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第6章 スターウォーズ
脳内会話
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『起力の力を信じるのじゃ』
出やがったな……
まあ……よくある展開ではあるよ。苦境に陥った弟子に師の言葉が脳内でリフレインする展開っていうのはね。
でも、これは多分そういうのとは違うんだなあ。
というかさあ、その『起力』っていうの本当にやめて欲しいんだよ。危ないから。
『何が危ないと言うんじゃ』
ほらな。
やっぱり師の言葉が脳内でリフレインしているだけじゃなくて、ヨルダ師匠が直接脳内に語り掛けてきてるじゃん。
脳内語り掛け野郎これで三人目だぞ。
多すぎるだろ。
人の脳を何だと思ってるんだ。
俺の脳だぞ。日本国憲法には『内心の自由』ってもんがあるのに俺の脳は蹂躙されまくりじゃねえか。ここは日本じゃねえけど。
『なんですかケンジさん? これ誰の声ですか?』
『む? これは誰の声じゃ?』
やめろ。やめろ……ちょっと待て。
「ノコッ……」
「ご、ごめん。ちょっと待ってて」
エイメに言って一旦取り組みを止める。ちょっと不安だったが相手側のリキシも了承してくれた。何事かただならぬ雰囲気を向こうも感じ取ってくれたのだろう。
ちょっと取り組みに集中できる状況じゃない。
ていうかさあ。人が真剣にスモウとってるときにごちゃごちゃ語り掛けないでほしいんだけど。普通分かるだろそんくらい。
『そんなことより、ケンジ、この声は誰なんじゃ』
「そんなことより」ときたもんだ。
えっとねえ……どう説明したらいいもんか……その、こちら、この世界に俺を召喚した女神様になります。
『女神じゃと? 光の守護者ベアリス様か!?』
光の守護者かどうかは知らねえけどよ。あと名前も今初めて聞いたけど。
はぁ……そんで、こちらのおじいちゃんが俺の師匠のヨルダ師匠です。
『あ、どうも初めまして。女神ベアリスといいます』
『これはこれはご丁寧に。エルフのヨルダ・ベーレンデと申します。名乗りが遅れて申し訳ない。それにしても長生きはしてみるもんじゃのう。まさか毎日祈りを捧げていた女神さまとこうしてお話しできる時がくるとは』
『わあ、お祈りしてくれてるんですか。ありがとうございます』
あのさあ。
『お礼など滅相もない。女神さまのお恵みと慈悲に感謝をしているだけでござります』
『こういう感謝の声を聴くと、がんばるぞっ、って気分にもなります』
俺の脳内で俺を差し置いて二人で会話してんじゃねえよ。
『ねえケンジ、ちょっと、私も紹介してよ』
アヌスカリバーまで出てきやがった。
『む、今の声は誰じゃ?』
『他にも誰かいるんですか?』
はぁぁ……まあ、こちら、アスタロウのケツの穴に三百年の間刺さってたアヌスカリバーさんになります。こちらは俺の師匠のヨルダ師匠と女神の……ベアリス? 様です。
『ちょっと! その紹介の仕方やめてよ!』
『おお、おぬしが伝説の聖剣……』
『わあ、アヌスカリバーさん喋れるんですね? 初めて知りました』
『うん。ケンジに使われるようになってから、力がみなぎってきて……』
『このまま聖剣が使われ続けて、信仰されるようになればもしかしたら精霊というか、神の様な存在になれるかもしれませんよ』
『やったあ! やっぱりそうなんだ! 頑張らなきゃ!!』
『うふふ、初々しくていいですねえ』
その聖剣初対面の時に俺に『命を差し出せ』とか言ってた邪悪な存在だからな。俺はぜってぇに忘れねえぞ。
「行けそッスか? 師匠……」
「ごめん、もうちょっとかかりそう」
おずおずと聞いてくるエイメとその向こうで四股を踏んで時間を潰してるリキシ。本当に申し訳ない。もう少し待っててくれ。
『……で、ですね。聖剣を下賜したのに三百年も戦争が膠着状態になってておかしいな~? とは思ってたんですけどね』
『まさかそんなところに収められておったとはのう』
『も~、本当にサイテーなんですよ! 女神さんの力でどうにかなりません?』
『いや~、直接手は出せないんで……というか出せても触りたくないですけど』
あのさあ。
お前ら俺に失礼だと思わないの?
