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最終章 手を取り合って
再登場
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やあみんな、俺の名前はコバヤシ・ケンジ。このくそったれな世界で勇者をやってるどこにでもいる普通の高校生さ。
ところでみんな、ノロウィルスって知ってるかな?
うん、あれだよ。上からも下からも盛大に噴射して地獄の苦しみを味わう食中毒を引き起こすウィルスのことだよ。
え? どういうものに含まれるのかって? 牡蠣だよ。
ぷりぷり牡蠣のアヒージョだよ。
前回の後、何とかして厨房を見つけて牡蠣を見つけたんだけどな……加熱が不十分だったのかな。
いや、俺も一瞬頭をよぎりはしたんだよ。
ただでさえまともな食事もしてなくて十分に睡眠もとれていない状態で体力が落ちてるからさ、もしかしたら……っていうのはあったんだけどな。
でもな、牡蠣の魔力には勝てなかったんだよ。
ホントにすごいんだな、ノロウィルスって。ゲロがさ……こう、噴水みたいに噴き出るんだよ。俺の目の前で。マジで死ぬかと思ったわ。
アスタロウは聖剣の鞘の効果か知らんけど下痢はしてないんだけどやたら腹が痛そうにして苦しんでて、見てるのがつらいくらいだったわ。なんだかんだで全員が全快するまでに二週間ほどかかったよ。
本当にな、異世界に来てから最初にあのきったない便所見せられたから十分に注意してたつもりだったんだけどな。
でもな、牡蠣の魔力には勝てなかったわ。
そんなこんなで三週間が経ちましたよ、っと。我ながら魔国に入ってからいくらなんでものんびりしすぎだな、とは思うけどね。
でもまあちゃんとした食糧庫も見つけて、小部屋がいっぱいあるから隠れる場所にも事欠かない。魔族が近づいてくればアンススが気付いてくれる。
ぶっちゃけて言ってこの城の中で生活していくのに何の不便もねえわ。っていうかこの城のセキュリティどうなってんの。俺が不安になっても仕方ねえけどよ。侵入者が三週間も城の中に入り込んで安住してるってのに誰も気づかないってどういうことなの?
「そろそろ、本格的に探索を開始せんといかんのう」
まあ、アスタロウの言うとおりだ。ゆうてももうこの辺りは勝手知ったる庭みたいなもんだけどな。さらに言うなら魔王の部屋についてももうだいたい当たりはつけてあるんだわ。
なぜなら魔王の食糧の場所を知ってるから。そいつらがどこに運ばれていくのかももうだいたいわかってる。
「と、いうわけで。そろそろ魔王の寝室に突撃しようと思いまーす」
「何が『というわけ』なんじゃ」
通常ならノロウィルスの中毒からの復帰は一週間程度。いくら俺たちが万全な状態じゃないとはいえ十日もあればもう大分症状は良くなっていた。アスタロウは大分引きずってたけど。
じゃあなぜ三週間も時間を置いたのかというと、やはり魔王に挑むというんなら万全の状態で臨まねばならない。
もちろん戦いに行くつもりではないものの、交渉が決裂した場合何が起こるかは分からないからな。
相手は淫魔の血を引く魔王。もしかしたら、えっちな展開もあるかもしれない。そんなときに、おなかの調子が悪かったらどうだ? まずいだろう。
俺にとっては初めての体験だ。そんなときにだ。こう、なんかぶりっと出てしまったりしたら大変なことになる。
だから魔王城の中の公衆浴場なんかもちゃんと調べて、しっかり身を清めておいてある。備えあれば憂いなし。時間も昼時をちょっとすぎたくらいだしいい感じだろう。まさか淫魔だからって夜行性ってことはないよな。
さて、ここまでは遅かったが層と決まれば俺たちの行動は早い。勝手知ったる我が家のように堂々と魔王城の中を進む。ようやく長いこの戦いにも終止符が打たれ……どうしたんだ? アンススが何か後方を気にしてるみたいだが。
「何者かがすごい速さで近づいてくるわ。走り方の気配からして、こちらに気づいてる」
そういうことはもっと早く言えよ。三週間気づかれなかったのに何でこのタイミングで見つかるんだ。
「今までとは違うわ。まるで『私たちがこの城の中にいる』ことを知っているかのような動き」
俺たちがこの城の中にいることを知っている……? いったい誰だ? 守衛のお姉さんか? それともイルウ? 魔王も気づいててもおかしくないし、食糧庫につかまってた奴が告げ口したのかもしれないし……正直言って心当たりがありすぎてわからない。
「見つけたぞ、勇者ども」
聞き覚えのある声。だいぶ前に、聞いたような……どこだったか。ドタドタと走って向かってきた追跡者の方に俺は振り返る。
「うわ……」
思わず俺の口から脱力とともに吐息が漏れた。
この世界に来てからいろいろな奴に出会ったが、正直言ってもう二度と会いたくないって奴が少なくない。
というか、思い返してみるとそんな奴ばっかりな気がするが。
……いや、そんな奴ばっかりだな。逆に「もう一度会いたい奴」ってのがいねえわ。
「おい、何をぼうっとしている」
おっとしまった。今は目の前のことに集中しないとな。
「名乗らせてもらおう。我が名は……」
「覚えてるよ、ケツの穴のフクタビアヌスだろ」
そう、俺たちの前に姿を現したのは、以前にも現れて、なんだか分からんうちに帰っていった悪のアナリスト養成施設『ケツの穴』のボス、虎獣人のフクタビアヌスだった。
ところでみんな、ノロウィルスって知ってるかな?
