した…」

 アルフォスは静かな声で短く答える。

 「そ…そんな!……私たち、婚約した…ばかり……だったのに!!……」

 女性はその場で慟哭どうこくする。

 「許さない! あなたは絶対に許さない!! いつか復讐してやる! 絶対に殺してやるんだから!!!」

 激しい憎悪の感情を込めた視線をアルフォスに投げ掛ける女性にセラは左手をかざす。

 「やめろ、セラ。捨て置け」

 「ですが、アルフォス様。あのような者を生かしておいては…」

 「いいんだ。俺たちはこれまで数えきれんほどの命を奪ってきた。恨みなら腐るほど買っている。今さら増えたところでどうということもないだろ。それよりも先を急ぐぞ」

 「命拾いしましたわね。アルフォス様の寛大さに感謝するんですのね……」

 セラは言い捨てると先に階段を駆け上っていったアルフォスとウィナーを追う。
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