『ん? なんじゃ?』
『何よ、重要な話してる時に』
『なにがです?』
こいつら本当に分かってねえ感じのリアクションだな。一発かましたらなあかんな。
「いや普通に考えてさ! 脳の持ち主ほったらかして勝手に三人で人の脳内でおしゃべりして悪いとか思わねえのかよ!!」
「師匠大丈夫ッスか?」
くそ……
エイメに心配されちまった。
「なんか辛いことあるなら、相談に乗るッスよ?」
これも嫌なんだよ。
うっかり脳内直接会話に肉声で答えちゃうとリアルの奴らに「かわいそうな人」扱いされる。
そりゃそうだ。俺だって独り言でぶつぶつどころか大声で怒鳴る奴がいたら「かわいそうな人」だと思うからな。
エイメは別に悪くないんだ。むしろ俺の事を気遣ってくれてるんだから、有難いことだと思うよ。そこを邪険にするつもりはない。
「いや、何でもないんだ。ありがとう。エイメ」
何でもないことないッスよ。いきなり大声で怒りだすとか絶対普通じゃないッスよ。なんか悩みがあるんスよね?」
まああるけどさ。今日はやけにぐいぐい来るな。
でもここで「脳内で三人の人間がごちゃごちゃ会話しててうるさいんだよ」とか言い出したらそれこそ一層「かわいそうな人」扱いになる事請け合いだろう。女神と聖剣とヨルダ師匠が脳内でうるさいなんて言ってもわけわからんだろう。
「気遣ってくれてありがたいが、大丈夫だ。気にしないでくれ」
「大丈夫じゃないッスよ、師匠。ずっと、悩んでるんスよね? ワタシには分かるッス」
「お前に何が分かるっていうんだよ!!」
しつこい奴だな。俺の脳内にしか聞こえないのに分かるわけないだろう。そもそも本当に聞こえてるのかどうかだって俺にすら分からん。
ヨルダ師匠に後で聞いてみればあいつだけは分かるかもしれんけど、女神と聖剣は聞きようがないし、もしかしたら俺の気が変になっただけなのかもしれない。
むしろこんなワケワカな異世界に転生したのだって全部俺の妄想かもしれないっていうのに。
そう思うとなんだか悲しくなってきた。俺は何やってるんだ、いったい。涙が出てくる。
瞳に涙が溜まり、一滴それが頬を伝う。
その顔を見せたくなくて下を向いていると、エイメが優しく俺の背中を撫でてくれた。……なんだよ。惚れちゃうじゃないかよ。
「ちん〇んのことで、悩んでるんスよね?」
あん?
「こないだ師匠と取っ組み合いしてた時に、勃〇してたから……それを私に見られたのを、気に病んでるんスよね?」
あれ見られてたのか。
「大きさなんて気にする事ないッスよ!」
やめろ。
そんな優しさやめろ。
「えと、あの……優しそうな大きさだな、って、師匠の事、ますます好きになったッスよ」
最大限配慮した言葉の暴力やめろ。
出やがったな……
まあ……よくある展開ではあるよ。苦境に陥った弟子に師の言葉が脳内でリフレインする展開っていうのはね。
でも、これは多分そういうのとは違うんだなあ。
というかさあ、その『起力』っていうの本当にやめて欲しいんだよ。危ないから。
『何が危ないと言うんじゃ』
ほらな。
やっぱり師の言葉が脳内でリフレインしているだけじゃなくて、ヨルダ師匠が直接脳内に語り掛けてきてるじゃん。
脳内語り掛け野郎これで三人目だぞ。
多すぎるだろ。
人の脳を何だと思ってるんだ。
俺の脳だぞ。日本国憲法には『内心の自由』ってもんがあるのに俺の脳は蹂躙されまくりじゃねえか。ここは日本じゃねえけど。
『なんですかケンジさん? これ誰の声ですか?』
『む? これは誰の声じゃ?』
やめろ。やめろ……ちょっと待て。
「ノコッ……」
「ご、ごめん。ちょっと待ってて」
エイメに言って一旦取り組みを止める。ちょっと不安だったが相手側のリキシも了承してくれた。何事かただならぬ雰囲気を向こうも感じ取ってくれたのだろう。
ちょっと取り組みに集中できる状況じゃない。
ていうかさあ。人が真剣にスモウとってるときにごちゃごちゃ語り掛けないでほしいんだけど。普通分かるだろそんくらい。
『そんなことより、ケンジ、この声は誰なんじゃ』
「そんなことより」ときたもんだ。
えっとねえ……どう説明したらいいもんか……その、こちら、この世界に俺を召喚した女神様になります。
『女神じゃと? 光の守護者ベアリス様か!?』
光の守護者かどうかは知らねえけどよ。あと名前も今初めて聞いたけど。
はぁ……そんで、こちらのおじいちゃんが俺の師匠のヨルダ師匠です。
『あ、どうも初めまして。女神ベアリスといいます』
『これはこれはご丁寧に。エルフのヨルダ・ベーレンデと申します。名乗りが遅れて申し訳ない。それにしても長生きはしてみるもんじゃのう。まさか毎日祈りを捧げていた女神さまとこうしてお話しできる時がくるとは』
