武装聖剣アヌスカリバー

月江堂

文字の大きさ
66 / 123
第6章 スターウォーズ

エイメの人探し

しおりを挟む
「で? なんでお前はここにいるの」
 
 俺は宿屋の食堂で向かいの席に座っている少女にそう話しかけた。
 
 そばかすに三つ編み、たいそう控えめな胸を包んでいるのはディルアンドルの様な民族衣装。まあ、言ってしまえば普段着だ。このどこからどう見ても普通の村娘にしか見えない少女は、実際ただの村娘で、名をエイメという。
 
 まあ村長の娘なので「ただの村娘」というのは少し語弊があるかもしれない。
 
「なんでって……」
 
 結局悪魔の商館には成功したもののそれを上手く運用できなかったカルアミルクをフッ飛ばした後、俺はアスタロウを救助してから村に戻ってきた。
 
 数日前の宿屋に全員が揃った件、メルポーザ以外はそれぞれ何か用事があってたまたまいただけらしいんだが、こいつだけが何故ここにいたのかが分からない。あれから四日もたつのにまだいるし。
 
「師匠を探しに来たんスよ」
 
「俺を?」
 
 面倒なことになったな。
 
 俺はこいつと邪竜メルポーザの縁談(?)をぶち壊した経緯があり……いや、あんなのぶち壊して当然だろう。っていうかこいつメルポーザに嫌われてるし……まあそれはいいんだが、そんな理由から「責任をとれ」と前に言われてたのを夜逃げした経緯がある。
 
「いや、そっちの師匠じゃないス」
 
 そっちの師匠? 俺はいったい何の師匠なんだっけ?
 
「性癖の師匠じゃなくて、ワタシの技の師匠を探しに来たんス」
 
 俺性癖の師匠なの?
 
 まあそれはどうでもいいんだけど、技? お前の技って、あの……
 
「勃気の師匠ッス」
 
 他の人もいるんだから大きい声でそういうこと言うのやめてくれないかな。
 
 こいつは俺の事を「師匠」と呼んでいるが、実はその能力についてはこいつの方が「師匠」だったりする。
 
 周囲の「勃気」を検知する能力……それをこの女は俺に無理やり植え付けやがった。
 
 この能力が本当に曲者で、普通に敵の気配を感知することはできない。相手が勃〇していないと検出ができない。勃〇状態で近づいてくる敵って……もうその時点で恐怖しかねえよ。
 
 しかもそれだけじゃなく、一度この技を会得してしまったら、基本的に能力の解除ができない。どんな時でも、勃〇を感じ続ける。目をつぶっていてもぼんやりと光って見える。
 
 朝とか大変だ。寝ている状態でも周囲の人間の朝勃ちに反応して強い光で目が覚める。
 
 勃〇の光と共に目覚める毎日。
 
 本当にどうにかしてほしい、この能力。
 
 と、思っていたんだが、この技の師匠を探してるって? これはもしかしたらこの能力の解除方法を知るチャンスなんじゃないだろうか。
 
「それでですね、この辺に住んでるはずなんスけど、最近手紙を出しても返事が来ないし、何かあったんじゃないかと思って直接会いに来たんスけど、どうやら住処が変わってるみたいで見つからなくって、困ってたんスよ」
 
「しょうがないなあ、俺も一緒に探してやろう」
 
「マジスか!? 師匠大好き!!」
 
「お、おい勇者!」
 
 エイメは喜んで座ってる俺に抱き着いてきた。こいつ変態だけど顔は可愛いからな。嫌な気はしない。
 
 しかしどうやらアスタロウの方は納得いかないようだ。
 
「んだよ」
 
「ただの人探しじゃろう? さすがにそんなことに付き合って時間を無為に潰すのは認められんぞ」
 
 この野郎さんざん人の事便利に使っておいて俺が何か提案したらすぐこれだよ、自分勝手にもほどがあるだろうが。
 
「あのさあ。こっちゃつい昨日、魔王軍の四天王を二人倒してんのよ?」
 
 そう、俺はしっかり成果を出しているのだ。すでに一度倒している四天王であるが、つい先日、四天王のイルウとカルアミルクを砦で倒してるんだ。
 
 成果報酬があってもいいくらいの途中経過だろう。言葉ではなく結果で語る男、コバヤシケンジだ。
 
 翻って見てお前の方はどうだ。さんざん寄り道させて、勇者をいいように利用して。ちょっと逆らったら恫喝か。ひでえもんだ。人間の方が魔族よりも悪辣だぜ。
 
「そもそもさ? 今更だけど魔王を討伐して俺になんかいいことあるのか? 俺は無償で奉仕しなきゃいけないのか? 酷い目に合ってるっていうのに」
 
 アナルから剣を抜かされたり……あとほかには、アナルから剣を抜かされたり。
 
『ケンジさんその言い方は卑怯ですよ』
 
 ふん、久しぶりに女神が出てきたか。お前喋り方が聖剣と被ってんだよ。
 
『そもそもケンジさんは日本で死んでここへ送られてきたんだから、生きられるだけで十分でしょう。あなたの命は無くなったんです。新しい命をどう使おうと私の勝手ってわけです』
 
 GANTZみたいなこと言いだしたぞこのアマ。あ~あ~、そっちがそういう気で来るならもういいや。魔王なんか絶対倒してやらねえ。
 
「ま、待て。確かに報酬の事を話さなかったのは悪かった。魔王を倒せたならば、何でも望む物をやろう。儂はもう国王でないから確約は出来んが、約束は守る」
 
 なんだよアスタロウの方が話が分かるじゃん。とはいえなあ……欲しいものか。
 
「望むなら、イリユースと結婚して国の王となるのもよい。どうやらイリユースもお主の事を憎からず思っておるようだったしのう」
 
「そんな素振りあった?」
 
「あれほど楽しそうにチュートリアルをする女の子を、おぬしは見たことがあるか」
 
 チュートリアルをする女の子自体見たことねえよ。
 
「まあでもそれはそれとして、国はいらねえよ。明らかに面倒な仕事が増えるだけで、いいことなんもねえだろ」
 
「じゃあ何が欲しいんじゃ? ハーレムとかか?」
 
 ハーレムなあ……正直俺ダーウィンが来たとかよく見てたからハーレムにいいイメージが全くないんだよな。あんなもんを獲得して維持するためにアルファオスがどれだけ酷い目にあってるか。
 
 それに、この世界の女、なぁ……正直碌な奴いないじゃん。もうちょっとまともな奴いねえのかよ。目の前にいるエイメを筆頭に。
 
「まあ、報酬については考えとくわ」
 
 とりあえずそれは先送りだ。
 
 正直言ってここで「じゃあ他の奴に頼むから魔王倒さなくていいよ」とか言われると俺も困るんだよな。他に飯を食う方法を知らんし。
 
『アレだけ啖呵切っておいて結局それですか』
 
 うるさい女神。これは交渉術というものだ。
 
「で、一緒にその『師匠』ってのを探しに行けばいいんだな? エイメ」
 
「いやあ、さすが。助かるッス、師匠」
 
 なんだか紛らわしいな。まあいいか。
 
「師匠は近くの森に一人で住んでるはずッス」
 
「森の中に一人で? また変わり者じゃないだろうな」
 
「変わり者、というか、まあ師匠は人間じゃないッスからね」
 
 なに? 人間じゃないのか?
 
「師匠は、エルフっス」
 
 エルフだと。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...