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悪夢は覚めてくれない 4
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アブローラに、ある考えが過ぎる。
”お祖父様は、何か隠している…”
考え始めると次々に疑問にぶち当たる。
”この子の魔力が安定しないと言うので、魔導封印を認めたが…本当にそうなのか?”
美しい瞳に不安が闇の様に覆いかぶさってくる。
”どうして、ダブルAの私から、ダブルBの子が産まれたのだろうか?”
絶対何か隠している…きっと、我が子にとって良くないことだろう。
そう考えると心が引き裂かれそうになる
息子の属性門を感じてみると…確かに、その通りなのだ。
特に何か異常を感じるわけでもないが…ふと思った。
「あいつにも、属性門を見させてみるか?」
アブローラは、我が子を魔眼を能力を鑑定する事ができた。
見立てでは我が子は水と風の属性門持ちなのは、分かっていた。
そして…土の属性門の支配者であることもだ。
アブローラは、祖父であるシロウドがレインの属性門を家臣や寄子の手前、隠す必要があるのは理解しているつもりだ。仇敵に等しい帝国血統の属性者であることは…知られたくないからだ。
クナイツァー家そのものも200年前は帝国本流の一血統だったが、初代クナイツァーが土ではなく水の属性支配者であったのが、新しい家の始まりとなったのだ。
クナイツァー家の本家にあたるダルツヘルム大公家は、風の一門であるが現大公は水の属性門持ちである。
現大公は、シロウドの孫である。救国の英雄であるアークレイの長男だ。
シュバリエの能力は母親の能力に影響を受ける。
母親の能力をほぼ引き継ぐと言っても過言ではない。
しかし、高ランクシュバリエの血統はその能力が引き継がれる確率が通常のシュバリエより低いのも事実だった。
その能力を引き継ぐ対価として…体や心に不自由があるのは決して珍しいことではない。
タンタが言うには、”Aになるのは間違いない”と、言うのだが、アブローラは釈然としない。
そういうもなのだろうか…この疑問を母であるアムセトにぶつけてみたが、母親として心配なのは分かるけれど、子供が動揺するかもしれないから…ね?と諭された。
ダブルAの自分とトリプルBの『彼』の間に出来た子が、なぜダブルB程度なのだと?
母親の能力に多大な影響を受けるのがシュバリエでの血筋のなせる力…一種の呪いだ。
なぜ、こうまで、レベルダウンするのだ?
アブローラの考えでは、生まれた時はシングルAで成人することにはダブルAになるものだと漠然とながら考えていた。
だが、実際はどうだ?
ダブルBが、シングルAまで3段階も上がるものなのだろうか?
医者ではないので分からないが納得がいかなかった。
別に、自分の息子が100年に一度の天才とか、選ばれし者などと偉人と並べるつもりなどないが、大叔父に英雄ブルームのいる血筋なのに……そんなものなのかと、いつしか考えることを諦めた。
そんなことを考えるより、明日我が子に車椅子をどう上手く渡せるかを考えた方が建設的だなと切り替えた。
レインは眠りについていた。
調子を崩していたせいか、元々体が強い方ではないせいか…塞ぎ気味だった。
発熱し魘される日が続いていた。
レインの体調を考えているのか偶然か、コロ助も流石に同じベッドで寝るのは自重していた。
ただ時折、顔をペロペロ舐めて、魘されているレインを起こすのは日課として夜は寝ずの番をしていた。
うぅ。…う。
コロ助が、ハッと目が覚めベッドに上がりレインの様子を伺う。
また、悪い夢を見ているようだ。
日が開けるとレインは、コロ助に昨夜どんな夢を見たかを教えるのだ。
「狼に教えても分かりませんよ、私たちで良ければお聞きしたいのですが?」
と侍女達が言うのだが、
「コロ助はちゃんと聞いているよ」
と、言って侍女達と積極的に相手するわけでもなく、いつもコロ助に話しかけていた。
侍女達は困った顔をするが、犬に話しかけ自分達とは話さないレインをちょっと変わった子と思うようになっていた。…狼だ。
コロ助は、じっとレインの顔を…容態に目を向ける。
ベッドの上に、ちょこんと座り、じっと見つめ始めた。
レインの悪夢が始まったようだ。
コロ助は、ただじっと見つめていた。
うぅ。…う。
この時のコロ助は、愛くるしい愛玩動物ではなく、何か得体の知れない魔獣…いや、何か一物を持つ何かになる。
コロ助は、精霊獣フェンリルの転生体…のはずだ。
レインは夢を見ていた。
よく見る悪夢…初めて見たときは、空を飛び回ることを喜んだが…歩けない現実と改めて突き付けられたような気がして辛くなった。
レインは夢の中で叫ぶ。
自由に歩きたい…自由に飛び回りたい…自由になりたい…僕はどうすればいいの?
夢が深くなってきた…まるで、真実だったのではないかと思えるほどリアルなのだ。
そう…その悲しみも、その痛みも、苦しみも…まるで経験してきたかのように感じるのだ。
その夢は…悪夢だ。
レインの右目が輝き始めた。
魔力が漏れ始め…辺りは魔煌色に輝き始めた。
その輝きに、黒い影が映しだされる。
「キャァーーーーーーー!!」
侍女の絶叫がこだました。
長い夜の始まりだった。
”お祖父様は、何か隠している…”
考え始めると次々に疑問にぶち当たる。
”この子の魔力が安定しないと言うので、魔導封印を認めたが…本当にそうなのか?”
