聖剣と魔剣の二刀流剣士物語【復讐編】

美山 鳥

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4章 ラミーネル攻略戦

65話 アルフォスVSゼトラ②

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 アルフォスとゼトラは互いに激しい攻防戦を繰り広げながら謁見の間を所狭しと暴れまわる。

 ブォンッ

 神槍グングニルが空を突く。

 その隙にゼトラの背後をとったアルフォスが聖剣エクスカリバーと魔剣カラドボルグをXの字に振り下ろす。

 「雷属性初級魔術ライトニング・ボール!」

 魔剣と聖剣の斬撃を回避したゼトラが詠唱発動したことにより無数の雷球がアルフォスを襲う。

 「紅雷こうらい・二連!」

 アルフォスは動じることなく魔剣カラドボルグの魔力を解放し、一撃目でゼトラが放った雷球を消し飛ばし、続く二撃目でゼトラ自身を攻撃する。

 「風属性中級魔術ウインド・ダガー!」

 ゼトラは二発目の紅雷こうらい風属性中級魔術ウインド・ダガーで相殺し、床を強く蹴る。

 「せい!」

 間合いを詰めてきたゼトラが鋭く突きだした神槍グングニルを魔剣カラドボルグで弾き、聖剣エクスカリバーの一撃をゼトラの脇に入れる。

 「入りましたわ!」

 「さすがはアルフォスの旦那だぜ!」

 観戦していたセラとウィナーが歓声をあげる。

 「あまい!」

 即座にゼトラが神槍グングニルを振りかざして反撃にでる。

 後方に飛び退いたアルフォスだったが頬についた一筋の傷から血が流れる。アルフォスの与えた一撃はゼトラの身を包む黄金の鎧によって弾かれていた。

 「せやっ!」

 ゼトラは攻撃を続ける。神槍グングニルによる連続突きを魔剣と聖剣で受け流し、あるいはかわし、ゼトラの脇をすり抜け様に魔剣カラドボルグの魔力を解放する。

 「紅雷こうらい!」

 「防御膜魔術プロテクション!」

 アルフォスの放った紅雷こうらいは黄金の鎧と防御膜魔術プロテクションによって無効化されてしまう。

 (以前戦ったときに着けていた鎧よりもさらに防御力が高い鎧のようだな……。まったく、光の女神とやらはよほど贈り物好きとみえる)

 アルフォスはフッと息を漏らす。

 「なにがおかしいんです?」

 ゼトラが怪訝な表情を見せている。

 「いや、べつに大したことじゃない」

 「光の女神様から賜った神槍グングニルと黄金の鎧がある限り、僕に敗北の二文字は存在しないんですよ」

 「大した自信だな」

 「当たり前じゃありませんか。相手の攻撃は一切通じず、こちらの攻撃は相手に届く。こんな一方的な戦いでは僕が敗れる要素など何一つありませんからね」

 「既に勝った気でいる、それが敗北の要因になりかねないとは思わないのか?」

 「なにをバカなことを……。いずれにせよ、僕はあなたを殺して今宵こそメルティナと結ばれるんです。そういうわけですので、さっさと死んでいただきたいものです」

 「随分と色欲の強い勇者もいたもんだ……」

 アルフォスは呆れたように言い捨てた。
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