武装聖剣アヌスカリバー

月江堂

文字の大きさ
67 / 123
第6章 スターウォーズ

エルフの生態

しおりを挟む
「エルフかぁ」

 正直少し会ってみたい。

 エルフと言えばだよ。□ードス島戦記のディー〇リットさんをはじめとして金髪で儚げな美しい女性の代名詞みたいなもんじゃん。もうなんか、それだけで期待が膨らんでくるよ。

 あ、でも……

「師匠男ッスよ」

 ああ、まあ、そうか。

 よくよく考えてみたら『勃気』の師匠なんだよな。その時点で女の線は普通消えるわな。エイメは女だけど、普通そんな下ネタ全開の技、女は使いたがらないよな。

「っていうかよくよく考えたら『ダーク』がつくけどエルフには既に会ったことがあったな……ろくでもない奴だったわ」

「師匠、エルフとダークエルフは全然違う種族ッスよ」

 ん? そうなのか? ゆうても肌の色が違うくらいじゃないの? 鳥取と島根くらいの違いだろ? たいして変わんねえよ。入れ替わっても誰も気づかないんじゃない?

「まず、エルフは貧乳ッスけど、ダークエルフは巨乳ッス」

 なるほど、言われてみればそんなイメージがある。その違いは大きいな。千葉県と茨城県くらい違うな。

「あと、ダークエルフは肉も食うッスけど」

 ああ~、なんか、エルフはヴィーガンというか、あんまり肉とか食べるイメージないな、確かに。

「エルフは木の葉っぱと昆虫を食べるッス」

 は?

「ダークエルフはこないだのイルウさんみたいに人間と同じように陸上生活ッスけど、エルフは樹上生活ッスね」

 それホントにエルフか? ナマケモノかなんかなんじゃないの? 俺の知ってるのと大分違うんだが。

「人生の八割を木の上で過ごすらしいっスね」

 猿かなんかなのでは?

「基本的には卵生なんスけど、メスがオスの腹の中に卵を産み付けて、オスが出産する、かなり珍しい胎生をしてるんスよ」

 それはタツノオトシゴでは?

「足りない栄養素は光合成で補うらしくって、足を高く掲げて太陽に向ける仕草は、足の裏にあるメラニー器官で光合成する時の体勢なんスよ。私も師匠の光合成見た時はびっくりしたッス」

 え……、それ、なんなの? どういう生き物なの? ミドリムシみたいに植物と動物の中間の生き物ってこと? それエルフでもなんでもなくない?

「と、とにかく、俺はお前の師匠を探すのを手伝うから」

 正直どんな化け物なのかはかなり不安になってきたけど、俺には会わないという選択肢はない。何故ならどうにかして、この『勃気』の能力を消したいからだ。

「この能力ホンットにどうにかしたいんだよ。逆にエイメは平気なのか? 毎朝毎朝、朝勃ちの光で起こされて。気が変になりそうなんだけど!!」

「え? むしろ興奮するスけど」

 愚問だったわ。

 まあいい。

 こんな話を続けていても物事は何も解決はしない。とにかく、俺はこの勃気の力をどうにかしなきゃいけないんだ。

 この力を自由自在に制御できるようになって、勃気マスターにならなけりゃいけないんだ。

 ……何言ってんだ俺。

 目指せ勃気ボキモンマスター、ってか。ハハ。

 ハハハ……なんだよ、ホントに。もう……俺、勇者だぜ……なんでこんな事やって……

「どうかしたんスか師匠?」 

 ハッ、俺はいったい何を? エイメの声で正気を取り戻した俺は顔を上げて周囲を見回してみる。見渡す限りの木、木、木。

 ここはいったい……?

