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最終章 手を取り合って
汚れちまった悲しみに
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「はじめは強く当たって、あとは流れで?」
アスタロウが聞き返すと琴エルフ関は静かに語りだす。
「スモウはただの競技ではありません。そこには神が宿る、神事としての一面があるのです」
「と、いうと?」
「勝ち負けを超えたその先にある神事としての領域。剣や、武術の『型』に相当する守るべき流れ。これをスモウでは『ヤオチョー』といいます」
「それとこの取り組みに何か関係が?」
「互いに敵戦力としての参戦。自分が負ければ自軍が有利となる。すなわち、周りにはまじめにやってるように見せかけて、いかに自然な流れの中で自分が負けるか、という戦い」
くっそ、外野が好き勝手言いやがって。
しかし互いに負けようとするなら八百長ともまた違うとは思うけど。だが『負けた方が有利』というのも確か。さて、いったいどう動くべきか。
「みあってみあって!!」
などと考えてるうちに行司のエイメが取り組みの開始を促す。悩んでいてももう時間いっぱい。とりあえず始めるしかない。まずは強く当たって、あとは流れの中で決めよう。
とりあえずは仕切りに立って深く腰を落とす。リーチではこっちがはるかに勝ってるんだ。最初のぶつかり合いで負けなければまわしはそう簡単には取られない。勝つにしろ負けるにしろ、まわしを取ればこちらが試合をコントロールできるはず。
「みあってぇ!!」
行事にせっつかれて俺はイルウを強くにらみつける。しまった。
「のこったぁッ!!」
うっかりしていた。試合が始まった瞬間俺はあっさりとまわしを取られてしまった。
理由は簡単。こいつには『魔眼』の力がある。それを使って俺を金縛りに合わせることができるんだった。聖剣も手元にない今、その能力をキャンセルすることもできず、なすがままにあっさりとまわしを取られてしまった。しかも俺の方は両腕の下にイルウの腕が入ってまわしが取れない。詰んだ。
がっぷり四つに組んでいるのでイルウの魔眼はすぐに俺の視界から外れて金縛りは治った。しかしこの不利な状況、どうすればいいのか。いや、このまま負ければいいのか?
どちらにしろ俺に主導権はない。イルウはいったいどうするつもりなのか。
「フーッ、フーッ!!」
なんか……すごく鼻息が荒いんだが。スモウをとってるから、だよね。ん?
「んふぅ♡」
なぜだ? イルウが俺のまわしから手を放す。そして代わりに腰にねっとりとまとわりつくように腕を回した。そして深く落としていた腰を上げ、だんだんと上半身の密着面積が増えていく。
競技の性質上、当然スモウは重心を落としている方が圧倒的に有利。そしてまわしをつかまなければ、掴むところがなく、有利を得られない。まさかと思うが、わざと負けるためにそんなことを?
と、少し考えたが、なんだか思考が曖昧になってきた。イルウのきめ細かく、なめらかな肌と密着して、彼女の荒い呼吸を肩に受けながら押し合い圧し合いしていると、そんなことどうでもよくなってきた。なんでこんなにいい香りがするんだろう。この娘。
互いにまわしを取らず、腰も高い状態でがっちりと両腕で腰をホールドして、しかしそれでも表面上は相撲の体裁をとって体を揺さぶりあう。至高のひと時。
ああ、この時間が一秒でも長く続けばいい。スポーツって素晴らしいね。
「ものいい!! これは半裸のホモがちちくり合ってるだけよ! スモウとは言えないわ!!」
「取り組みが終わってからじゃないとものいいは受け付けられないッス」
アンススのものいいはエイメに却下された。取り組みの邪魔をするな。
「ぅ……イきそう……」
え? イルウ、それはさすがにまずい。正直なところ、俺も限界ではあるが。今の俺たち二人は、かなり強力な勃気を発している。おそらくエイメもそれには気づいているだろう。
陰部がはみ出さなければ反則負けにはならないはずだが、〇精するのはさすがにまずくないか。こう……公序良俗に反するというか。この世界のスモウ的にはありなのか? 俺はちらりと視線をエイメに送る。
「のこった!!」
だろうと思った。そらお前はこういう展開がお望みだろうからな。
「んん~ッ、もう我慢できない!!」
そう声を上げるとイルウが改めてまわしを取り直しガブリ寄ってくる。今まで我慢してたのか? 逆に俺の方はというとまわしもとらずに腰も高いままだったのでなすすべもなく土俵際まで押され、あっさりと天を仰いで転がされてしまった。
「ぐえ」
そのうえでさらにイルウが俺の体にしがみついたままのしかかった。
「ん~ッ♡ ンん~~~~♡♡♡」
「ちょっ! おい!! やめろ! 腰を振るな!! もう終わったんだよッ!!」
俺の言葉など届いていないのか。まるで発情期の雄犬のように無心で腰を振り続けるイルウ。二つの月の神殿で玉が四つに増えてからというもの、どうやらこいつは定期的にこんな状態になって暴走してしまうらしい。
かわいそうだとは思うけど、俺には何の関係もない話なのに。むしろ俺は「絶対にやるな」と再三言い続けたってのに、なんでこんな目に合わなきゃいけないのか。
しばらく腰を振り続けてからイルウはビクンと大きく痙攣し、そしてやっとごろりと横に転がって俺の上からどいてくれた。もう用なしだとばかりに。
