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最終章 手を取り合って
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「なんで勇者のお前が魔王軍の先鋒になるんだよ!! 言ってる意味が分からんわ!! そんなことしたら手抜きして労せずして一勝できるじゃねえか!!」
「なるほど。お前の言っていることにも一理ある。だが、世の中『正しい』事がそんなに重要だろうか? 目先の『正しさ』を追い求めるあまり、重要なことを見落としていないだろうか」
少なくとも、あんな好色そうな変態虎男とアンススをスモウをやらせるなんてことはできない。そんなことしたらR-18になる。
「よし、じゃあ反論もないみたいだからアンスス、土俵に上がれ」
「ケンジくん……うっ、ひっく」
ふと気づけばアンススは涙を流してた。なんだこいつ。情緒不安定か。
「私、こんなだから今までちゃんと女の子扱いもされたことなくて……それなのに、ケンジ君は私のこと一人の女性としてみてくれるのね……」
何言ってんだこいつ。よくわかんねぇや。
「まあいい。とにかく、スモウをとろうか、アンスス」
「ふっ、ふざけんな! 俺はまだ認めてねえぞ! だいたいそれじゃただお前らが仲間内でスモウ取ってるだけだろうが。そんなのはどっかよそでやれ! 何でお前らがイチャつく様子をホームグラウンドで眺めなきゃいけねえんだよ!!」
ちっ、がっぷり四つに組んで取り組み中の不可抗力としてあんなことやこんなことをしてやろうと思ったのに横槍入れやがって。粋の分からない奴だ。
「お困りのようね」
俺たちが激しく口論していると背後から女性の声がした。いや、女性というかこの声は……
「魔眼のイルウ」
魔王軍の四天王。男の娘のダークエルフ、イルウが姿を現した。なんだかんだでこの空間に四天王クラスが三人か。どんどん状況が悪くなる。
「そんなにお困りなら、私がアンススに代わって勇者側の先鋒になるわ!!」
「またややこしいことを!」
「スモウにかこつけて男女でくんずほぐれつしようなんて私が許さないわ」
くっ、見透かされていたか。
とにかくこれでようやく話が前に進む。魔王軍と勇者のスモウ三番勝負。先鋒は勇者側が魔王軍四天王の一人、イルウ。魔王軍は勇者の俺が戦うことになった。
……これ、逆の方がいいんじゃねえのか?
「それでは、行司は木村庄之助ことわたくし、エイメが務めさせてもらうッス」
「しれっとなに登場してんだお前は」
え? マジでなんでこいつ魔国にいるんだ? 村に帰ったか、もし帰ってなくてもヨルダ師匠のところにはいるかと思ってたんだけど。
「あの琴エルフ関と師匠の取り組みの後、行司の第一人者としての人生を歩み始めたんス」
お前はどんだけ数奇な運命を辿っているの? ただの村娘だったはずだよな。もしかしてお前がこの物語の主人公だったのか。
「半裸のむくつけき男どもに囲まれて暮らす毎日、私今、すごく充実してるッス」
そうか、変態だったなお前。
「それにしても半裸美女とスモウをとろうなんて感心しないッスよ師匠。どうせまわしを取る流れでパンツを食い込ませたり、胸に顔をうずめたりとか考えてたんスね?」
人間はみんな変態なんだよ。すまんな。それはどうでもいいじゃないか。それはともかくとして、とりあえずまわしに着替える。この、訓練場? 多分スモウだけじゃなくいろんな運動や、競技をするためのスペースなんだろうな。更衣室まで完備されてるとはね。魔王城、意外と設備が充実してるなあ。
さて、両者準備が整っていざ、勝負、だ。
俺はもちろん普通のまわし姿だが、イルウの方は下はまわしで、上はビキニ。
なんだその恰好。なんだその……いいじゃないか。
いや、素晴らしいよ。
アンバランスの生み出すミスマッチの妙。小柄で細い褐色肌の少女がまわしを巻いて、上は白のビキニを着用して土俵に仁王立ちしているという素晴らしい絵図。
はぁ、これでこいつが男でさえなければなあ。しかも今……玉が四つついてるんだよな。もう、なんなんだろうな? こいつ。上半身と下半身が別の生き物みたいだ。フランスのことわざの「ベルトから下に人格はない」ってのはこういうことを言うのか。
手に塩を取り、軽く土俵に撒く。なんだかよくわからない状態にはなってしまったが、しかしスモウに関しては手抜きをするつもりはない。一応この戦いは俺が勝つと魔王軍の一勝になって、イルウが勝つと勇者軍の一勝になる、ってことなんだよな?