「どうしたんじゃ勇者よ。早いところそのエルフを見つけて次の街に行くぞい」

 ああ、状況の悪さから茫然自失としている間に森へと移動していたのか。なんなんだこの場面転換の仕方。

「ここが、エルフの森か……」

「エルフの森じゃないッスよ」

 なんだと。

「言わなかったッスか? 師匠は昔なんかあったらしくて、エルフの里を離れて一人で暮らしてるんスよ」

 ああ~、なんか言ったような、言わないような。

 というか、なんかその大前提を気づかずに行動しても多分見つからないな。まあそれ以前にどうやら無意識で行動してたみたいなんだけど。

 てっきりエルフの隠れ里かなんかを探すもんだと思ってたんだけど、そういうわけじゃないんだな。

「まあ、そういう事なら生活の痕跡を探せばいいんだな。きっと食料をとるための罠とかが設置されてるはずだから……」

 そこまで喋ってはた、と考え込む。

「エルフは、肉は食わないッス」

 そうだった。

 木の葉とか、虫を捕まえて食べる……? となると、大分前提が変わってくるな……食料の捕獲に罠は使わないか……となると、エルフの糞を探せばいいのか……俺、本当にエルフを探してるんだよな……?

「あのさあエイメ。多分なんだけど、俺の知ってるエルフとお前の言ってるエルフが大分姿が違うんじゃないのかなあ、って気がしてんのよね」

 俺はもちろんイルウの肌が白いバージョンくらいに思っていたんだけど、樹上生活をしていて、木の葉と昆虫を捕まえて食べ、時々光合成をする……その生活形態で人間にそっくりな姿の訳がないだろ。

 俺は足元の落葉を掻き分けて地面を露出させ、木の枝で絵を描く。

「多分だけど、樹上生活をするってことは、手と足は殆ど同じ長さの方が都合がいいだろうな……握力を消費しなくて済むように、長い鈎爪のような爪……かな。カロリーが足りてないだろうから体温を保つために体毛は長め、かな。あとは卵を抱えるために育児のうを備えてる感じか」

 描き上がった絵は、ほぼ腹に袋のあるナマケモノだった。

「だいたいこんな感じか……合ってるか?」

「師匠はエルフを何だと思ってるんスか」

 大体ナマケモノだと思ってるよ。

「エルフと言えば小柄な人間の姿で耳が長い奴ッスよ」

 え? そうなの? じゃあやっぱダークエルフと比べて鳥取と島根くらいの違いしかないじゃん。

「ていうか俺エルフの生態に詳しくないんだけど、エイメ知ってるなら教えてよ。捕まえるためのトラップの仕掛け方とか」

「虫かなんか捕まえるんじゃないんスから……」

 文句を垂れながらもエイメは荷物袋から何かの入ったビンとハケを取り出した。

「私だと高いところに手が届かないんで師匠にやってほしいんスけど、樹液に集まる性質があるんで、この水で薄めたハチミツを木に塗ってほしいス」

 虫かなんか捕まえるのかな。

「というか本当にエルフっていうのがどういうもんなのか分からなくなってきたんだけど。これまでの情報を集めると、外見的にはほぼ俺が知ってるエルフみたいなもんだけど、樹上生活をしてて、葉っぱや昆虫を食べて、樹液に集まる? モンスターの類だよねそれ」

「儂の知っている限りじゃと、生活習慣にそれほど人間と差があるわけじゃない筈じゃがのう。エイメ、お主騙されとるんじゃないのか?」

 アスタロウもエイメの情報には懐疑的みたいだった。そりゃそうだよな。その師匠に適当なこと吹き込まれてるとしか思えないんだけど。

「何言ってるんスか、お二人はエルフにあった事あるんスか!? 私が騙されるわけないじゃないスか!!」

 そんなこと言われてもなあ。

 なんとも微妙な空気になってきたが、とりあえずはエイメの言うとおりにするしかないか。そう思って彼女からハチミツの瓶を受け取った時だった。

 俺達の後方、少し離れたところからしわがれた声が聞こえてきた。

「これは、珍しいお客さんじゃのう。久しぶりじゃな、エイメ」

 声に振り向くと、そこには小柄な老人が立っていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...