美しい瞳に不安が闇の様に覆いかぶさってくる。
”どうして、ダブルAの私から、ダブルBの子が産まれたのだろうか?”
絶対何か隠している…きっと、我が子にとって良くないことだろう。
そう考えると心が引き裂かれそうになる
息子の属性門を感じてみると…確かに、その通りなのだ。
特に何か異常を感じるわけでもないが…ふと思った。
「あいつにも、属性門を見させてみるか?」
アブローラは、我が子を魔眼を能力を鑑定する事ができた。
見立てでは我が子は水と風の属性門持ちなのは、分かっていた。
そして…土の属性門の支配者であることもだ。
アブローラは、祖父であるシロウドがレインの属性門を家臣や寄子の手前、隠す必要があるのは理解しているつもりだ。仇敵に等しい帝国血統の属性者であることは…知られたくないからだ。
クナイツァー家そのものも200年前は帝国本流の一血統だったが、初代クナイツァーが土ではなく水の属性支配者であったのが、新しい家の始まりとなったのだ。
クナイツァー家の本家にあたるダルツヘルム大公家は、風の一門であるが現大公は水の属性門持ちである。
現大公は、シロウドの孫である。救国の英雄であるアークレイの長男だ。
シュバリエの能力は母親の能力に影響を受ける。
母親の能力をほぼ引き継ぐと言っても過言ではない。
しかし、高ランクシュバリエの血統はその能力が引き継がれる確率が通常のシュバリエより低いのも事実だった。
その能力を引き継ぐ対価として…体や心に不自由があるのは決して珍しいことではない。
タンタが言うには、”Aになるのは間違いない”と、言うのだが、アブローラは釈然としない。
そういうもなのだろうか…この疑問を母であるアムセトにぶつけてみたが、母親として心配なのは分かるけれど、子供が動揺するかもしれないから…ね?と諭された。
ダブルAの自分とトリプルBの『彼』の間に出来た子が、なぜダブルB程度なのだと?
母親の能力に多大な影響を受けるのがシュバリエでの血筋のなせる力…一種の呪いだ。
なぜ、こうまで、レベルダウンするのだ?
アブローラの考えでは、生まれた時はシングルAで成人することにはダブルAになるものだと漠然とながら考えていた。
だが、実際はどうだ?
ダブルBが、シングルAまで3段階も上がるものなのだろうか?
医者ではないので分からないが納得がいかなかった。
別に、自分の息子が100年に一度の天才とか、選ばれし者などと偉人と並べるつもりなどないが、大叔父に英雄ブルームのいる血筋なのに……そんなものなのかと、いつしか考えることを諦めた。
そんなことを考えるより、明日我が子に車椅子をどう上手く渡せるかを考えた方が建設的だなと切り替えた。
レインは眠りについていた。
調子を崩していたせいか、元々体が強い方ではないせいか…塞ぎ気味だった。
発熱し魘される日が続いていた。
レインの体調を考えているのか偶然か、コロ助も流石に同じベッドで寝るのは自重していた。
ただ時折、顔をペロペロ舐めて、魘されているレインを起こすのは日課として夜は寝ずの番をしていた。
うぅ。…う。
コロ助が、ハッと目が覚めベッドに上がりレインの様子を伺う。
また、悪い夢を見ているようだ。
日が開けるとレインは、コロ助に昨夜どんな夢を見たかを教えるのだ。
「狼に教えても分かりませんよ、私たちで良ければお聞きしたいのですが?」
と侍女達が言うのだが、
「コロ助はちゃんと聞いているよ」
と、言って侍女達と積極的に相手するわけでもなく、いつもコロ助に話しかけていた。
侍女達は困った顔をするが、犬に話しかけ自分達とは話さないレインをちょっと変わった子と思うようになっていた。…狼だ。
コロ助は、じっとレインの顔を…容態に目を向ける。
ベッドの上に、ちょこんと座り、じっと見つめ始めた。
レインの悪夢が始まったようだ。
コロ助は、ただじっと見つめていた。
うぅ。…う。
この時のコロ助は、愛くるしい愛玩動物ではなく、何か得体の知れない魔獣…いや、何か一物を持つ何かになる。
コロ助は、精霊獣フェンリルの転生体…のはずだ。
レインは夢を見ていた。
よく見る悪夢…初めて見たときは、空を飛び回ることを喜んだが…歩けない現実と改めて突き付けられたような気がして辛くなった。
レインは夢の中で叫ぶ。
自由に歩きたい…自由に飛び回りたい…自由になりたい…僕はどうすればいいの?
夢が深くなってきた…まるで、真実だったのではないかと思えるほどリアルなのだ。
そう…その悲しみも、その痛みも、苦しみも…まるで経験してきたかのように感じるのだ。
その夢は…悪夢だ。
レインの右目が輝き始めた。
魔力が漏れ始め…辺りは魔煌色に輝き始めた。
その輝きに、黒い影が映しだされる。
「キャァーーーーーーー!!」
侍女の絶叫がこだました。
長い夜の始まりだった。
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