何でこんな分かりづらいことになっちゃったんだよ。
「俺は手抜きをするつもりはない。お前も全力で来いよ、イルウ」
「もちろんよ」
俺の宣言に対して笑顔でもって答える。
「こんなチャンス、め、滅多にないんだから。思いのたけを思いっきりぶつけるわよ!」
なんか、不安な気持ちになってきた。イルウさん、目が血走ってるんですけど? 前にもちらっと話したけど、こいつ遺跡の例の事件の後何回か俺たち、というか俺を襲撃して俺のケツを狙ってきてるんだよな……どうやら玉が四つになってしまったことで性欲が暴走してるらしいんだけど。
これ、もしかして俺が危ないのか? え? 神聖な土俵の上で?
「さて、琴エルフ関、この取り組み、どう見ますかな?」
「ごっつぁんです。なかなか面白い取り組みになりましたね」
不安を感じてちらりと土俵の外を見るとアスタロウと琴エルフ関が長机に着席して俺たちの試合を観戦していた。アスタロウずいぶん元気そうじゃねえか。実況と解説なんて始めやがった。
「勇者が魔王軍の先鋒、四天王が勇者側の先鋒という変則的な形になりましたのう。これはどういう試合展開が予想されますかな?」
「つまりは、互いに自分が負けた方が自分の勢力にとって有利、という形になります」
「と、いうことは? どのような試合運びに?」
「…………」
遠くてあまりはっきりとは聞こえないが、琴エルフ関は十分にためてからゆっくりと語りだす。
「……はじめは強く当たって、あとは流れで」
「なるほど。お前の言っていることにも一理ある。だが、世の中『正しい』事がそんなに重要だろうか? 目先の『正しさ』を追い求めるあまり、重要なことを見落としていないだろうか」
少なくとも、あんな好色そうな変態虎男とアンススをスモウをやらせるなんてことはできない。そんなことしたらR-18になる。
「よし、じゃあ反論もないみたいだからアンスス、土俵に上がれ」
「ケンジくん……うっ、ひっく」
ふと気づけばアンススは涙を流してた。なんだこいつ。情緒不安定か。
「私、こんなだから今までちゃんと女の子扱いもされたことなくて……それなのに、ケンジ君は私のこと一人の女性としてみてくれるのね……」
何言ってんだこいつ。よくわかんねぇや。
「まあいい。とにかく、スモウをとろうか、アンスス」
「ふっ、ふざけんな! 俺はまだ認めてねえぞ! だいたいそれじゃただお前らが仲間内でスモウ取ってるだけだろうが。そんなのはどっかよそでやれ! 何でお前らがイチャつく様子をホームグラウンドで眺めなきゃいけねえんだよ!!」
ちっ、がっぷり四つに組んで取り組み中の不可抗力としてあんなことやこんなことをしてやろうと思ったのに横槍入れやがって。粋の分からない奴だ。
「お困りのようね」
俺たちが激しく口論していると背後から女性の声がした。いや、女性というかこの声は……
「魔眼のイルウ」
魔王軍の四天王。男の娘のダークエルフ、イルウが姿を現した。なんだかんだでこの空間に四天王クラスが三人か。どんどん状況が悪くなる。
「そんなにお困りなら、私がアンススに代わって勇者側の先鋒になるわ!!」
「またややこしいことを!」
「スモウにかこつけて男女でくんずほぐれつしようなんて私が許さないわ」
くっ、見透かされていたか。
とにかくこれでようやく話が前に進む。魔王軍と勇者のスモウ三番勝負。先鋒は勇者側が魔王軍四天王の一人、イルウ。魔王軍は勇者の俺が戦うことになった。
……これ、逆の方がいいんじゃねえのか?