『わあ、お祈りしてくれてるんですか。ありがとうございます』
あのさあ。
『お礼など滅相もない。女神さまのお恵みと慈悲に感謝をしているだけでござります』
『こういう感謝の声を聴くと、がんばるぞっ、って気分にもなります』
俺の脳内で俺を差し置いて二人で会話してんじゃねえよ。
『ねえケンジ、ちょっと、私も紹介してよ』
アヌスカリバーまで出てきやがった。
『む、今の声は誰じゃ?』
『他にも誰かいるんですか?』
はぁぁ……まあ、こちら、アスタロウのケツの穴に三百年の間刺さってたアヌスカリバーさんになります。こちらは俺の師匠のヨルダ師匠と女神の……ベアリス? 様です。
『ちょっと! その紹介の仕方やめてよ!』
『おお、おぬしが伝説の聖剣……』
『わあ、アヌスカリバーさん喋れるんですね? 初めて知りました』
『うん。ケンジに使われるようになってから、力がみなぎってきて……』
『このまま聖剣が使われ続けて、信仰されるようになればもしかしたら精霊というか、神の様な存在になれるかもしれませんよ』
『やったあ! やっぱりそうなんだ! 頑張らなきゃ!!』
『うふふ、初々しくていいですねえ』
その聖剣初対面の時に俺に『命を差し出せ』とか言ってた邪悪な存在だからな。俺はぜってぇに忘れねえぞ。
「行けそッスか? 師匠……」
「ごめん、もうちょっとかかりそう」
おずおずと聞いてくるエイメとその向こうで四股を踏んで時間を潰してるリキシ。本当に申し訳ない。もう少し待っててくれ。
『……で、ですね。聖剣を下賜したのに三百年も戦争が膠着状態になってておかしいな~? とは思ってたんですけどね』
『まさかそんなところに収められておったとはのう』
『も~、本当にサイテーなんですよ! 女神さんの力でどうにかなりません?』
『いや~、直接手は出せないんで……というか出せても触りたくないですけど』
あのさあ。
お前ら俺に失礼だと思わないの?
『ん? なんじゃ?』
『何よ、重要な話してる時に』
『なにがです?』
こいつら本当に分かってねえ感じのリアクションだな。一発かましたらなあかんな。
「いや普通に考えてさ! 脳の持ち主ほったらかして勝手に三人で人の脳内でおしゃべりして悪いとか思わねえのかよ!!」
「師匠大丈夫ッスか?」
くそ……
エイメに心配されちまった。
「なんか辛いことあるなら、相談に乗るッスよ?」
これも嫌なんだよ。
うっかり脳内直接会話に肉声で答えちゃうとリアルの奴らに「かわいそうな人」扱いされる。
そりゃそうだ。俺だって独り言でぶつぶつどころか大声で怒鳴る奴がいたら「かわいそうな人」だと思うからな。
エイメは別に悪くないんだ。むしろ俺の事を気遣ってくれてるんだから、有難いことだと思うよ。そこを邪険にするつもりはない。
「いや、何でもないんだ。ありがとう。エイメ」
何でもないことないッスよ。いきなり大声で怒りだすとか絶対普通じゃないッスよ。なんか悩みがあるんスよね?」
まああるけどさ。今日はやけにぐいぐい来るな。
でもここで「脳内で三人の人間がごちゃごちゃ会話しててうるさいんだよ」とか言い出したらそれこそ一層「かわいそうな人」扱いになる事請け合いだろう。女神と聖剣とヨルダ師匠が脳内でうるさいなんて言ってもわけわからんだろう。
「気遣ってくれてありがたいが、大丈夫だ。気にしないでくれ」
「大丈夫じゃないッスよ、師匠。ずっと、悩んでるんスよね? ワタシには分かるッス」
「お前に何が分かるっていうんだよ!!」
しつこい奴だな。俺の脳内にしか聞こえないのに分かるわけないだろう。そもそも本当に聞こえてるのかどうかだって俺にすら分からん。
ヨルダ師匠に後で聞いてみればあいつだけは分かるかもしれんけど、女神と聖剣は聞きようがないし、もしかしたら俺の気が変になっただけなのかもしれない。
むしろこんなワケワカな異世界に転生したのだって全部俺の妄想かもしれないっていうのに。
そう思うとなんだか悲しくなってきた。俺は何やってるんだ、いったい。涙が出てくる。
瞳に涙が溜まり、一滴それが頬を伝う。
その顔を見せたくなくて下を向いていると、エイメが優しく俺の背中を撫でてくれた。……なんだよ。惚れちゃうじゃないかよ。
「ちん〇んのことで、悩んでるんスよね?」
あん?
「こないだ師匠と取っ組み合いしてた時に、勃〇してたから……それを私に見られたのを、気に病んでるんスよね?」
あれ見られてたのか。
「大きさなんて気にする事ないッスよ!」
やめろ。
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