うん、あれだよ。上からも下からも盛大に噴射して地獄の苦しみを味わう食中毒を引き起こすウィルスのことだよ。
え? どういうものに含まれるのかって? 牡蠣だよ。
ぷりぷり牡蠣のアヒージョだよ。
前回の後、何とかして厨房を見つけて牡蠣を見つけたんだけどな……加熱が不十分だったのかな。
いや、俺も一瞬頭をよぎりはしたんだよ。
ただでさえまともな食事もしてなくて十分に睡眠もとれていない状態で体力が落ちてるからさ、もしかしたら……っていうのはあったんだけどな。
でもな、牡蠣の魔力には勝てなかったんだよ。
ホントにすごいんだな、ノロウィルスって。ゲロがさ……こう、噴水みたいに噴き出るんだよ。俺の目の前で。マジで死ぬかと思ったわ。
アスタロウは聖剣の鞘の効果か知らんけど下痢はしてないんだけどやたら腹が痛そうにして苦しんでて、見てるのがつらいくらいだったわ。なんだかんだで全員が全快するまでに二週間ほどかかったよ。
本当にな、異世界に来てから最初にあのきったない便所見せられたから十分に注意してたつもりだったんだけどな。
でもな、牡蠣の魔力には勝てなかったわ。
そんなこんなで三週間が経ちましたよ、っと。我ながら魔国に入ってからいくらなんでものんびりしすぎだな、とは思うけどね。
でもまあちゃんとした食糧庫も見つけて、小部屋がいっぱいあるから隠れる場所にも事欠かない。魔族が近づいてくればアンススが気付いてくれる。
ぶっちゃけて言ってこの城の中で生活していくのに何の不便もねえわ。っていうかこの城のセキュリティどうなってんの。俺が不安になっても仕方ねえけどよ。侵入者が三週間も城の中に入り込んで安住してるってのに誰も気づかないってどういうことなの?
「そろそろ、本格的に探索を開始せんといかんのう」
まあ、アスタロウの言うとおりだ。ゆうてももうこの辺りは勝手知ったる庭みたいなもんだけどな。さらに言うなら魔王の部屋についてももうだいたい当たりはつけてあるんだわ。
なぜなら魔王の食糧の場所を知ってるから。そいつらがどこに運ばれていくのかももうだいたいわかってる。
「と、いうわけで。そろそろ魔王の寝室に突撃しようと思いまーす」
「何が『というわけ』なんじゃ」
通常ならノロウィルスの中毒からの復帰は一週間程度。いくら俺たちが万全な状態じゃないとはいえ十日もあればもう大分症状は良くなっていた。アスタロウは大分引きずってたけど。
じゃあなぜ三週間も時間を置いたのかというと、やはり魔王に挑むというんなら万全の状態で臨まねばならない。
もちろん戦いに行くつもりではないものの、交渉が決裂した場合何が起こるかは分からないからな。
相手は淫魔の血を引く魔王。もしかしたら、えっちな展開もあるかもしれない。そんなときに、おなかの調子が悪かったらどうだ? まずいだろう。
俺にとっては初めての体験だ。そんなときにだ。こう、なんかぶりっと出てしまったりしたら大変なことになる。
だから魔王城の中の公衆浴場なんかもちゃんと調べて、しっかり身を清めておいてある。備えあれば憂いなし。時間も昼時をちょっとすぎたくらいだしいい感じだろう。まさか淫魔だからって夜行性ってことはないよな。
さて、ここまでは遅かったが層と決まれば俺たちの行動は早い。勝手知ったる我が家のように堂々と魔王城の中を進む。ようやく長いこの戦いにも終止符が打たれ……どうしたんだ? アンススが何か後方を気にしてるみたいだが。
「何者かがすごい速さで近づいてくるわ。走り方の気配からして、こちらに気づいてる」
そういうことはもっと早く言えよ。三週間気づかれなかったのに何でこのタイミングで見つかるんだ。
「今までとは違うわ。まるで『私たちがこの城の中にいる』ことを知っているかのような動き」
俺たちがこの城の中にいることを知っている……? いったい誰だ? 守衛のお姉さんか? それともイルウ? 魔王も気づいててもおかしくないし、食糧庫につかまってた奴が告げ口したのかもしれないし……正直言って心当たりがありすぎてわからない。
「見つけたぞ、勇者ども」
聞き覚えのある声。だいぶ前に、聞いたような……どこだったか。ドタドタと走って向かってきた追跡者の方に俺は振り返る。
「うわ……」
思わず俺の口から脱力とともに吐息が漏れた。
この世界に来てからいろいろな奴に出会ったが、正直言ってもう二度と会いたくないって奴が少なくない。
というか、思い返してみるとそんな奴ばっかりな気がするが。
……いや、そんな奴ばっかりだな。逆に「もう一度会いたい奴」ってのがいねえわ。
「おい、何をぼうっとしている」
おっとしまった。今は目の前のことに集中しないとな。
「名乗らせてもらおう。我が名は……」
「覚えてるよ、ケツの穴のフクタビアヌスだろ」
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