「それでは、行司は木村庄之助ことわたくし、エイメが務めさせてもらうッス」
「しれっとなに登場してんだお前は」
え? マジでなんでこいつ魔国にいるんだ? 村に帰ったか、もし帰ってなくてもヨルダ師匠のところにはいるかと思ってたんだけど。
「あの琴エルフ関と師匠の取り組みの後、行司の第一人者としての人生を歩み始めたんス」
お前はどんだけ数奇な運命を辿っているの? ただの村娘だったはずだよな。もしかしてお前がこの物語の主人公だったのか。
「半裸のむくつけき男どもに囲まれて暮らす毎日、私今、すごく充実してるッス」
そうか、変態だったなお前。
「それにしても半裸美女とスモウをとろうなんて感心しないッスよ師匠。どうせまわしを取る流れでパンツを食い込ませたり、胸に顔をうずめたりとか考えてたんスね?」
人間はみんな変態なんだよ。すまんな。それはどうでもいいじゃないか。それはともかくとして、とりあえずまわしに着替える。この、訓練場? 多分スモウだけじゃなくいろんな運動や、競技をするためのスペースなんだろうな。更衣室まで完備されてるとはね。魔王城、意外と設備が充実してるなあ。
さて、両者準備が整っていざ、勝負、だ。
俺はもちろん普通のまわし姿だが、イルウの方は下はまわしで、上はビキニ。
なんだその恰好。なんだその……いいじゃないか。
いや、素晴らしいよ。
アンバランスの生み出すミスマッチの妙。小柄で細い褐色肌の少女がまわしを巻いて、上は白のビキニを着用して土俵に仁王立ちしているという素晴らしい絵図。
はぁ、これでこいつが男でさえなければなあ。しかも今……玉が四つついてるんだよな。もう、なんなんだろうな? こいつ。上半身と下半身が別の生き物みたいだ。フランスのことわざの「ベルトから下に人格はない」ってのはこういうことを言うのか。
手に塩を取り、軽く土俵に撒く。なんだかよくわからない状態にはなってしまったが、しかしスモウに関しては手抜きをするつもりはない。一応この戦いは俺が勝つと魔王軍の一勝になって、イルウが勝つと勇者軍の一勝になる、ってことなんだよな?
何でこんな分かりづらいことになっちゃったんだよ。
「俺は手抜きをするつもりはない。お前も全力で来いよ、イルウ」
「もちろんよ」
俺の宣言に対して笑顔でもって答える。
「こんなチャンス、め、滅多にないんだから。思いのたけを思いっきりぶつけるわよ!」
なんか、不安な気持ちになってきた。イルウさん、目が血走ってるんですけど? 前にもちらっと話したけど、こいつ遺跡の例の事件の後何回か俺たち、というか俺を襲撃して俺のケツを狙ってきてるんだよな……どうやら玉が四つになってしまったことで性欲が暴走してるらしいんだけど。
これ、もしかして俺が危ないのか? え? 神聖な土俵の上で?
「さて、琴エルフ関、この取り組み、どう見ますかな?」
「ごっつぁんです。なかなか面白い取り組みになりましたね」
不安を感じてちらりと土俵の外を見るとアスタロウと琴エルフ関が長机に着席して俺たちの試合を観戦していた。アスタロウずいぶん元気そうじゃねえか。実況と解説なんて始めやがった。
「勇者が魔王軍の先鋒、四天王が勇者側の先鋒という変則的な形になりましたのう。これはどういう試合展開が予想されますかな?」
「つまりは、互いに自分が負けた方が自分の勢力にとって有利、という形になります」
「と、いうことは? どのような試合運びに?」
「…………」
遠くてあまりはっきりとは聞こえないが、琴エルフ関は十分にためてからゆっくりと語りだす。
「……はじめは強く当たって、あとは流れで」
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