俺は泣きながら自分の下半身にぶちまけられた白いゲル状の謎物質を拭き取る。自分さえイケばいいのか。これだから男ってイヤなのよ。
アスタロウが聞き返すと琴エルフ関は静かに語りだす。
「スモウはただの競技ではありません。そこには神が宿る、神事としての一面があるのです」
「と、いうと?」
「勝ち負けを超えたその先にある神事としての領域。剣や、武術の『型』に相当する守るべき流れ。これをスモウでは『ヤオチョー』といいます」
「それとこの取り組みに何か関係が?」
「互いに敵戦力としての参戦。自分が負ければ自軍が有利となる。すなわち、周りにはまじめにやってるように見せかけて、いかに自然な流れの中で自分が負けるか、という戦い」
くっそ、外野が好き勝手言いやがって。
しかし互いに負けようとするなら八百長ともまた違うとは思うけど。だが『負けた方が有利』というのも確か。さて、いったいどう動くべきか。
「みあってみあって!!」
などと考えてるうちに行司のエイメが取り組みの開始を促す。悩んでいてももう時間いっぱい。とりあえず始めるしかない。まずは強く当たって、あとは流れの中で決めよう。
とりあえずは仕切りに立って深く腰を落とす。リーチではこっちがはるかに勝ってるんだ。最初のぶつかり合いで負けなければまわしはそう簡単には取られない。勝つにしろ負けるにしろ、まわしを取ればこちらが試合をコントロールできるはず。
「みあってぇ!!」
行事にせっつかれて俺はイルウを強くにらみつける。しまった。
「のこったぁッ!!」
うっかりしていた。試合が始まった瞬間俺はあっさりとまわしを取られてしまった。
理由は簡単。こいつには『魔眼』の力がある。それを使って俺を金縛りに合わせることができるんだった。聖剣も手元にない今、その能力をキャンセルすることもできず、なすがままにあっさりとまわしを取られてしまった。しかも俺の方は両腕の下にイルウの腕が入ってまわしが取れない。詰んだ。
がっぷり四つに組んでいるのでイルウの魔眼はすぐに俺の視界から外れて金縛りは治った。しかしこの不利な状況、どうすればいいのか。いや、このまま負ければいいのか?
どちらにしろ俺に主導権はない。イルウはいったいどうするつもりなのか。
「フーッ、フーッ!!」
なんか……すごく鼻息が荒いんだが。スモウをとってるから、だよね。ん?
「んふぅ♡」
なぜだ? イルウが俺のまわしから手を放す。そして代わりに腰にねっとりとまとわりつくように腕を回した。そして深く落としていた腰を上げ、だんだんと上半身の密着面積が増えていく。
競技の性質上、当然スモウは重心を落としている方が圧倒的に有利。そしてまわしをつかまなければ、掴むところがなく、有利を得られない。まさかと思うが、わざと負けるためにそんなことを?
と、少し考えたが、なんだか思考が曖昧になってきた。イルウのきめ細かく、なめらかな肌と密着して、彼女の荒い呼吸を肩に受けながら押し合い圧し合いしていると、そんなことどうでもよくなってきた。なんでこんなにいい香りがするんだろう。この娘。
互いにまわしを取らず、腰も高い状態でがっちりと両腕で腰をホールドして、しかしそれでも表面上は相撲の体裁をとって体を揺さぶりあう。至高のひと時。
ああ、この時間が一秒でも長く続けばいい。スポーツって素晴らしいね。
「ものいい!! これは半裸のホモがちちくり合ってるだけよ! スモウとは言えないわ!!」
「取り組みが終わってからじゃないとものいいは受け付けられないッス」
アンススのものいいはエイメに却下された。取り組みの邪魔をするな。
「ぅ……イきそう……」
え? イルウ、それはさすがにまずい。正直なところ、俺も限界ではあるが。今の俺たち二人は、かなり強力な勃気を発している。おそらくエイメもそれには気づいているだろう。
陰部がはみ出さなければ反則負けにはならないはずだが、〇精するのはさすがにまずくないか。こう……公序良俗に反するというか。この世界のスモウ的にはありなのか? 俺はちらりと視線をエイメに送る。
「のこった!!」
だろうと思った。そらお前はこういう展開がお望みだろうからな。
「んん~ッ、もう我慢できない!!」
そう声を上げるとイルウが改めてまわしを取り直しガブリ寄ってくる。今まで我慢してたのか? 逆に俺の方はというとまわしもとらずに腰も高いままだったのでなすすべもなく土俵際まで押され、あっさりと天を仰いで転がされてしまった。
「ぐえ」
そのうえでさらにイルウが俺の体にしがみついたままのしかかった。
「ん~ッ♡ ンん~~~~♡♡♡」
「ちょっ! おい!! やめろ! 腰を振るな!! もう終わったんだよッ!!」
俺の言葉など届いていないのか。まるで発情期の雄犬のように無心で腰を振り続けるイルウ。二つの月の神殿で玉が四つに増えてからというもの、どうやらこいつは定期的にこんな状態になって暴走してしまうらしい。
かわいそうだとは思うけど、俺には何の関係もない話なのに。むしろ俺は「絶対にやるな」と再三言い続けたってのに、なんでこんな目に合わなきゃいけないのか。
しばらく腰を振り続けてからイルウはビクンと大きく痙攣し、そしてやっとごろりと横に転がって俺の上からどいてくれた。もう用なしだとばかりに。
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