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prologue
prologue③
しおりを挟む「居たぞ! あそこだ! 女が居たぞ!! 」
そんな怒声がラスティエルの耳に届き彼女は森に向かって走り出した。
後数歩で森に入ると言う所で彼女は躊躇して立ち止まった。
こんな時に思い出す、北の大森林の言い伝え。
それは、『この森に入った者は何人たりとも出る事は出来ない』と言うものだった。
まぁ其れには色々と理由が存在しているのだが、徐々に知れて行くものとする。
森に入る事が出来ないラスティエルと、背後に迫り来る追っ手。
『困ったことが有れば、北の大森林までおいで助けてあげるから…… 』
ふと頭の隅に過る懐かしい言葉。
『そうだった、わたくしが此処まで逃げて来た理由…… 。あの一度だけ出会った彼の言葉…… 』
婚約が決まって数日が過ぎた時、ラスティエルは自国の皇帝の元へ、両親と共に訪れていた。
勝手知ったる何とやら的なノリで、ラスティエルは独りで庭園までやって来ていた。
10歳ながら立派なレディを演じていた彼女は、たった一人で此処に来た時だけ、淑女の仮面を脱ぎ捨てて、年相応な女の子に帰った。
笑いながら庭園を駆けずり回るラスティエルは、小石にけつま付いて転んだ。
痛くて泣きそうになったがそこはそれ、持ち前の負けん気で乗り切ろうと試みるが痛い物は痛い。
「ううっ…… 」
泣きそうな声が出てしまった。
「どうした? あぁ、怪我をしたんだね」
その声に顔を上げると、目の前には、目の覚めるような……キラキラと太陽を反射する銀の色を纏った少年が立っていた。
年の頃はラスティエルよりも少しお兄さんだろうか?
「ほら、口開けて」
彼の簡潔な言葉に、ラスティエルは思わず言われるがままに口を開けてしまった。
ふわりと彼が笑う。
開けた口に放り込まれたものは、甘い甘いお星様だった。
「ん~~っ、あま~い。こんぺいとうだぁ」
思わず両手でほっぺたを押さえると、彼女はキラキラと瞳を輝かせて少年を見た。
「コレはお薬だから沢山食べられないんだ。ごめんね。ほら膝小僧治ったね」
そう言って、銀の少年はラスティエルの頭を優しく撫でた。
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