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4章 ラミーネル攻略戦

62話 セラ&ウィナーVS怪物タハルジャ①

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 セラは鞭を、ウィナーはクレイモアを手に怪物タハルジャと対峙する。

 「雷属性中級魔術ライトニング・アロー!」

 セラが攻撃魔術を詠唱発動させて先手を打つ。

 「ふん! 効かんな」

 怪物タハルジャは防御するわけでもなく平然と立っている。

 「野郎!」

 ウィナーがクレイモアを手に斬りかかる。

 カキィン!

 クレイモアは怪物タハルジャの表皮を覆う鱗によって弾き返されてしまう。

 「火属性上級魔術フレイム・ブレット!!」

 セラが得意の火属性魔術を詠唱発動する。

 「ぬるい炎だな」

 怪物タハルジャは涼しい顔で立っている。 

 (硬く、魔術にも抵抗力のある鱗……。まずはあれをどうにかしなくてはなりませんわね……)

 セラは目の前の敵をいかに倒すか思考を巡らせる。

 「無駄なことだ。今のわたしは神だと言ったはずだが理解できなかったのかね?」

 怪物タハルジャは余裕の笑みを浮かべている。

 「るせぇ!!」

 ウィナーはクレイモアを両手で握り、力の限り斬りつけていく。が、その度に弾かれてしまう。

 「気がすんだかね? それでは、神格化し、神となったわたしの攻撃を見せてあげよう!」

 怪物タハルジャは両手に魔力を集める。

 「火属性上級広域魔術エクスプロージョン!」

 詠唱発動させた攻撃魔術による爆発はウィナーとセラを巻き込む。

 「「ぐっ……」」

 それぞれ円柱に叩きつけられ短くうめく。

 「火属性最上級魔術フレイム・キャノンボール!!」

 セラが自身最強の一撃を詠唱発動させた。火炎の砲弾が怪物タハルジャに直撃し、僅かに後退させた。

 (おいおい、まさかセラ嬢ちゃんの火属性最上級魔術フレイム・キャノンボールがほとんど効果なしだと!?)

 ウィナーは怪物タハルジャの鱗の強固さに驚嘆するばかりだ。

 「クククク…。もはや勝負はあった。君たちに勝ち目はないようだね。まずは君から始末してやろう!」

 怪物タハルジャはウィナーを向かって杖で殴りかかる。

 「フハハハハ……。君たち相手にこれ以上は魔術を使う必要はないようだね!」

 ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ

 何度も杖で殴りかかってくる怪物タハルジャ。ウィナーはクレイモアで受け止めるだけで精一杯である。

 「そぉら!」

 怪物タハルジャは杖を両手で握り、力任せに振り抜く。

 ガキィィィンッ!!

 クレイモアで受け止めたウィナーを凄まじい衝撃が襲う。後方に吹っ飛ばされたウィナーは空中で身を翻して着地するが勢いを止められず、またしても背中から円柱にぶつかる。

 「ぐあっ…」

 背中を打ちつけたウィナーは2、3歩前によろめく。

 「ウィナーさん、手短に説明しますわ。……」

 セラは考えついた作戦を簡潔にウィナーに伝える。

 「何を企んでるのかは知らんが、わたしを相手に如何様な作戦も意味はなさんぞ?」

 あくまでも余裕の態度を崩さない怪物タハルジャがゆっくりとセラとウィナーに歩み寄る。

 「へっ! 上等だ!! こっちも反撃開始といこうぜ!」

 ウィナーはクレイモアを構え、怪物タハルジャを見据える。
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